【日本全国を制覇したバンワーカーが教える至福のあれこれ・5】静岡県民のソウルフード、いや、もはや静岡の誇る食文化といっても過言ではない「さわやか」のげんこつハンバーグをご存知だろうか。県内34店舗限定で展開するこの炭焼きレストランは、通販なしの店舗販売のみという攻めた経営方針で、逆に多くの食通を虜にしている。県外から「さわやか巡礼」と称して訪れるファンも少なくない。事実、筆者は静岡を素通りできない体になってしまい、わざわざ高速を降りてお店まで車を走らせるようになった。
外観は統一された温かみのあるデザイン
(写真は「さわやか 浜北店」)
待ち時間問題もITでスマートに解決
ファミリーレストランらしい居心地の良さを感じる
人気店ならではの課題である待ち時間も、さわやかは独自のシステムで解決している。10時から稼働する発券機でコード付きの予約券を受け取り、スマホでコードを読み込めば、待ち時間をリアルタイムに確認できるのだ。
待ち時間をリアルタイムに確認できる
さわやかの公式サイトでは、各店舗の現在の待ち時間も確認できるため、空いている店舗を選んで訪れることも可能だ。IT技術をうまく活用すれば、こんなにスマートに課題が解決できるのだ。人気のある店が「行列ができる●●店」と呼ばれることがあるが、可能であれば行列はできない方がいい。このシステムは、全国の人気店に導入してほしい。
予約時間が近づくと、スマホに「そろそろ店内におこしください」というメッセージが届くので、入り口近くのスペースに設置されているベンチに座って順番を待つ。順番間近な人のみ店内に呼ばれるシステムなため、立って待つ必要がないのもうれしい。こんなところにも、さわやかのホスピタリティを感じる。
至極の一品「げんこつハンバーグ」
店員の案内で席につくと、テーブルの上に紙が置かれている。店舗や時期によって書かれている内容は変わるが、このときは「さわやかハンバーグの食べ方」解説だった。確か、別の店では「すごろく」だったと思う。待ち時間、退屈しないようにとの配慮だろう。ちなみにこの紙は、ハンバーグが届いた後、油ハネを避けるエプロン代わりにもなる。
エプロン代わりにもなる紙
この店の看板メニューでもあるハンバーグには2種類あって、「げんこつハンバーグ」が250g、「おにぎりハンバーグ」が200g。筆者はいつもおにぎりだが、筆者の夫はげんこつをオーダーする。ハンバーグの焼き具合もカスタマイズできるが、「肉汁たっぷり」でオーダーすれば、さわやかの真骨頂であるジューシーな赤身を楽しめる。赤身が苦手でなければ、ぜひ肉汁たっぷりを試してほしい。
俵型のハンバーグを店員さんが丁寧に二つに切り分ける
注文後、熱々の鉄板で運ばれてくるハンバーグは俵型だ。これを店員さんが丁寧に二つに切り分け、鉄板に押しつけて仕上げる。ソースは定番のオニオンソースがおすすめだが、ソースをかける前に岩塩と胡椒だけで肉本来の旨味を堪能してほしい。初めて店を訪れた人は、そのおいしさにきっと驚くだろう。
フレッシュな野菜が楽しめる「農園サラダ」
別メニューになるが、「農園サラダ」も見逃せない一品。しっかり冷やされたお皿に、季節の野菜が美しく盛り付けられる。普段あまり見かけないような野菜が楽しめるのも、この料理ならでは。オリジナルドレッシングとの相性は抜群だ。
「農園サラダ」も見逃せない一品
ランチタイムには季節のスープも付いてきて、さらに「げんこつおにぎりフェア」期間中はドリンクのサービスもある。そのため、フェア期間は来店客が多く、通常より長めに待つことになる。あまり待ちたくない人は、あらかじめフェア期間を調べておき、その期間を避けた方がいいかもしれない。
さわやかは、もはや単なるハンバーグ店ではない。温かいホスピタリティと確かな品質に心も体も癒される、特別な場所なのだ。だからこそ、高速道路を降りてでも足(車?)を運びたくなるのだ。(マイカ・井上真花)
■Profile
井上真花
雑誌、書籍、新聞やWeb記事などを制作する編集プロダクション「有限会社マイカ」の代表取締役。コロナ禍を機にフルリモート体制となり、自作キャンピングカーを職場とする「バンワーク」を実践中。2024年7月に全国制覇を果たした。