日本クレジットカード協会の店頭啓発ツール

日本クレジットカード協会(JCCA)やクレジットカード各社は、2025年3月31日をもって店頭でのクレジットカード取り扱い時のサイン(署名)による本人認証を廃止するとアナウンスしている。4月から、クレカを利用する際は原則として暗証番号の入力が必要になる。

日本クレジットカード協会の店頭啓発ツール

不正利用の防止やセキュリティを強化するため

クレカの利用時の署名などによる本人認証は、暗証番号(PIN=Personal Identification Number)の入力を省略することから「暗証番号入力スキップ機能(PINバイパス)」などと呼ばれる。3月31日に、これが廃止となる。

これまで、顧客がPINを忘れた際の対策として導入されてきたPINバイパスだが、不正利用の防止やセキュリティを強化するために廃止する。

なお、少額取引でPINによる本人認証が不要なタッチ決済もあるが、これは「PINレス取引」または「署名レス決済」として区別され、今後も暗証番号の入力は不要となる。

クレカの暗証番号を忘れた場合、別の決済手段に切り替えるか、カード会社に暗証番号の照会手続きをする必要がある。通常、照会手続きをした後、1週間程度で登録した住所に結果を記載したハガキが郵送されるなどあるので、各カード会社の照会方法を確認しておきたい。

JCCAが2022年に実施した消費者意識調査によると、PINバイパスがなくなった場合、困る人は3割半いるとする。困る人の特徴は、4割半が暗証番号をしっかりと覚えてなく、暗証番号を「覚えるのが面倒」「入力が面倒」と感じている。

一方で、安全性を考慮すると、約8割が暗証番号入力の必要性を理解している。

スマホの生体認証ならサイン認証が不要な場合も

4月からクレカで決済する際は、暗証番号の入力が必要となるが、磁気カード決済(磁気スワイプ)など、決済手段によっては従来通りのサイン認証でいいものもある。

例えば4月からの楽天ペイ(実店舗決済)の場合、次の三つとなる。

(1)ICカード決済(挿入)の場合、暗証番号入力が必須。

(2)タッチ決済(クレジットカード)の場合、これまで通り1万円までは「サイン不要」、1万1円以上は「サイン必要」。スマホやウェアラブル端末でタッチ決済する場合、生体認証による本人確認を実施するため、サイン認証が不要な場合もある。

(3)磁気カード決済(磁気スワイプ)の場合、これまで通り「サイン認証」。

磁気カード決済以外、クレカ決済で暗証番号を覚えておくに越したことはない。