GSアライアンスの森良平博士、3次元的構造のジャングルジム型太陽光発電システムを考案

GSアライアンスは12月2日に、同社の森良平博士(工学)がジャングルジムのような3次元的構造の、新たな太陽光発電の方式を考案し、今後実証実験を行うと発表した。

3次元構造だから少ない面積で設置・運用できる

太陽電池は、シリコン型、化合物系、ペロブスカイト型、有機薄膜型、量子ドット型などいくつか種類があるが、市場でもっとも広く普及しているのはシリコン型の太陽電池で、メガソーラー発電にも用いられている。

シリコン型太陽電池は、見かけは黒っぽく不透明で太陽光が当たっている反対側には光が透過しないため、太陽電池の発電する面を太陽に向ける必要がある。また、曲がらないので太陽電池の面積を横に、2次元方向に広げることしかできないので、メガソーラー発電を行うには森林を大規模に伐採するしかない。

一方で、有機薄膜太陽電池は半透明で、材料を選択すれば透明な太陽電池にもなるため、太陽光が太陽電池の発電する面を透過して反対側でも発電が可能になる。また、シリコン型太陽電池とは異なり、曲げることもできる。

森良平博士は、有機薄膜太陽電池のこのような性質に着目し、ジャングルジムのような支柱となる構造を作って、ジャングルジムを構成する縦横方向すべての支柱に有機薄膜太陽電池を巻き付けて発電する構造物を考案した。支柱も透明にすることで、横方向、2次元的に広げるだけでなく、縦方向、高さ方向、3次元的にも拡張できることになる。

ジャングルジム構造の支柱が完全に透明なら、理論的には高さ方向にどれだけ拡張しても問題ないため、既存の森林を伐採して2次元方向に太陽光パネルを設置する、といった問題の発生を防げる。

ジャングルジム構造の下部に十分なスペースを確保すれば、畑の上にソーラーパネルを設置して農業と太陽光発電事業を同時に行う「ソーラーシェアリング」事業の、新たな形状方式の提案も可能になる。

GSアライアンスは、このようなモデル構築物を2026年度初期に完成させて、実証実験を行うことを目指している。しかしながら、仕様検討する有機薄膜太陽電池の透明度は、現時点ではそれほど高くないため改良が必要であり、光―エネルギー変換効率も既存のシリコン型太陽電池と比較すると半分以下と低いので、今後の開発が必要となる。

透明度やエネルギー変換効率の性能は有機薄膜太陽電池の構成材料であるドナー、アクセプター材料に大きく依存する。そのため同社は今後、有機薄膜太陽電池のドナー、アクセプター材料の合成、事業化の検討も進めていく。さらに、構造を工夫すれば透明度が上がるペロブスカイト太陽電池の応用も検討する。