出続けられないから、「広げる」方法が必要になってくる
――ちなみに『musicるTV』に出ていた5年前くらい頃って、TV出演の反響はありましたか?
TЯicKY:テレビの反響は結構ありましたね。定期的にお店からCDの取り寄せがあったり、地方に行ってもCDが置いてあったり、物販でもCDがよく売れたりしていました。
――TVの影響力はまだまだすごいですね。
TЯicKY:終わったらすーっと引いちゃいましたけど。「出続けて」いないとダメなんですね。ひとつのことで出ても出続けられないから、「広げる」方法が必要になってくるんですよね。
自分でもラジオ局にサンプルCDを送ったり、いろいろやっていて、おかげさまで今回ラジオにはいくつか出させていただけるんです。
あと、この曲はカラオケ館やドン・キホーテなんかで流れてる有線の「キャンシステム」に登録されているんですよ。ドン・キホーテで毎日『シャンプー☆プロカリテ』が流れてたら楽しいと思うんですよね(笑)。ただ有線を契約していない人はリクエストできないみたいで、「店員さんにお願いしてみる」みたいな形になっちゃうんですけど……。もちろんお店の迷惑にならない前提で……。
――なかなか難しいですね。たくさんのバンドマン、ミュージシャンが“バズらせたい”と考えている時代に、頭一つ抜けるのは大変なことだと思います。
TЯicKY:そこで今回、バンドとは違う方法でできることは何か? と考えた結果、「豪華デュエットバージョン」という企画を思いついたんです。
TЯicKY『シャンプー☆プロカリテ2018』MUSIC VIDEO full ver.+ デュエットダイジェスト▶https://youtu.be/tu7-iNnojgs
集大成な企画になったと思います。“ベストプロカリテ”です(笑)
――そうですね、本作に収録されている豪華メンバーによる『シャンプー☆プロカリテ』のデュエットバージョンは、ある意味この10年間の集大成って感じですね。
TЯicKY: 参加者のほとんどが昔から付き合いのある方ですね。
――Jin-Machineのfeaturing16さんとあっつ the デストロイさんやマイナス人生オーケストラのハルさん、exハイパーポケットのアノコロイド・ノビタさんら盟友といえる方々から、CASCADEのTAMAさんやRickyさん、Daccoのお二方まで……。
TЯicKY: TVで見てた方ですから、それは感慨深いですね。
――umbrellaの唯さんと春さんも参加されていますが、あきらかに一生自分のバンドではプロカリテとは歌いそうにない人たちですよね。
TЯicKY: 世界観が正反対なんですけど、でもなんか人間同士の付き合いとしては長くて、仲がいいんですよ。それに春さんはベーシストで、ボーカルとして参加したCDはこれが初めてになるんです。春さんの事は本当に大好きだし、どうしても参加してほしくて。髪型も似てるし。
――ちなみに、この話を持っていったときに、参加者の皆さんはどういう反応でしたか?
TЯicKY:ほぼ皆さん二つ返事でしたね。天外冬黄さんは直接の面識はなかったんですけど、Unlucky Morpheusのドラマーのふ〜みん(FUMIYA)が、トリッキーバンド(※ワンマンなどでバンド編成を披露することがある)でドラムを叩いてくれていたこともあって。Unlucky Morpheusのライブもふ〜みんに誘われて観に行ったことがあって、いつか一緒になにかやれたらいいなと密かに思っていたんです。
ふ〜みん経由で話を持っていったんですけど、まあ彼は爆笑してましたね(笑)。冬黄さんは本格的なメタルのボーカリストなので。
――天外冬黄Verは、ビブラートがとんでもないことになってますからね。トラックはJin-Machineのひもりさん、デザインはex遺伝子組換え子供会の裏さんですね。
TЯicKY:ひもりんも裏さんも自分のことを理解してくれて考えてやってくれてるので、それが伝わる仕上がりになっていると思います。裏さんのパロディセンスは秀逸です(笑)
――以前のインタビューで、活動当初は出られる場所が少なかったとおっしゃっていましたが、今やデュエットしてくれる仲間もこんなに増えたということで。
TЯicKY:そうですね、すごく集大成な企画になったと思います。ベストアルバムとはちょっと違うけど、“ベストプロカリテ”です(笑)。
――やっぱりボーカルによってかなり印象が変わりますね。
TЯicKY:同じトラックだからどうなるかな? という気持ちもあったんですけど。完成するまでは予想できなかったけど、ボーカルが変わるとすごくおもしろくなるんだなあと、聴いていて楽しいです。
――良い意味でカラオケ大会っぽさがあるというか。
TЯicKY:ライブ後のお楽しみセッションみたいなイメージがありますね。
――そしてカップリング『それでも世界は変わらない』のお話も聞かせてください。TЯicKYさんのウェットな部分が出ていますね。
TЯicKY:だいたいCDを作るときは、1曲か2曲はメロディアスでウェットな曲を作るんです。ちょっと辛いときや悲しいときにお客さんが共感できるような曲を必ずひとつは入れていて、今回『シャンプー☆プロカリテ』がだーっと続く中で、こういうメロディアスな曲もできるんだよというのも見せたいなと。
――歌詞も切ないですね。
TЯicKY:プロカリテのデュエットにも参加してくれている、ノビタさんがバンド(※ハイパーポケット)を辞めるときの心境を綴ったブログ記事を読んだんです。
――2016年の12月、バンドをRPG風に「魔王を倒しに行く」と例えていたブログ記事ですね。
TЯicKY:皆勇者を目指して戦って村を出て、冒険して、傍から見たら「無念の死」でも、その無念の勇者にも背景があって、その人生を描きたかった。
この曲は昨年会場限定で出したシングル『あたしはモブ子』という曲の対になっているイメージです。『あたしはモブ子』の方はどこにでもいる女の子にもいろいろな感情があるんだよっていう曲なので、『それでも世界は変わらない』はそれに対するアンサーソングとも言えます。
勇者になろうとする人はたくさんいるけど、誰もが勇者になれるわけではないので、「勇者」なんだなあと思いながら書きました。
――そして、最後に、このリリースに関してのイベント情報はありますか?
TЯicKY:まずは16日から新宿タワーレコードでインストアイベントやおひとりさまワンマンライブがあります。あとはまだ言えないんですけど、この先も楽しんでもらえるようなイベントを考えています。