~難病と生きる患者・家族・医師が本音で語る。北海道小児膠原病の会4周年記念イベントに協力~
一般社団法人膠原病PR協会ミライ(代表理事:下條 真矢、所在地:東京都渋谷区、2025年7月3日設立)は、2025年11月29日(土)、札幌市エルプラザにて開催された北海道小児膠原病の会(代表:さくま しほこ、2021年12月25日設立、以下「同会」)主催の4周年記念イベント『お医者さんのきもち、わたしのきもち』に、協力団体として参加しました。

当日は、患者・家族・医療者が一堂に会し、それぞれの立場から「本音」を共有する貴重な機会となりました。代表理事の下條自身も、多発血管炎性肉芽腫症の当事者として患者の立場で登壇しました。
膠原病は、病態や治療法、日常生活への影響が複雑であるがゆえに、患者・家族・医師、さらには学校や職場など周囲の人々との間に「認識のズレ」が生じやすい疾患です。このズレは、「どう伝えればいいかわからない」「誰にも理解されていない気がする」といった感情を生み、患者を深い“孤立”へと追い込む要因となります。
本イベントは、互いの「気持ち」と「視点」に耳を傾ける〈聞く時間〉と、参加者自身が向き合い方を考える〈考える時間〉を通じて、膠原病とより前向きに向き合うためのヒントを見つけることを目的に開催されました。
本レポートでは、患者の孤立を乗り越える鍵として示された「患者力(エンパワーメント)」と、「シェアド・ディシジョン・メイキング(SDM/共同意思決定)」に焦点を当て、当日の学びと熱量をお伝えします。
1.開会挨拶
【病気は誰のせいでもない。辛い時に「辛い」と言える勇気を】
イベント冒頭では、同会顧問である小林一郎先生(市立美唄病院)より挨拶がありました。
小林先生は、ステロイド治療が中心だった時代から膠原病診療に携わってきた経験を振り返り、治療する側・される側双方の苦労を解説しました。
特に小児期・思春期の患者が「周囲と違う自分」を意識するあまり、病気やつらさを隠してしまう現状に触れ、「一番大切なのは、辛い時に『辛い』と言えること。その声を出す勇気です」と力強く語りました。
また、患者家族、とりわけ両親に向けては「病気は誰のせいでもありません」と繰り返し強調し、「責め合う必要はない。病気を抱えながらも希望を失わず、皆で支え合って未来をつくっていきましょう」と、温かなメッセージで会場を包みました。
2.第1部ー聞く時間ー
【医療者の視点から見える"コミュニケーションの壁"】
第1部では、佐藤泰征先生(北海道大学)による「お医者さんの気持ち」と、行政書士であり医療ソーシャルワーカー(MSW)として21年の経験を持つ山田純一氏(ぴりかれら行政書士・社会福祉事務所代表)による「患者力」についての講演が行われました。
事前アンケートでは、多くの参加者が「医師とのコミュニケーションは難しい」と回答しており、その背景について佐藤先生は次の4点を挙げました。
1.診療時間の制約や専門医不足、電子カルテ入力などによる構造的・環境的要因。
2.医師が「医学的異常」に焦点を当てる一方、患者は「生活全体」を見てほしいと感じる認識のズレ。
3.患者側の遠慮や不安、医療者側の思い込みや燃え尽きといった感情の壁。
4.専門用語や理解力の差による言葉の壁。
佐藤先生は、こうした壁を完全になくすことは難しいとしながらも、「今、医師が病気のどの段階に向き合っているのかを患者が意識することが、対話を円滑にする」と指摘しました。
さらに近年の医療の重要な概念として、「シェアド・ディシジョン・メイキング(SDM)」を紹介。医師が一方的に決めるのではなく、患者の価値観や希望を尊重し、対等なパートナーとして治療方針を共に考えるプロセスの重要性を強調しました。
【患者を主役にする"患者力"】
続いて山田氏は、慢性疾患が増え医療が高度化する現代において、患者が受け身のままでは適切な医療につながりにくい現状を指摘。「患者力」とは、患者が治療の主役になる力と、それを引き出す医療者の支援が相互に作用して高まるものだと説明しました。
患者力は、1.情報理解力、2.意思決定力、3.自己管理力、4.コミュニケーション力の4つから成り立ちます。特に「医師任せ」から、相互理解を前提とした「アドヒアランス」への転換が、QOL向上の鍵になると語りました。
また、「医師は分析型だが、実は共感的な側面も持っている」とし、「困っていることを感情も含めて率直に伝えることが、関係性を深める第一歩になる」と具体的な助言が示されました。
3.第2部ー考える時間ー
【自分のことは、自分で決めていい】
第2部では、下條を含む膠原病患者3名と同会のさくま氏による座談会が行われました。
下條は、かつて主治医に全てを任せていた経験を振り返り、「病気と向き合うには、自分から話し、考える姿勢が必要だと気付いた」と語りました。
別の患者は、「慢性疾患セルフマネジメント」との出会いを通じて、「病気があっても、自分の人生を自分で選んでいい」と実感したと共有。復職を経験した患者からは、「自分を守るために、伝え方を学んだ」という言葉もありました。
【夢を共有するツール"マイレポート"】
座談会では、同会が作成したコミュニケーションツール「マイレポート」も紹介されました。
このツールは、配慮事項だけでなく、「やりたいこと」「将来の希望」を言語化できる点が特徴です。
「夢を伝えることで、治療は“我慢”ではなく“未来につながる選択”になる」。
マイレポートは、SDMを実践するための有効なツールとして、その価値が共有されました。

おわりに
「理解したら、優しくなれた」社会へ
本イベントを通じて、患者の主体性と医療者との協働が、孤立を防ぎ、より良い医療と生活につながることが改めて示されました。
一般社団法人膠原病PR協会ミライは、膠原病の認知向上を通じて、患者が安心して声を上げられる社会の実現を目指しています。
本イベントで生まれた学びと対話が、誰もが「理解したら、優しくなれた」と言える社会への一歩となることを願い、今後も活動を続けてまいります。
北海道小児膠原病の会、代表さくま氏のコメント
日頃、会の交流会やラインオープンチャットでも、外来受診時の話題が上がります。医療者とのコミュニケーションによって、患者さんやご家族の望む日々に近づけたらと思っております。緊張もあると思いますが、〇〇したい、〇〇を叶えたいという、治療の目標を医療者と共有できたならと思っています。
学校や職場での自己開示についても、患者さんだけが頑張るのは難しいことです。疾患があっても、なくても、誰でも得意なことも苦手なこと思うので、ちょっと想像力と思いやりを働かせて、居心地の良い環境、関係がつくられたなら素敵なことだと思っています。
今回のイベントが、その一助になれば幸いです。
【一般社団法人膠原病PR協会ミライについて】
一般社団法人膠原病PR協会ミライは、「これって膠原病かも?と言える社会を目指します」をミッションに、膠原病の認知度向上と早期診断の促進、患者さんのQOL向上を目的として、2025年7月3日に設立されました。膠原病の啓発及び普及、調査研究及び情報提供、患者・親族の交流コミュニティ運営、研修会・講演会開催など多岐にわたる活動を展開しています。
公式ウェブサイト: 膠原病PR協会ミライ
【北海道小児膠原病の会について】
北海道小児膠原病の会は、小児膠原病を抱える子どもたちとその家族が、病気を正しく学び、安心して交流できる場を提供しています。
札幌市まちづくり活動促進助成金の支援を受け、オンライン交流会や学習会、新千歳空港でのパネル展など、社会に向けた啓発活動にも取り組んでいます。
公式ウェブサイト: 北海道小児膠原病の会
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【本件に関するお問い合わせ先】
一般社団法人膠原病PR協会ミライ 事務局 担当:下條 真矢・川口 尚宏
Email:share@kougen-mirai.com
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