「Coke ON」「トイザらス・ベビーザらス」などで利用できる。年内にさらに追加予定だ

【家電コンサルのお得な話・275】 キャッシュレス決済が広がる中で、デジタル商品券の個人間送付の需要が高まりつつある。その象徴が、10月に始まった「PayPayギフト」である。店舗を指定して金額を送るだけという単純な仕組みで、住所も知らなくていい。アプリからの操作で、手数料はかからず、金額は1円単位で設定できる(最小金額は店舗によって異なる)。PayPayギフトを受け取った側はPayPay商品券として自動で登録され、支払い時に提示する手間もない。

「Coke ON」や「トイザらス」などで使える商品券を送れるように

「PayPayギフト」の場合、余った残高は次回に繰り越せるため、従来の紙の商品券にあった使い切り(追い金)のストレスもない。最大の利点は、贈る側の労力が大きく削減される点である。

ギフト選びの時間、在庫確認、送付作業、包装といった手間がすべて不要になり、購入した瞬間に相手へ届く。実店舗を回る必要もなく、相手の住所も知らなくてよい。用途に合わせたラッピングデザインも選べるため、形式的な冷たさも感じさせない。受け取った側は、指定された店舗の範囲内で自由に商品を選べるため、趣味の違いやサイズのミスマッチなど、従来ギフトが抱えてきた問題も回避できる。

この利便性を知った時、自分自身の生活に照らしてピンときた場面がある。私には孫が七人いる。人数が一人、二人の頃は、本人の希望を聞き、その商品を買って渡すという昔ながらのやり方ができた。しかし人数が増えると、リクエストをまとめ、在庫を探し、店を回って購入し、包装して揃えるという一連の作業は正直、もうできない。そこで昨年からは、子どもたちに「孫のプレゼントとして使ってほしい」と現金を渡して任せるようにした。ストレスを感じない良い方法だが、孫本人ではなく親に渡したお金が本当に孫へのプレゼントに使われたかどうかという、「我が子だからこその不安」がどうしても残る。

その点で、PayPayギフトは私の悩みに実務的な解決を与えてくれる。店は選ぶ必要があるが、商品まで指定する必要はない。受け取った商品券は指定の店舗でしか使えないため、日用品の買い物に使われる心配は少なく(ただし、対象店舗には普段使いの店も含まれている)、意図通り、孫へのプレゼントの購入代金に充当される可能性が高まる。贈る側の負担が大幅に減りつつ、「本人の手に届きやすい」という安心感も得られる。これは現金では実現できなかった利点である。

あとは、加盟店の充実だけだ。クリスマスまでに、サービス開始時の第一弾発表分に加え、どのような店舗で使用が可能になるのか、楽しみにしたいと思う。現実的には来年くらいになるのだろうか。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所 堀田泰希を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実践的内容から評価が高い。