タイガー魔法瓶は9月11日、都内のスタジオでコーヒーメーカーの新製品「HYBRID BREW(ADF-A060)」の発表会を開催した。コーヒー粉にお湯を通す「透過式(ドリップ式)」と、サイフォンやフレンチプレスのようなコーヒー粉をお湯に浸けて抽出する「浸漬式」を組み合わせた「ハイブリッド抽出」を実現。まったく新しいタイプのコーヒーメーカーの誕生だ。発売日は10月1日。価格はオープンで実売想定価格は3万3000円前後。
「ハイブリッド抽出」という新たなコーヒーの楽しみ方
「透過式」と「浸漬式」を組み合わせたハイブリッド抽出は、バリスタの世界大会などでも注目されている抽出方法の一つだという。コンシューマ向けコーヒーメーカーで、それを実現したのは「HYBRID BREW」が初めて。
タイガー魔法瓶の金丸等カフェマシンブランドマネージャーは、「HYBRID BREWで、家庭におけるコーヒー体験を豊かにしていきたい。独自の抽出メカニズムとコントロールによる抽出へのこだわりで、タイガーカフェマシンのポジションを築いていきたい」と語った。プロのバリスタが淹れたコーヒーのおいしさを、再現性の高いコーヒーメーカーで自宅でも体験できる。
「ハイブリッド抽出」のコーヒーの味わいは?
そもそも、コーヒーはドリップ式かサイフォン式のどちらかで楽しむケースが多いだろう。そういう意味で「透過式」と「浸漬式」を組み合わせたハイブリッド抽出は、多くのユーザーにとって、これまであまり味わったことのない新体験となる。ハイブリッド抽出の味わいや香りなどはどのようなものなのか。
カフェマシン商品開発担当の久木野景介氏は、「透過式と浸漬式のメリットを取り入れた抽出方法に、マシンならではの温度や時間、湯量の制御を加えることで、雑味を抑えた深い味わいと、クリアな後味を引き出す」と解説する。
透過式は、お湯がコーヒー粉を通過することでストロングな「酸味」「苦み」「香り」を引き立てる。一方のコーヒーの粉をお湯に浸して成分を引き出す浸漬式は、「甘み」「コク」を引き立てる。この五つの特徴をバランスよく引き立てることで、深さとクリアさの両方を楽しめる。
「ハイブリッド抽出」を可能にしたテクノロジー
ハイブリッド抽出を可能にする新技術は、フィルターの底の弁を開閉制御する構造だ。弁を閉じれば「浸し」、弁を開ければ「注ぐ」となり、これと「浸し時間」「湯量」「温度」の三つの制御を組わせることで実現している。
「HYBRID BREW」は三つのメニューを搭載。「注ぐ」をより強調した「ストロング」、ハイブリッド抽出の「リッチ」、同じくハイブリッド抽出ながら湯量と抽出時間を短くした「アイス」の三つである。
トークセッションに参加したサザコーヒー所属のバリスタ飯高亘氏(高は「はしごだか」)は、「ワールド ブリューワーズ カップ2024」で準優勝、「ジャパン ブリューワーズ カップ2023」で優勝した経歴の持ち主。
ストロングとリッチの二つを試飲した感想として「ストロングはしっかりとしたボディ感があり、舌の中心で感じ、後味も長く続く。しっかりとしたコーヒー感があり、ほどよい苦みもある。リッチは舌全体で感じられ、やわらかく、飲みやすいバランスのとれた感じだった」と述べた。
また「深煎り豆はストロング、浅煎り豆はハイブリッドのリッチを選ぶのもいいだろう。リッチは、酸味がやわらかくなるイメージなので、よりバランスのいい味わいを楽しめるだろう」と、コービー豆とメニューの組み合わせによる楽しみ方も提案した。
発表会では記者向けに試飲会も実施。実際に三つのメニューを試飲すると、味わいや風味は明らかに違った。特に「リッチ」は雑味が少なく、よりクリアな味わいで、確かにこれまで体験したことのない味わいだった。
コーヒーメーカーに「ハイブリッド抽出」という新しい価値を提案する「HYBRID BREW」。発売後のユーザーの反応が楽しみだ。(BCN・細田 立圭志)