ハマスによるイスラエル襲撃から1年。テロや紛争のない世界の実現のための新たな一手として、元テロリストなどの当事者が主体となるグローバルタスクフォースを立ち上げました。

テロ・紛争解決を目指すNPO法人アクセプト・インターナショナル(東京都中央区、代表理事:永井陽右)は、テロや武力紛争に関わる若者(Youth Associated with Non-State Armed Groups: YANSAG)の権利やエンパワーメントに関する啓発や議論の促進を目的としたタスクフォース「Global Taskforce for Youth Combatants (GTY) 」を立ち上げました。

今回立ち上げたタスクフォースを軸に、世界中でテロや武力紛争に関わる若者が武器を置き、ユニークな平和の担い手となることができるよう、その権利や保護、エンパワーメントに関する新たな国際規範の制定を目指します。
 
YANSAG(Youth Associated with Non-State Armed Groups)とは、いわゆるテロ組織を含む非政府武装勢力に関わっている/関わった18~35歳の若者のことを指す言葉として、国際人権法・人道法の聖地であるスイスのジュネーブアカデミー(Geneva Academy)より当法人が新たに提唱しました。



タスクフォース(GTY)の立ち上げ背景
昨今の国際的な潮流では、若者は「未来を担うリーダー」であり、SDGsや平和構築の文脈においても非常に重要な存在とされています。私たちは、これまで熾烈な紛争地、そしてテロ・紛争の影響を受けている国々・地域で活動する中で、いわゆるテロ組織を含む非政府武装勢力にも多くの若者たちがいることを理解してきました。また、そのような若者たちは過激な思想などよりもはるかに、誘拐や、強制的な加入、経済・社会的な苦難、政府や国際社会への怒りなどといった理由でテロや紛争などの暴力に加担してしまったという背景があることも認識してきました。

テロや武力紛争に関わる若者(Youth Associated with Non-State Armed Groups: YANSAG ※)も今後の社会を担い、また複雑な背景や経験ゆえにユニークな平和の担い手になる可能性を秘めているにも関わらず、こうした若者は、「脅威」や「紛争の原因」として見なされ、国際社会において究極的に取り残されています。このことは、不安定な世界情勢の中で、彼ら彼女らが「やられたら、やり返す」といった憎しみの連鎖から離脱するのを困難にするとともに、新たな憎しみの連鎖を生むことにも繋がり、持続的な平和への大きな障壁となっています。

そこで私たちは、設立10周年を迎えた2021年に「テロや武力紛争に関わる若者の権利宣言」を公表し、テロや紛争に関わる若者ひとりが、若者としての可能性を発揮し、平和の担い手として社会に戻ることができるように、彼ら彼女らの権利やエンパワーメントに関する国際規範の制定に向けた取り組みを開始しました。

そして今回、そうした取り組みをさらに推進していくべく、テロや紛争に関わった当事者たちが主体となるタスクフォース「Global Taskforce for Youth Combatants (GTY) 」を立ち上げるに至りました。

ハマスによるイスラエル襲撃とイスラエルによる報復が始まってから1年。世界各地で終わらない「憎しみの連鎖」や、軍事的アプローチに基づく「テロとの戦い」において、テロや紛争に関わった当事者たちの可能性に着目し、彼ら彼女らが主体となってその重要性を国際社会に訴えかけていく取り組みは、世界初となります。
タスクフォース(GTY)の目的
今回のタスクフォースを軸に、現在世界中でテロや武力紛争に巻き込まれている若者たちに暴力ではない選択肢を提示し、彼ら彼女らが若者、そして平和の担い手として生きていくことのできる世界の実現を目指し、日本発でさまざまな取り組みを行っていきます。

具体的には、世界各国から集まったテロや紛争の当事者たちや、関連する分野の専門家や実務者に加え、テロや紛争の犠牲者などのメンバーと共に、グローバルな啓発活動、世界各地にいる当事者である若者の証言収集、国際会議の開催、提言文書や規範の条文作成などを行います。

さらに、世界中のテロや武力紛争に関わる若者が平和の担い手となるためのエンパワーメントプログラムの開発・実施や、そのような若者による取り組みおよび彼ら彼女らを支援する取り組みへの助成事業なども予定しています。
GTY公式サイト(英語)
※YANSAGとは
YANSAG(Youth Associated with Non-State Armed Groups)とは、いわゆるテロ組織を含む非政府武装勢力に関わっている/関わった18~35歳の若者のことを指す言葉として、国際人権法・人道法の聖地であるスイスのジュネーブアカデミー(Geneva Academy)より当法人が新たに提唱しました。このように現在世界中でテロや武力紛争に巻き込まれている若者たちに暴力ではない選択肢を提示し、彼ら彼女らが若者、そして平和の担い手として生きていくことのできる世界の実現を目指します。

代表・永井とスリランカのGTYメンバーの対話の様子

海外事業局の松下によるフィリピンにおけるYANSAGのニーズ・課題の聞き取り調査の様子

NPO法人アクセプト・インターナショナル 代表理事 永井陽右
「テロや武力紛争に関わる若者の権利宣言」を公開してからちょうど3年。この度、テロや武力紛争に関わる若者の権利とエンパワーメントをさらに後押しするために、グローバルタスクフォースを立ち上げました。

私は今、何をするべきかということを毎度ひたすら考えます。政治家でも公務員でも研究者でもない現場の実務者である私は何をするべきなのか。最上流から最も離れた最前線にいる問題の当事者たちの豊かな可能性をどう具現化できるか。そのための渾身の一手になると考えています。

これからさらに世界各地を渡り歩きながら、証言やデータを収集しつつ、国際規範の制定に向けた動きをより一層加速させていき、世界平和を掴み取りにいくべく行動してまいります。



神奈川県海老名市出身


NPO法人アクセプト・インターナショナル 海外事業局 海外総務部 松下真菜
海外総務部では、現在まで国際規範制定に向けた様々な取り組みを行ってきましたが、この度テロや紛争の当事者たちとともに、さらなる力強い一歩を踏み出します。

今回立ち上げたGTYは、テロや紛争に関わる若者の持つユニークな可能性を後押しする革新的なイニシアチブであり、設立に携われたことをとても誇らしく感じています。

まだ始動したばかりではありますが、混沌とした世界情勢の中で、GTYの存在とその取り組みが、平和構築や紛争解決といった分野において強烈なインパクトを与えることを確信しています。





東京都大田区出身


NPO法人アクセプト・インターナショナル
国内外で憎しみの連鎖といった負の連鎖をほどくことを目指して、2011年の創設以来、ニーズが非常に高いにも関わらず見捨てられてきた地域・分野・対象者に対して取り組みを実施してきました。海外では、紛争に加担した若者が平和の担い手となるための支援や、世界中の紛争当事者が暴力から離脱するための国際規範の制定に向けた働きかけを行なっています。また、日本国内においては特に取り残されがちなイスラム教徒を中心とした在日外国人への相談支援や、犯罪に巻き込まれた特に深刻な少年・少女への包括的な支援を展開しています。

組織概要
名称:NPO法人アクセプト・インターナショナル(NGO Accept International)
住所: 東京都中央区日本橋堀留町1丁目11-5 日本橋吉泉ビル3階
設立:2017年4月(前身団体・日本ソマリア青年機構は2011年9月設立)
代表理事:永井 陽右
主な活動国:ソマリア、イエメン、ケニア、インドネシア、コロンビア、パレスチナ、日本
公式サイト:https://accept-int.org/
代表メールアドレス:info@accept-int.org
代表電話:03-4500-8161
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