「元妻とは、向こうの浮気が原因で離婚しました。

自分は金融の仕事で平日は残業が多く、休日はなるべく家でゆっくりしたいからと妻の相手をあまりしていなかったのは確かに悪いと思ったのですが、

『私ばかり家事をして休みの日まであなたの都合に合わせて、何だか家政婦みたい』

と嫌味を言われて、じゃあ自分も俺と同じくらい稼いでみろよと思っていましたね。

家事は折半する約束だったけれど、こっちは仕事を放置できないのだから妻が支えるのは当たり前で、広い部屋に住めるのも自由に買い物ができるのも俺の収入があるからで、給料は全部渡しているのに文句を言ってくる妻には、自分も愛想が尽きかけていました。

妻から『好きな人ができたから別れてほしい』と言われたのは、こんな状態だといずれ仮面夫婦になると先のことを考えていたときで、このタイミングだと思い、頷きました。

貯金を折半して離婚は成立して、妻が出ていってからはひとり暮らしになりました。

ギスギスした空気のなくなった部屋は解放感があって、自分ですることになった家事も一人なら別に大きな負担ではなくて、残業しても日曜にだらだらしても嫌味を言われない生活は快適でした。

一つ失敗したのは、会社の同僚に離婚の原因について元妻の浮気だと正直に話したことです。

離婚後しばらくして、会社内で『奥さんに浮気されて出ていかれたらしい』と自分について噂が流れているのを知って、びっくりしました。

きっかけは当然その同僚しかおらず、問い詰めたら『うっかり人に話してしまった』と謝られましたが、協議離婚なのに一方的に離婚届を突きつけられた男のような目で見られて、いちいち訂正するわけにもいかず本当にストレスでしたね……。

元妻の浮気は事実だし仲が冷めていたのも本当だけれど、『奥さんに浮気されるような人』と思われるのは心外です。でも、仕事にかまけていたのを社内の人たちは知っているので、そう取られるのも仕方ないのかと、このときに気が付きました。

しばらく耐えていたら噂は消えて元の空気に戻りましたが、離婚については今後誰にも話さないと決めています……」(男性/35歳/金融)

離婚は人生の一大事ですが、他人のそんな経験を誰かと話題にして盛り上がろうとする人は、少なからずいます。

特に浮気や不倫など醜聞ともいえる状態は、刺激を覚えて誰かと話したい気持ちが出る人は多いもの。

たとえ信用して打ち明けるとしても、そのときに「他言無用」はしっかりと伝えるのが最善です。

特に会社などは立場に影響することもあるので、離婚の理由を人に話すのは慎重になるのが自分のためといえますね。