なぜいま「ビオサケ」が注目されるのか?
ユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」に関わる日本酒業界最大の団体である日本酒造組合中央会(以下、中央会)では、2025年11月29日(土)、「BIO SAKE EXPO 2025」を日本の酒情報館および中央会会議室にて開催いたしました。
本イベントは、サステナビリティへの関心の高まりを背景に、伝統製法やオーガニック等 「自然と向き合った酒造り」の考え方に着目し、日本酒における新たな潮流を紹介するものです。 試飲、セミナー・パネルディスカッションで構成され、100名を超える熱心な来場者でにぎわいました。

BIO SAKE EXPO 2025

BIO SAKE EXPO 2025
■なぜいま「ビオサケ」が注目されるのか?
世界的に、環境や生態系に配慮した生産方法や、造り手の哲学を重視する消費行動が広がるなか、酒類においても同様の潮流が見られます。日本酒においても、精米歩合を中心とした従来の価値基準から、原料や酒造りへの向き合い方をベースとした、新しい価値を求める動きが現れてきました。BIO SAKE EXPO は、そうした考え方を背景に持つ日本酒を「ビオサケ」という文脈で紹介し、その多様な可能性を体験的に伝えるイベントとして開催されました。
■制度としての「有機」を学ぶセミナー「令和7年10月以降の酒類有機認証制度について」
まず、国税庁 酒税課 課長補佐・根本浩之氏によるセミナーが行われ、令和7年10月以降に本格運用が始まる酒類有機認証制度について解説がありました。講演では、有機JAS制度を基盤とした酒類の有機表示の考え方や制度の背景に加え、 海外市場において有機認証が、酒の特性や造り手の姿勢を伝える「共通言語」として機能している点、また外国との制度の同等性認証が進んでいることにも言及がありました。
国税庁 酒税課 課長補佐・根本浩之氏によるセミナー

有機認証は味の優劣を示すものではありませんが、輸出の現場では商談や商品説明の入口として有効に活用されており、 日本酒の海外展開を考えるうえでの一つの選択肢として、その実務的な意義が共有されました。
■ パネルディスカッション「身体がよろこぶ美味しさとは?」
続いて、 パネルディスカッション「身体がよろこぶ美味しさとは?」 を開催。パネリストには、月の井酒造店 杜氏・石川達也氏(醸造家)、ヴィナイオータ 社長・太田久人氏(自然派ワイン輸入販売)を迎え、進行を酒と食の編集者・浅井直子氏が務めました。

月の井酒造店 杜氏・石川達也氏

ヴィナイオータ 社長・太田久人氏

酒と食の編集者・浅井直子氏
石川氏は、原料や気候と向き合う酒造りの現場について、「すべてを均一に整えるのではなく、その年、その土地の違いを受け止めながら酒としてまとめていくことが大切」と語り、自然条件を尊重する酒造りの姿勢を紹介しました。
太田氏は、ワイン業界の視点から、「ビオやナチュラルは、厳密な定義よりも、造り手がどんな考え方で向き合っているかを共有するための言葉」と述べ、日本酒においても同様に“文脈として理解されていく可能性”を示しました。
浅井氏からは、「飲み続けたときの心地よさや、身体へのなじみ方を大切にする人が増えている」という消費者側の変化が紹介され、「身体がよろこぶ美味しさ」というテーマが、味覚だけでなく体感として共有されるセッションとなりました。
■ 試飲会:多様な“ビオサケ”の味わいを体験
試飲会場では、有機栽培米を使用した酒、生酛や酵母無添加といった伝統的な製法を大切にした酒など、 約20アイテムの日本酒を有料で提供。会場では商品販売も行われました。来場者は、酒の背景や造り手の考え方に耳を傾けながら試飲を楽しみ、 「厚みのある旨味」「穏やかな香り」「土地の個性を感じる味わい」など、 ビオサケの多様な表情を体感しました。
「日本の酒情報館」で多くの来場者がビオサケの魅力を体験

■ ワークショップ:タガ編みの腕輪づくり体験
会場では、伝統的な木桶作りの技術であるタガ編みを体験する、門之園知子氏による「タガ編み・腕輪づくり」が行われました。タガ編みは熟練を要する技術ですが、門之園氏のインストラクションによって参加者の皆さんはオンリーワンのカラフルな腕輪作りを楽しんでおられました。
門之園知子氏による「タガ編み・腕輪づくり」

日本の酒情報館 館長・今田周三からは、「ビオサケという限りなく自然と向き合った酒造りを通じて、自分にとっての美味しさとはなんだろうという根本的な問いを、改めて頭で考えるのではなく身体で感じて頂きたいと思っています。」とコメントがありました。

日本の酒情報館 館長・今田周三
BIO SAKE EXPO 2025は、 制度としての『有機』 と考え方としての『ビオ/ナチュラル』それぞれの視点から、日本酒の新たな可能性を紹介するイベントとなりました。ビオサケという文脈は、造り手と飲み手が対話しながら育てていく新しいジャンルとして、本イベントが、その入口となることが期待されます。
『 BIO SAKE EXPO 2025 』概要
【日時】11月29日(土)13:00~17:00
【場所】
試飲会場:日本の酒情報館、セミナー会場:中央会3階会議室(東京都港区西新橋1-6-15 日本酒造虎ノ門ビル1F/3F)
【主催】
日本の酒情報館
【内容】
20~30種類の自然派日本酒のチケット制 有料試飲及びセミナーを開催
【プログラム】
1.酒類有機認証制度について(国税庁酒税課 根本浩之)
2.パネルディスカッション「美味しいとは何か?」(醸造家:石川達也、自然派ワイン販売:太田久人、進行:浅井直子)
3.タガ編みアクセサリー作りワークショップ(門之園知子)
<日本酒造組合中央会について>
全国約1,600の日本の伝統ある酒類(日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりん)メーカーが所属する日本酒業界最大の団体。酒類業界の安定と健全な発展を目的とし、1953年に設立。ユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」により生み出される「國酒(こくしゅ)」である日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりん等について魅力を広めることにより、世界の食文化の多様性に貢献し、国内外の需要拡大につなげる活動に取り組んでいます。
■公式HP: https://japansake.or.jp/sake/
<「清酒」と「日本酒」 呼称の違いについて>
「清酒」(Sake)とは、海外産も含め、米、米こうじ及び水を主な原料として発酵させてこしたものを広く言います。「清酒」のうち、 「日本酒」(Nihonshu / Japanese Sake)とは、原料の米に日本産米を用い、日本国内で醸造したもののみを言い、こうした「日本酒」という呼称は地理的表示(GI)として指定・保護されています。
※海外産米を用い、又は海外で醸造した「清酒」、「SAKE」のことを「日本酒」と表記することは誤りとなります。
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