地球侵略のためにアイドル活動を始めたイケメン宇宙人たちが、地球の人々を巻き込みながらやがて人間の心を知り、本物のアイドルになっていく姿を描いたコメディー映画『ドルメンX』(6月15日全国公開)。劇中、体当たりでアイドルを演じている志尊淳、浅香航大、小越勇輝、堀井新太が、役へのアプローチ法や撮影エピソード、それぞれが抱く素直な思いなどを語ってくれた。
-ピュアでがむしゃらな隊長、明るくてお人好しだが負けず嫌いのイチイ、器用でプライドの高いフェミニン男子のニイ、ネットヲタク気味でインテリ系のサイという個性的なキャラクターですが、演じてみていかがでしたか。
志尊 隊長は漫画の世界だから成立する役なので、リアルに落とし込むことは難しかったけど、芯がぶれなければコメディーの部分でも感情の部分でも、どう振り切ってもちゃんと隊長でいられると信じて、(小室直子)監督と相談しながら作りました。
堀井 サイはネガティブで、一線引いてみんなを見ていて、一番しゃべらないけど、僕は真逆で、楽しくおしゃべりして場を面白くしたいタイプだから、たまに本番中に堀井新太が出てきて、「サイっぽくない」とNGになることがありました。
浅香 実際は俺の方がサイっぽいよね。イチイは一番人間くさくて、くだらないことにも本気でぶつかっていくので、その姿が面白いと思ってもらえるように頑張りました。
小越 ニイは器用だけど僕は不器用なので、努力しなくてもできちゃう人の気持ちが作品を通して伝わったらいいなと思いました。あと、すごくかわいいキャラですが、スタッフさんたちが「かわいい」と言って愛情もいっぱいくれたので、現場ではかわいくいられたと思います。
-歌やダンスなどのアイドルパフォーマンスが見どころですがが、苦労されましたか。
浅香 みんなそんなに苦労はしていなかったよね。唯一、緑色の人(堀井)の肩が上がっていなかったかな(笑)。
堀井 衣装は採寸してもらったけど、撮影時期に体を大きくしなきゃいけなくて…。そうしたら衣装がパンパンになってダンスシーンの本番で肩が上がらなくなりました…。
浅香 でも、やっているときは自分のことで精いっぱいで、周りはほとんど見られていなかったよね。仕上がりを見て、それぞれがキャラクターのイメージで歌って、踊って、表情を作っていて、個性が生きているなと感じました。
-隊長の歌もダンスも下手という設定は、うまく演じるぐらい難しそうですね。
志尊 台本のト書きには「下手に歌う隊長」としか書かれていなくて、指導が何もなかったので、僕なりの下手さをとことん追求しました。特に全音を外して歌うことは難しくて、みんなが僕につられてしまって「それ、本当に止めて」ってなっていたけど、僕は楽しかったです。
-志尊さんの最近の活躍は目覚ましいですが、本格的なコメディー作品は初めてですよね。
志尊 笑いを取りにいくというより、がむしゃらにやっている過程が笑いに変わる役柄なので、実は僕はコメディーだとは思っていません。そうはいってもコメディー要素は強く、ここまでのものはやったことがなかったので、軌道に乗るまでは監督に頼りっ放しでした。でも、慣れてからは自分でもアドリブを入れていました。
-例えばどういうアドリブを?
志尊 半沢直樹の物まねは(浅香に)「あれ、半沢っぽくない? 俺、まねしようかと思っているんだ」と話したら、「じゃあ俺、香川(照之)さんでいくわ」ってなって、リハーサルの段階で全力でやったら採用されました。他にも、漫画4巻を映画2時間にまとめているから、せりふがない裏の部分でも役を膨らませたくて、邪魔にならない程度に好きなように動いているので、挙げたらきりがないです。
浅香 そうだね。遊べるところは遊んだけど、香川さんのまねをしたのが正解だったのかはいまだに分からないです…。
志尊 絶対正解だよ!
-私も大正解だと思います。そういう振り切った笑いがあるから、嫉妬にかられたり、プライドが傷ついたりするシリアスなシーンが際立っていましたよね。ところで、皆さんには本作のテーマでもある“嫉妬”をしてしまう人はいますか。
志尊 (若手男性俳優集団)D-BOYSにいたときは、みんなどういう仕事をしているのか気にして、それが素晴らしい作品だと嫉妬していました。でも、嫉妬の先にあるもので成長していくので、悔しい気持ちもあるけど、一緒に頑張ろうとか、俺もそっちに行きたいなと思うようになり、今は嫉妬することはないです。
浅香 (メジャーリーガーの)大谷翔平選手。同い年ぐらいだよ。すごいよね。
堀井 昔は同年代の俳優が活躍しているのを見ると嫉妬していたけど、その時間がもったいないと感じるようになってからは純粋にすごいと言えるようになりました。それに、嫉妬は自分に可能性があるからするらしいですよ。確かに、オリンピック選手が金メダルを取っても嫉妬はしないですよね。なので、最近は嫉妬も頑張るきっかけにしています。
小越 僕はすべての人に嫉妬していますが、その話を新太くんから聞いたときに心に響いたので、それからは自分の可能性を信じて頑張っています。
-このメンバーの中でうらやましいと思う才能はありますか。
堀井 おごたん(小越)は振り覚えが一番早くて見せ方が上手。航大はナチュラルな芝居で感情を伝えられるところがとてもいいし、淳は全部を見習いたい。(D-BOYSで)初めて会った頃は引っ込み思案で本音を出さなかったけど、久しぶりに会うといい意味ですごく変わっていて人間らしさが出ていてずるい。格好いいし…。
志尊 新ちゃんは何をやっても許されるような人間性があるし、こう見えて筋を通す男気もあるのでうらやましい。(浅香は)「新ちゃんの芝居がいい」ってずっと言っていたよね。
浅香 うん、めちゃくちゃいい。
-逆に、これだけは誰にも負けないことは何ですか。
小越 思いつかないな…困った…。自分に自信がないですよ(笑)。
堀井 僕は腕相撲。八嶋智人さんと荒川良々さんと飲んでいたときに、大学生グループが「おごってくれないんですかぁ?」とノリで絡んできて、八嶋さんが「新太に腕相撲で勝ったらおごる」って言ったんです。そのあと、40人ぐらいを相手に全勝しました。
志尊 皆さんにとっての水が僕にとってのコーラで、1日最低2リットル飲むことを8年間続けているので、コーラの量だったら若手俳優の中で1、2位を争うと自負しています。
-それは間違いなく1位じゃないですかね。ちなみに、アイドル願望を持っていたことはあるのでしょうか。
堀井 子供の頃はSMAP、TOKIO、嵐とかが人気で、スポーツカーに乗っているようなきらびやかなイメージがあったので、あんなふうになりたいと思っていたし、人前に出ることが好きで、学校の全校集会では特に話すことがなくても前に出ていました。
志尊 テレビの向こう側は違う世界で、自分とは無縁だと感じていました。
小越 人前で歌ったり踊ったりすることが恥ずかしくて嫌いだったし、歌もダンスもできないのに人前に出るなんて考えられないので、アイドルになりたいと思ったことは全くなかったです。
堀井 完璧主義者だよね。俺なんか全然駄目でも人前に出たいもん。
浅香 (完璧を求めた)サイと真逆じゃん(笑)。
志尊 これ以上しゃべらないでもらっていい? (サイの)イメージが崩れるから(笑)。
(取材・文・写真/錦怜那)