総計967点の応募から、夫への深い愛と感謝、そしてこれからの人生への決意を綴った愛知県・高向 麻実子さんの『あなた』を金賞に選出 (金賞作品掲載)

首都圏で冠婚葬祭互助会を運営する(株)くらしの友〔社長:伴 久之、所在地:東京都大田区西蒲田8-2-12〕は、第18回「つたえたい、心の手紙」コンテストを実施し、入選24作品を決定しました。金賞には高向 麻実子(タカムキ マミコ)さん(愛知県)の作品『あなた』が選出されました。
本コンテストは、「亡くなられて、今はもう会えない大切な人への手紙」をテーマに、今伝えたい想いや、生前に伝えられなかった言葉を“心の手紙”に記し、応募していただくものです。
当社でのご葬儀で、故人への手紙を棺に入れる方を数多く拝見する中で、“亡くなった大切な方への想いを手紙として記すことで、悲しみを乗り越えるきっかけとなれば…”との思いから2008年から毎年実施しています。
18回目となる今回は、2025年5月~10月の応募期間に全国から寄せられた967作品から、金賞1名、銀賞5名、佳作5名、入賞7名、審査員賞6名の計24名の作品を選出しました。10代から90代まで幅広い方の応募があり、累計応募総数は19,000通を超え、広く世の中の関心を集めていることが伺えます。
今回金賞に選出された高向さんの『あなた』は、緩和ケア病棟で44歳の若さで亡くなった夫への想いを、妻の視点から綴った作品。ステージ4の肺腺がんと闘いながらも、最期まで自分より家族の将来を案じ、働き続けた夫の姿への感謝と痛切な悲しみが描かれています。その想いを胸に作者は自立し、息子を立派に育て上げる決意を固め、前へ進もうとする姿が心に響くとして金賞に選出いたしました。
審査員による入選作品の総評
第18回を迎えた今回も、心を打つ作品が数多く寄せられました。どの手紙からも、書き手が見つめてきた日々の情景が自然と浮かび上がり、大切な方への想いがまっすぐに伝わってきます。これほど多くの作品が、日本全国から届くことに深い感慨を覚えました。手紙に想いを綴る時間が、かけがえのない人を失った悲しみをそっと包み込み、少しずつ心を整えるきっかけとなることを、心より願っています。
なお、入選作品は「つたえたい、心の手紙」作品集として小冊子にまとめ、2026年5月より抽選で1,500名の方にお送りいたします。また3月下旬より公式Webサイトにて金賞・銀賞作品の全文を公開いたします。
くらしの友「つたえたい、心の手紙」公式Webサイト:https://www.kurashinotomo.jp/tegami/
第18回「つたえたい、心の手紙」コンテスト概要
・審査委員長:(株)くらしの友 代表取締役会長・伴 良二
・審査員:小説家・朝比奈 あすか、ライター/紀行家・山内 史子、クリエイティブディレクター・中井川 功、ジャーナリスト・足立 則夫
・募集期間:2025年5月1日~10月31日
・応募作品数:967点(アマチュアのみ)
・作品字数:800 字程度
各賞一覧
■金賞(1作品)
『あなた』高向 麻実子 さん (愛知県・43歳)
■銀賞(5作品・順不同)
『桜の花道』本田 美徳 さん (大阪府・62歳)
『あの時は、ごめんなさい』森屋 多美子 さん (埼玉県・67歳)
『母の本心』東 真由美 さん (福岡県・60歳)
『父のオッパイと涙』星川 明子 さん (北海道・77歳)
『私の北極星』柴田 修三 さん (三重県・75歳)
■佳作(5作品・順不同)
『今いないあなたと約束』金 伽耶 さん (福岡県・44歳)
『お父さん KKPしたよ』出雲 美佐緒 さん (石川県・63歳)
『おばけになってもいいから』千田 立煌 さん (青森県・16歳)
『野次馬事件』続木 優一 さん (北海道・67歳)
『コロッケひとつ』柴野 裕治 さん (新潟県・51歳)
■入賞(7作品・順不同)
『厳しい愛が起こした化学反応』田所 永里奈 さん (東京都・33歳)
『黒糖の思い出』逸見 修 さん (新潟県・77歳)
『父を赦す ― 亡き母へ届ける手紙 ―』稲田 亨 さん (広島県・47歳)
『辛口のカクテルに込められたエール』西尾 充史 さん (北海道・58歳)
『母の畑、私の祈り』古井 菜月 さん (京都府・29歳)
『また一緒にね』村田 喜美子 さん (大阪府・76歳)
『お饅頭』福田 善計 さん (兵庫県・66歳)
■審査員特別賞(6作品・順不同)
『あんたの元気はあんたのもんだ。』足立 拓也 さん (岐阜県・33歳)
『空のグレープフルーツ』横尾 希維子 さん (佐賀県・70歳)
『しわしわの手と、あたたかい声と』八巻 孝之 さん (宮城県・61歳)
『孤高の母』一柳 博之 さん (岐阜県・66歳)
『畳職人』奥村 由布子 さん (埼玉県・52歳)
『お母さん、大好きだよ』伊関 明子 さん (神奈川県・59歳)
金賞作品「あなた」
(高向 麻実子さん・愛知県・43歳)
令和七年、春の息吹に満ちた三月三日のひな祭りの朝、あなたは緩和ケア病棟の病室で静かに息を引き取りました。四十四歳という若さでした。ステージ4の肺腺がんを患い、残りわずかな余命を宣告されながらも辛い抗がん剤治療に耐えた二年半の闘病生活の末、まだ父親の必要な小学生の息子を遺して逝くことは、さぞ無念だったでしょう。稼ぎの少ない妻の私に息子を託すことは、不安でしょうがなかったと思います。
あなた、あなたは闘病中ずっと自分の病状よりも自分が亡き後の私と息子の生活を心配していましたね。「遺産を残したい」が、あなたの口癖で、あなたは断固として退職せず、通院や入院の日以外は出勤して働き続けてくれました。また、葬儀会館で生前見積もりをして、葬儀費用を抑える交渉までしてくれました。私は、そんなあなたの姿を目の当たりにして、胸が張り裂けそうでした。もちろん、あなたの気持ちは、本当にありがたく、感謝してもしきれません。けれど、あなたが何よりも家族の未来を最優先に考え、来たるべき死から目を背けることなく気丈に振る舞えば振る舞うほど、私は悲嘆に暮れるだけの自分の弱さを痛感して、あなたに顔向けできませんでした。病気のあなたに経済的にも精神的にも支えられていることが、情けなくて、申し訳なくて、何も言えませんでした。
あなた、あなたの死後、私はすぐさまダブルワークを始めたんですよ。毎日、一心不乱に働いています。傍から見たら、喪に服していない不届き者の妻に見えるかもしれませんね。それでも私は構いません。なぜなら一日でも早く私が自立して一家の大黒柱になることが、あなたの一番望むことだと思うからです。あなたが病気から逃げずに最期まで家族のために生き抜いたように、私も、あなたのいない人生に立ち向かって、必ず私達の息子を立派に育て上げてみせます。だから、あなた、どうか安心してください。あなた、いつの日も、いつまでも、ずっと、あなたを想いながら、強く生きていきます。
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