先日、全日本CDショップ店員組合による『第4回CDショップ大賞』の入選作品が発表された。
今年で4年目ということもあり、音楽ファンの間ではすっかり定着した感もあるが、改めて賞の概要を確認してみよう。
『CDショップ大賞』は、全国のCDショップ店員が選んだ、“売りたい! 聴かせたい! 作品No.1”を決めるもので、メジャー、インディーズを問わず、過去1年間に発売された作品を対象とし、一次と二次の2回におよぶ投票を経て、「大賞」の他に様々な賞をアーティスト及びその作品に授与するもの。ちなみに過去3回の大賞/準大賞作品は以下となっている。
第1回・2009年
準大賞
大橋トリオ『THIS IS MUSIC』
Perfume『GAME』
第2回・2010年
大賞
THE BAWDIES『THIS IS MY STORY』
準大賞
清 竜人『PHILOSOPHY』
Superfry『Box Emotions』
第3回・2011年
準大賞
神聖かまってちゃん『友だちを殺してまで。』
SEKAI NO OWARI『EARTH』
秦 基博『Documentary』
書店員の投票で決まる『本屋大賞』もそうだが、こういう“プロが選ぶアワード”のラインナップにおいては、「一般人も納得の王道作品」と「プロならではの視点が光る作品」のバランスをいかに取るかが肝だ。どちらかに偏りすぎてもダメで、「さすがプロが選ぶと違うな」という信頼をいかに得ることができるかが、アワードの説得力に大きく影響する。
ここで改めて確認しておきたいのが、『CDショップ大賞』の公式サイトに選考基準として記された以下の文言である。
「行かなきゃ会えない音がある。」そんなキモチを全国のCDショップ店員が共有し、「心から売りたいと思える作品」「お客様に絶対聴いてもらいたいと感じる作品」そして「きっと誰かの人生を変えてしまうかも知れない作品」を選考します。一般の音楽ファンの皆さまに、今まで知らなかった素晴らしい作品やアーティストとの出会いをご提供できるような賞でありたいと考えています。
そう、『CDショップ大賞』は、単にショップ店員がいま売りたい作品に投票するのではなく、この賞(=CDショップという場)が、リスナーがいままで知らなかった音楽との出会いの場になることが、大きな目標となっているのだ。同じくプロの売り手の投票による『本屋大賞』が「売り場からベストセラーをつくる!」と堂々と宣言しているのに比べると、受け手側へのアプローチの違いが分かると思う。この賞の候補に上がるアーティストや作品が、デビューしたてのニューカマーや、いままさに伸び盛りといったアーティストが多く選出される傾向があるのは、賞そのもののコンセプトによるものが大きいのだ。