「夫と家庭内別居になったのは、私がある男性を好きになったからです。

完全な片思いで接触すらない状態でしたが、文句が多くて嫌味ばかり言う夫と正反対の人間性に惹かれました。

夫と同じ寝室で寝ることが耐えられなくなって、私が私物を持って和室の客間に逃げてから家庭内別居が始まりました。

息子がひとりいて離婚は考えておらず、家のなかでは三人でいるときだけ妻と母親を演じている状況でしたね。

夫はそんな私を見ても特に文句も言わなかったので、向こうもとっくに愛情や関心はなかったのだろうと思います。

それでもいいと腹を括っていましたが、片思いしていた相手が県外に転勤で行ってしまい、心が空っぽになったらやっぱり夫との関係を考えざるを得ないんですよね……。

家庭内別居は異常な状態とわかっているし、今後息子が家を出た後のことなど想像したら、早めに何とかしておかなければと思いました。

今さら夫に愛情を感じる機会などなけれど、せめて会話のあるふたりには戻りたくて、私から夫に挨拶など声をかけていきました。

最初、夫はびっくりして冷たい態度を取っていましたが、子どもの前では普通に話そうとしてくれるので、それだけで満足でしたね。

用事以外でやり取りすることがなかったLINEで、『晩ごはんのおかずは何がいい?』と尋ねたら好物のハンバーグと返してくれたり、休日の予定を伝え合ったり、少しずつコミュニケーションを増やしているところです。

先日、夫のほうから『今日は俺が息子の塾の迎えに行く』とメッセージがあって、ものを言いやすくなったことを感じました。

愛情までいきなり復活とはならないけれど、やっぱり会話があるとお互いに関心を向けられるようになるのかなと思っています」(50代/小売業)

配偶者に嫌悪を覚えるから家庭内別居に至るのがほとんどで、そこから新婚当時のような愛情が復活することは、なかなか難しいのではと感じます。

このケースでは、別に好意を向けていた人を失ったことがきっかけで改めて今の状況を考えるようになり、妻側が変わることを望みました。

小さなコミュニケーションを重ねることで少しずつ復活するのは信頼が先かもしれず、それが夫婦の絆と実感できれば、夫のほうも心を開いていけるのかもしれませんね。