ソニーは、ソニーセミコンダクタでの積層型CMOSイメージセンサの生産能力増強を目的とした設備投資を2015年度に実施する。また、ソニーセミコンダクタは、イメージセンサー事業の強化、集中を加速するなかで、LSIを中心とした半導体高密度実装の開発・生産拠点である大分テクノロジーセンターでの事業を2016年3月末で収束する。
今回の設備投資は、長崎テクノロジーセンター(長崎テック)と山形テクノロジーセンター(山形テック)、熊本テクノロジーセンター(熊本テック)の3拠点で実施。総額約1050億円を見込んでいる。内訳は、長崎テックに約780億円、山形テックに約100億円、熊本テックに約170億円で、主に積層型CMOSイメージセンサに関するマスター工程と重ね合わせ工程の製造設備の増強に充てる。
これによって、イメージセンサの総生産能力は、現在の月産約6万枚から2016年6月末には月産約8万枚まで増強。ソニーは、イメージセンサの総生産能力を月産約7万5000枚へ引き上げることを中長期の施策に掲げ、昨年3月の山形テック設立や各拠点での製造設備増強を積極的に推進してきた。今回の設備投資によって当初の目標を前倒しにして、それを上回る規模で実現する。
積層型CMOSイメージセンサは、裏面照射型CMOSイメージセンサの支持基板の代わりに信号処理回路が形成された半導体チップを用い、その上に裏面照射型画素が形成された半導体チップを重ね合わせたもの。高画質化と高機能化、小型化が実現でき、スマートフォンやタブレット端末など、拡大するモバイル機器市場で今後の需要増が見込まれる。ソニーは、積層型CMOSイメージセンサの生産能力を増強し、一貫した供給体制をさらに強化することで、イメージセンサ事業でのリーディングポジションを固める。
ソニーセミコンダクタは、LSIを中心とした半導体高密度実装の開発・生産拠点である大分テクノロジーセンター(大分テック)での事業を2016年3月末で収束する。大分テックは、1984年からメモリの組立て(パッケージ)生産をスタートし、最近はゲーム向けLSIの先端パッケージなどの開発・生産を行ってきたが、事業環境の変化に伴い収束を決定した。大分テックの従業員約220名は、集中領域であるイメージセンサの拠点と大分テックの業務移管先となる他のソニーセミコンダクタの拠点への異動を予定している。