株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊)は、北海道情報大学 情報メディア学部 向田 茂 教授との共同研究により、顔の部位ごとのシミが対人印象に及ぼす影響や、シミを改善したときの印象変化を詳細に解明しました。例えば、目まわりにシミができることは「若々しい」印象を損なうだけでなく、「疲れ」の印象を与えることや、それが改善したときには「若々しさ」や「健康的」といった印象が向上することを見出しました。これにより、お客さまの理想とする印象に応じて重点的にケアする部位のおすすめや製品開発への応用が期待できます。本研究成果の一部は、第26回日本感性工学会大会(2024年9月12~14日、東京)にて発表し、優秀発表賞に選出されました。
図1 目まわりのシミ改善による対人印象の変化
研究の背景
シミやシワは加齢とともに多くの人が抱える肌悩みです。いずれも顔の様々な部位に発生し、一般にエイジングを連想させる要素として認知されてきました。一方、それ以外の対人印象については体系的に整理されておらず、個々人の理想とする対人印象をどのように叶えるかは手がかりが少ない状況でした。そこで当社は、北海道情報大学 情報メディア学部 向田 茂 教授との共同研究により、シワ部位と対人印象の関係を見出し、化粧品によるシワのパーツケアの有用性を提示してきました※1。今回、シミについても発生部位と対人印象との関係を明らかにすることを目指しました。
※1 化粧品を用いたシワのパーツケアで対人印象を変えられることを実証
目まわりのシミは「若々しさ」の印象を損なうだけでなく「疲れ」の印象を与える
シミと対人印象の関係を評価するにあたり、実在する60~70代の女性118名の顔を画像処理技術で重ね合わせた標準顔を作成し、そこに鼻、目まわり、頬それぞれ部位別シミモデルを重ね合わせることでシミ部位別の印象評価画像を作成しました(図2)。印象評価には「若々しい ― 老けている」「健康的である ― 健康的でない」などの年齢印象以外も多角的に印象を評価できる20項目を用い、110人に画像を提示して印象評価を行いました。
図2 シミ部位別の印象評価画像の作成
シミを付与する前の標準顔とシミ部位別の画像を比較して評価してもらったところ、目まわり>鼻>頬の順番に印象への影響度が大きいことが分かりました。また、全シミ部位で「若々しさ」が標準顔より最も大きく低下しましたが、目まわりのシミは「疲れ」の印象を与え、鼻や頬のシミは「上品さ」といった印象を損なうことが分かりました(図3)。目まわりのシミは目周辺のコントラストの低下や、くまを連想させるため、「疲れ」の印象に繋がったことが考えられます。このことから、シミは従来想定される「若々しい」印象を損なうだけでなく、部位によっては「疲れ」の印象を与え、「上品さ」の印象を損なうという新たな知見を得ることができました。
図3 部位別のシミにより低下する対人印象
目まわりのシミ改善は若々しく健康的な印象につながり、鼻も若々しさの印象向上に効果的
次に、既にできてしまったシミを改善することで、どんな印象変化に繋げることができるかを検証しました。付与するシミの濃度を90%にした画像を作成し、100%のものと比較したときの印象評価を行いました。その結果、各部位で「若々しさ」の印象の向上が見られました(図4)。部位ごとに見ると、目まわりのシミ改善で変化の大きい印象は「自然体」、「若々しい」、「健康的」であり、ケアにより若々しく健康的で、自然体(ありのまま)に見えるようになるということが分かりました(図1)。鼻では「若々しい」、「自然体」、「清潔感」の印象が向上しており、若々しい印象に繋げるためには鼻も効果的なケア部位であると言えます。頬でも「清潔感」、「若々しい」「上品」の印象が向上しており、どの部位も若々しさ以外の印象変化を及ぼすことを明らかにすることができました。このことはシミ改善が若々しい印象をサポートするという従来の価値に加えて、お客さまの叶えたい対人印象に寄り添う手段になるという可能性を示しています。
図4 部位別のシミ改善時に向上する対人印象
今後の展望
本研究から、部位ごとのシミやその改善がどのように対人印象に影響するかを解明することができました。この研究成果は、カウンセリングなどでのケア提案や製品開発に応用することでお客さま一人ひとりのなりたい印象を叶えることを目指します。今後も対人印象や他の感性にまつわる研究に取り組むことで、ニーズに寄り添った商品提供や美容提案につなげ、お客さまのウェルビーイングの実現に貢献していきます。
参考情報 : 学術発表情報
学会名/表彰
第26回 日本感性工学会大会 優秀発表賞
発表タイトル
対人印象に着目した効果的なシミケアの提案 ~シミ部位と対人印象の関係性研究~
発表者/研究者
株式会社コーセー 田口 冴恵(発表者)、柿沢 英美、五十嵐 啓二、山下 美年雄、相良 圭祐
北海道情報大学 情報メディア学部 向田 茂
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