グライダーで飛ばすというアイデアの面白さに高い評価
特別賞受賞メンバーの集合写真
2024年10月6日(日)、静岡県沼津市のプラザヴェルデ多目的ホールにおいて、アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト2024(高専ロボコン2024)東海北陸地区大会が開催され、鳥羽商船高専ロボコン部が特別賞(東京エレクトロン株式会社)を受賞しました。
高専ロボコンとは
アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)は、全国の高等専門学校生が既成概念にとらわれず、自ら考えて自らの手でロボットを作るという過程を通して、体験すること・発想することの大切さ・ものづくりの素晴らしさを共有する教育イベントです。毎年、異なる課題が設定され、ロボット製作における精度だけではなく、課題へのアプローチ方法、発想力そして独創性も評価の対象になります。
「ロボットがロボットを飛ばす」という難題な競技課題
学生が制作した競技フィールド模型。手前のフィールドから奥のフィールドに描かれた的に向かってロボットがロボットを投げる。中間の黒色領域はいずれのロボットも侵入できない。奥のフィールドに置かれた箱を回収することも得点になる。
今年度の競技課題は「ロボたちの帰還」で、月面探査機SLIMの「ピンポイント着陸」や、はやぶさ2 の「サンプルリターン」をイメージしたテーマでした。課題内容はロボットが別のロボットを投げて着地させ、投げられたロボットがボールや箱を回収して元の位置に再び戻ってくるというものです。投げられたロボットの着地点の正確性、ボールや箱の回収個数、そしてロボットを元の位置に戻すことが得点になり、2分30秒間でその合計得点数を競いました。
鳥羽商船高専チームが課題に挑むために考えたアイデア
今大会、鳥羽商船高専は2チームが出場し、それぞれが独特のアイデアで競技課題に挑みました。
- Aチーム「竹跳物語」
竹取物語をモチーフに、かぐや姫を擁するロボット1から、宝物を探しに行く貴族に見立てた、グライダー型、蛙型、など、様々なタイプのロボットを発射し、課題クリアを目指しました。グライダーでロボットの飛行を支援するというアイデアは審査員からも好評でした。
Aチームが製作したロボット。竹取物語を模したかぐや姫や竹の装飾にもこだわった。
- Bチーム「トバシマッス」
Bチーム伝統の空気圧シリンダによる投石システムを採用し、動物に見立てたロボット達を鳥羽志摩(飛ばしま)した。ボールはローラで射出し、ボックスは見えないワイヤーを登って運びました。特に、アンダースローでロボットを投げるという方法は他チームと異なるシステムだったため、会場でも注目されていました。
Bチームがロボットを製作している様子。学生が声を掛け合いながらミリ単位で調整していた(左)。すくいあげるようにして箱を回収する小型ロボット(右)
他チームにはない独特のアイデアに特別賞
東海北陸地区大会の結果、鳥羽商船高専は惜しくも全国大会出場を逃しました。しかし、物語性や細かい機構にこだわったロボットに加え、グライダーで飛ばすというアイデアの面白さが評価され、Aチームは特別賞(東京エレクトロン株式会社賞)を受賞しました。
今大会で製作したロボットは学校行事で展示・実演
今大会で製作したロボットは学校行事などで展示する予定です。鳥羽商船高専ロボコン部顧問の脇坂賢准教授は「今大会は昨年に比べて製作期間が1カ月ほど短かったため大変でした。しかし、最後まで気を抜かずにロボットを完成させた学生たちを褒めたいです。大会では数分という限られた時間だったことや、学校と大会会場の環境の違いなどから、ロボットの機能をすべて披露することが難しかったのが心残りです。学祭やオープンキャンパスなど様々なイベント等で、披露や実演する機会を設けられればと思いますので、ぜひ見に来てください」と話しました。
◆鳥羽商船高等専門学校について
鳥羽商船高等専門学校は明治8年(1875年)に芝新銭座二番地に航海測量習練所として創基し、その分校として明治14年(1881年)8月20日に三重県鳥羽町に鳥羽商船黌として創立されました。日本にある5商船高専のうち最も歴史の古い商船系高等専門学校です。船員を養成する商船学科とエンジニアを養成する情報機械システム工学科の2学科で構成され、科学的思考と高度な知識・技術を習得し、地域社会から世界まで幅広く活躍できる技術者を育成しています。
鳥羽商船高等専門学校の外観(左)と保有する練習船「鳥羽丸」(右)
【学校概要】
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 鳥羽商船高等専門学校
所在地:三重県鳥羽市池上町1番1号
校長:古山 雄一
設立:1881年
学校ウェブサイト:https://www.toba-cmt.ac.jp/
事業内容:高等専門学校、高等教育機関
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