2007年から11年まで講談社『別冊フレンド』に連載され、大ヒットした少女コミック『近キョリ恋愛』。教師の櫻井ハルカと生徒の枢木ゆに、禁断の関係を描いた少女漫画の王道ともいえる作品だが、ユニークなのはハルカもゆにも、ともにツンデレであることだろう。
整ったルックス、自信満々なのに親しみやすい雰囲気、わかりやすい授業で生徒たちに大人気のハルカは、まさに史上最強の高校教師!
対するゆには、どんなときにも決して表情を崩さず、グッと感情を飲み込んでしまう成績優秀な少女だ。英語が苦手なゆにのためにハルカがはじめたのは、放課後の特別な授業。ハルカがゆにの中にある脆さに気づいたことで、ふたりだけの時間が動き出す――。
究極の禁断の愛であり純愛、しかも主人公はパーフェクトな教師とクールな女子高生。少女漫画だからこそ成立するこのあやうくも美しい世界を実写で描き出すためには、キャスティングが最も重要な要素となる。
得意の英語を生かしてハルカを演じるのは、スクリーンではラブストーリー初挑戦となる山下智久。
“山P”とは呼べないような大人の色気と、その奥に隠された過去のトラウマと寂しさまでも感じさせ、これまでに見せたことのないような表情で観る者の胸をときめかせている。ゆにを演じるのは『渇き。』の強烈な存在感で話題をさらった小松菜奈。わずかな瞳の動きやスカートをギュッと握りしめる手の先にまで役作りが生きていて、気持ちをうまく表せないハルカをきめ細やかに演じた。