千円でべろべーろになれるせんべろ酒場。
前回に続いてまた聖地赤羽に帰ってきてしまった。
赤羽せんべらーは何度でも赤羽に舞い戻るブーメラン。
「まるよし」は創業半世紀以上の名もつ焼き屋だが、決して華やかではない。
むしろ地味。東口駅前のめためた目立つ場所にありながら、素通りされてしまうこともある。
しかし、昼間っからやっていて赤羽ビギナーと待ち合わせるにはもってこいの店。
そんなわけで、ちょいちょいやって来るのだが、ここでの一人酒は初めてであった。
来るはずの連れが来ない。30分を過ぎても来ない。40分を過ぎた頃、
「じつはまだ仕事中で」と呑気なメールが来た。
こっちはすでに飲みモードフル回転である。同情も待機もしない。一人で始めるまでだ。
がらがらと引き戸を開けると、一瞬「お一人?」という顔をするカチューシャ姉さん。
人差し指を立てると、「どうぞどうぞ、お嬢さんこちらへ~」
お嬢さん…。久方ぶりに呼ばれて涙が出そうになる。
コの字カウンターと小上がりの小さな店で、誰よりもパワフルに声を張る看板姉さんは、
今日も若々しい。チェックのミニスカにちびパーカー。
その他の姉さんたちを励ましたりキレたりしながら取りまとめている。
年齢不詳だが、赤羽のAKBリーダーということに今夜認定した。
「ごらいてーん」
「おかえんなさい」
「あら、おつかれさま~」
と、相手によって迎える言葉をマイナーチェンジさせているところがにくい。
「焼きものはアタシに言ってね」と可愛く言うので、レバやこぶくろ、はつなどを頼む。
とくにここは早い時間に来れば、安くて盛りのいい新鮮なレバ刺しもある。
レバ焼きもレアでぷるぷる感がたまらない。