トランプに怯むな、むしろ利用せよ! 日本農業を再生に導く現役農家による提言

株式会社新潮社は、野口憲一さんによる農業論『コメ関税ゼロで日本農業の夜は明ける』を、本日12月17日(水)に新潮新書より発売いたします。



コメの関税をゼロにする。そう聞いたら、「そんなの無理」「日本農業が壊滅する」とお考えになる方が大半かも知れません。それでも、本書の著者である野口憲一氏は、本気でこの提言をしています。

野口氏がそう考えるのは、「日本の農業が抱えてきた構造問題」の解決が目的です。戦後の日本の農政は、「国民の胃袋を満たすための安定供給」を最優先とし、この政策のもとでは農家は「豊作貧乏」を受け入れるしかありませんでした。日本の農業は高度な技術を持ち、世界に誇れる品質の農産物を生産しながら、その対価は農家の手元に残らない。「やりがい搾取」が構造化されていたわけです。

農家の長男として生まれた野口氏は、この構造が許せなかったといいます。農家は経済的な対価のみならず、仕事に対する社会的な評価も得られない。農家が本来手にすべき経済的な価値、そして労働に対する誇りを取り戻すために野口氏が考えたのが、「ピラミッド型の市場構造」の構築であり、その実践としての「1本5000円のレンコン」の販売でした。この実践は大成功し、現在では「1本5万円」のレンコンも商品化するまでに至っています。また、アメリカやヨーロッパへの高級レンコンの輸出も実現させました。

日本の農業が持つ価値を正しく市場に認めさせ、正当な対価を得る。その舞台は日本だけに限らない。正当な市場競争で世界と闘うためには、「関税」という参入障壁はむしろ邪魔になるのです。農家の長男として生まれた野口氏が願うのは、日本の農家が真に自立すること。そのためには「コメの関税をゼロにする」という劇薬が効く、と考えているわけです。



実際にコメの関税がゼロになったら、日本の農業が大きな試練にさらされることは確かです。野口氏は「その時こそ農協の出番である」と言います。農産物の競争力強化や輸出拡大を言う論者は、しばしば農協を否定する傾向にありますが、野口氏はそう考えません。野口氏は農協を「農家に代々受け継がれてきた農家の暗黙知や技術を継承するための知のインフラ」として再定義し、その枠の中で農家が共同してできることがたくさんある、と言います。農業の価値の源泉を「農家のソフト」に置けば、農協は貴重な資産になるのです。

本書は、農業法人の役員として日々、商売している現役農家の立場から書かれた農業論ですが、同時に、著者と同じように日本の農業を担っている現役農家たちに向けたエールでもあります。日本でもインフレ時代が到来し、コメ価格の高止まりが続いている今こそ、「日本農業の高付加価値化」を提言する本書は、読む価値が大きい一冊です。

■ 書籍内容紹介
コメ関税ゼロ。それは、日本農業を再生に導く一番の特効薬である。本当の競争にさらされる時、農家は「どうやって儲けるか」を真剣に考えざるを得なくなる。激変する市場に対応するには、日本の農業の中核にある「農家のソフト」を継承・発展させるための装置としての農協を活用すればいい。「やりがい搾取」の構造を脱し、本来の価値を取り戻した時、日本農業の夜は明けるのだ──。闘う現役農家による激辛の提言。

■ 著者紹介
野口憲一(のぐち・けんいち)

1981年、茨城県新治郡出島村(現かすみがうら市)生まれ。株式会社野口農園取締役、民俗学者。日本大学大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程修了。博士(社会学)。著書に『1本5000円のレンコンがバカ売れする理由』『「やりがい搾取」の農業論』がある。





■ 書籍データ
【タイトル】コメ関税ゼロで日本農業の夜は明ける
【著者名】野口憲一
【発売日】2025年12月17日
【造本】新書
【本体定価】968円(税込)
【ISBN】978-4-10-611108-2
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/611108/
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