50代を過ぎてから配偶者と別れるのが一般的な「熟年離婚」の定義ですが、いわゆる「老後」を迎える直前で独身になることは、経済的な面だけでなく精神的なことでも不安を抱える人は多いものです。
年を取れば、人と積極的に関わることが億劫だったり気が引けたり、新しい人間関係を築くことになかなかエネルギーを割けないという人もいます。
それでも、人と関わるからこそ心の安定が得られるのも事実です。
熟年離婚後の人間関係を楽しんでいる人はどんなことを意識しているのか、実録エピソードをご紹介します。
「元夫とはずっと収入の差や家事の負担などで衝突が絶えず、長い期間、家庭内別居のような状態も経験しました。
それでも子どもがいるからと何とかがんばってきましたが、次男の就職が決まったときに夫からはっきりと『別居したい』と言われ、それならもう離婚のほうがいいと話し合いました。
財産分与では揉めたものの二分することで決まり、私が家を出ました。
正社員のおかげかひとり暮らしでもギリギリで生活はできて、自分のためだけに節約を考えることも苦ではありません。
年老いた両親に離婚を反対されたことはショックでしたが、『でもこの人たちは私の人生に責任を負ってはくれない』と思い、今は距離を取って接しています。
これを友人たちに話したら『その通りだね』と言ってくれて、心強かったです。
若いときに離婚を経験している友人は、『もう老後がすぐそこだからこそ、自分を大事にするためだよね』と、気持ちを理解してくれました。
離婚について、どんなときでもネガティブなイメージばかり話す友人もいて、その人とはさすがにお付き合いをする気は消えたのですが、こうして気の合う友人たちと穏やかに話せることを、大切にしたいと思っています。
楽しく会うために普段の生活もリズムや健康を意識するし、服も自分に似合うものを探す気が起こるので、離婚後の人付き合いは自分の気持ちしだいだなとしみじみ思います」(50代/総務)
どの年代でも、離婚についての考え方は人それぞれで、なかには極端な自論を持っている人もいます。
だからこそ、自分の決断を応援してくれる人の存在は、本当にありがたいもの。
向けてくれる信頼に足る自分でいるためにも、離婚後の自分に胸を張って生きる姿が、周囲との楽しいコミュニケーションを助けてくれるといえます。