~過去10年間の採用時の給与金額を職種別男女別で集計分析~

株式会社アイ・エヌ・ジー・エンタープライズ(本社:東京都新宿区、代表取締役:橋本 伸)は、
ホテル・旅館などホスピタリティ業界に特化した求人情報サイト「ホテル求人ドットコム」(https://www.hotelkyujin.com)に蓄積されたデータを基に、2016年1月~2025年12月の10年間に当サイト上で成立した採用データ7,645件を対象とした採用時給与分析レポート(2025年度版)を発表します。

「ホテル求人ドットコム」URL: https://www.hotelkyujin.com/




■採用市場レポートの目的
本レポートは、ホテル求人ドットコムに蓄積された採用データをもとに、採用市場における給与提示条件の推移および変化を整理・分析することを目的としています。特に本年度版では、給与水準そのものの変動に加え、雇用形態、施設カテゴリ、職種、属性区分といった観点から、採用市場に内在する構造的な変化の兆候に着目しました。
採用時給与は、企業の人材需要や採用戦略、さらには市場環境の変化を反映する重要な指標の一つです。本分析を通じて、ホテル業界における人材確保環境の変化や、採用ポジション・役割期待の変化を多面的に把握することを試みています。
本レポートで示される分析結果および示唆が、ホテル・旅館業界の関係者にとって、今後の採用活動や人材戦略を検討する上での基礎的な参考情報となることを期待しています。

■雇用形態別の採用時給与の推移
本調査では、採用時給与の形式を統一するため、アルバイト・パート採用の提示額はすべて時給に換算し、契約社員・正社員採用は年収に換算して分析しています。過去10年の雇用形態別の給与推移をみると、外部環境の変化に加え、採用市場における構造的な変化もうかがえる結果となりました。
アルバイト・パート採用の時給推移を見ると、全体としては緩やかな上昇傾向を維持しています。アルバイトの平均提示時給は2016年の1,035円から2025年には1,323円へ上昇し、パートも同期間で1,051円から1,480円へ上昇しています。一方で、年度ごとの増加率には差が見られ、上昇が続く局面だけでなく、一時的な調整が観察される年度も確認されました。
地域別最低賃金の全国加重平均額が継続的に引き上げられる中、提示時給水準も長期的には同方向で推移しています。ただし近年の特徴として、最低賃金の上昇のみでは説明しきれない提示時給の変動も見られます。特にパート採用では年度間の変動幅が比較的大きく、直近では上昇傾向が強まっています。
このような動きは、制度的要因に加えて、企業側の採用条件設計や人材確保環境の変化が影響している可能性を示唆しています。アルバイトとパートで異なる変動特性が見られる点も示唆的であり、雇用形態の違いというより、職務内容や期待役割の差異が反映されていることも考えられます。結果として、時給水準の変化は賃金動向であると同時に、採用市場における需給環境の変化を映し出す指標として捉えることができます。
雇用形態別給与額推移:平均時給(アルバイト・パート採用)

※厚生労働省(地域別最低賃金の全国一覧)

契約社員・正社員の年収推移についても、長期的には上昇基調が確認されます。正社員の平均提示年収は2016年の2,918,042円から2025年には3,689,094円へ上昇しており、契約社員も同期間で2,809,781円から3,172,875円へ上昇しています。ただし、提示年収の変動は必ずしも連続的ではなく、年度ごとの増減や調整も見られます。
正社員と契約社員の推移を比較すると、正社員の提示年収は相対的に変動幅が大きい特徴が見られます。この背景には、市場全体の賃金動向だけでなく、採用対象ポジションの構成変化が影響している可能性が考えられます。特に近年の採用動向を見ると、一定の経験や専門性を前提とするポジションの採用が目立つ傾向もうかがえます。
ホテル業界では人手不足の常態化に加え、施設運営の高度化や収益構造の変化が進んでいます。運営効率の向上、サービス品質の維持、レベニューマネジメントやデジタル対応の重要性増大などを背景として、企業が即戦力性や職務遂行能力を重視した採用を強めていることも想定されます。その結果として、正社員採用における提示年収水準へ影響が及んでいる可能性も考えられます。
一方、契約社員採用ではより緩やかな変動が観察されており、雇用形態ごとの役割期待や採用方針の違いもうかがえる結果となりました。これらの差異は、雇用形態間の賃金差というより、採用市場における役割設計や人材要件の変化を反映している可能性があります。
雇用形態別給与額推移:平均年収(正社員・契約社員)



■施設カテゴリ別の採用時給与の推移
続いて求人施設を業態カテゴリごとに分類し、それぞれの採用時給与の推移を分析しました。集計対象となった求人企業を「シティホテル」「リゾートホテル」「旅館」「ビジネスホテル」「レストラン」「結婚式場」の6カテゴリに区分しています(※2025年は結婚式場の採用データなし)。各カテゴリの給与傾向には、業態ごとの特徴が見られました。

シティホテル : 採用時の提示年収が全体的に高めで、期間を通じて比較的安定した推移を示しています。年度ごとの増減は見られるものの、大きな下振れは限定的であり、直近では緩やかな上昇傾向が確認されます。都市部における人材獲得競争や、一定の経験・専門性を前提とした採用が継続していることが背景として考えられます。
リゾートホテル: シティホテルと同様に高い給与レンジで推移していますが、近年の上昇率が相対的に大きい点が特徴です。特に直近の年度では提示年収の伸びが目立ち、採用条件水準の切り上がりがうかがえます。勤務地条件や専門性の高い人材需要が影響している可能性があります。
旅館 :     年度間の変動が比較的大きいカテゴリとなりました。提示年収の水準自体は一定のレンジに収まっていますが、年度ごとの上昇・調整が交互に見られる傾向があります。施設規模や地域差が大きい業態特性が、平均値へ影響していることも想定されます。
ビジネスホテル: 他カテゴリと比較すると相対的に低い水準で推移しています。期間中には底上げ傾向も見られる一方で、年度によっては調整も確認され、安定的な上昇とは異なる動きとなりました。採用人数や採用ポジション構成の変化が影響している可能性があります。
レストラン : ホテル内外のレストラン部門の採用給与は最も変動幅の大きいカテゴリとなりました。提示年収の増減が大きく、年度ごとの上昇率にもばらつきが見られます。採用企業や職務内容による提示条件差が反映されやすく、市場環境の変化に対する感応度の高さがうかがえます。
結婚式場 : ブライダル施設では、年度による変動は見られるものの、近年は比較的高い水準で推移しています。特定局面での調整を経ながらも、需要環境の変化や専門職人材の採用動向が影響している可能性が考えられます。なお、2025年は当該カテゴリの採用データはありませんでした。
以上のように、施設カテゴリ別に見ると、シティホテルおよびリゾートホテルでは比較的高い給与水準が維持される一方、ビジネスホテルでは相対的な低位傾向、レストランでは変動幅の大きさが確認されました。業態によって採用条件の水準や変動特性に違いが見られ、採用ポジションや人材要件の差異が反映されている可能性が示唆されます。

施設カテゴリ別給与額推移:平均年収(正社員・契約社員)



■職種別の採用時給与の推移
ホテル求人ドットコムの採用時の職種を「管理職」「宿泊部門」「料飲部門」「宴会部門」「婚礼部門」「調理部門」「営業部門」「管理部門」などに分類し、採用時給与の推移を分析しました。職種別の動向を見ると、役割特性や採用市場環境の違いが反映された変化が確認されます。

管理職は、他の職種と比較して一貫して高い給与水準で推移しています。期間を通じて上昇傾向が見られる中、2025年は提示年収水準が大きく伸長する結果となりました。従来の延長線上の増加というより、重要ポストの採用数および採用時の提示金額の水準そのものが切り上がったような動きが観察されます。背景としては、人材不足の深刻化に加え、施設運営の高度化や経営管理能力への要求水準の上昇などが影響している可能性が考えられます。

宿泊部門、料飲部門、宴会部門といった現場系職種は、年度ごとの調整を挟みながらも、全体としては緩やかな上昇基調を維持しています。コロナ禍においては需要減少や営業制限の影響を受け、提示条件の伸びが抑制される局面も見られましたが、その後は採用市場の回復とともに持ち直しが確認されます。直近では人材確保の難易度上昇を背景とした底上げ傾向もうかがえます。

調理部門は、近年の上昇傾向が比較的明確な職種の一つです。専門性の高い職務特性に加え、人材確保の難しさが継続して指摘される領域でもあり、提示年収水準の引き上げが進んでいる可能性が示唆されます。

営業部門についても高い給与レンジで推移しています。需要回復局面以降は上昇傾向が目立ち、直近でも比較的高い水準が維持されています。ホテル業界では収益最大化や販売戦略の重要性が高まっており、即戦力性や専門スキルを備えた人材への評価が反映されていることが想定されます。

一方、管理部門や事務系職種では、他職種と比較して相対的に安定した推移が見られます。ただし近年は年度間の変動も確認されており、採用対象ポジションや企業側の採用方針の違いが平均提示条件へ影響している可能性も考えられます。

このように、職種別に見ると管理職および専門性の高い職種での提示条件上昇が目立つ一方、現場系職種では緩やかな調整と上昇が継続している構図が確認されました。特に2025年の管理職提示年収の動きは象徴的であり、採用市場におけるポジション構成や人材要件の変化を示唆する結果といえます。

職種別給与額推移:平均年収(正社員・契約社員)



■2024年男女別の採用時給与
最後に、採用時給与を男女別に分類し、その推移を分析しました。男女別の提示年収水準を見ると、期間を通じて一定の差が確認される一方で、近年の変化には注目すべき動きも見られます。
男性の平均提示年収は、長期的には緩やかな上昇基調で推移しています。年度ごとの調整局面は見られるものの、全体としては安定した増加傾向を維持しており、直近では比較的明確な上昇が確認されます。採用市場における人材需要の変化や、採用ポジションの構成が影響している可能性が考えられます。
女性の平均提示年収についても、同様に長期的な上昇傾向が見られます。特に近年は上昇率が相対的に安定しており、期間後半では水準の持ち直しが観察されます。これは賃金動向そのものに加え、採用対象職種や職位構成の変化が影響している可能性も示唆します。
男女間の提示年収差は依然として確認されますが、その背景には単純な賃金差だけでなく、採用職種、役割、職位分布の違いが影響していることも想定されます。ホテル業界においては、管理職や専門職など職務特性によって提示条件が大きく異なるため、平均値の差異は採用ポジション構成の変化を反映している可能性があります。
近年の推移を見ると、男女ともに提示年収水準は上昇傾向を示しており、特に需要回復以降の採用市場では待遇条件の底上げが進んでいる様子がうかがえます。これらの動きは、採用環境の変化や企業の人材確保姿勢の変化を示唆する結果といえます。
男女別採用時平均年収(男・女)



■最後に
本分析で用いた給与データは、あくまで入社時点で企業が提示した採用条件上の年収および時給であり、入社後の昇給や賞与、個別の待遇条件等は含まれていません。また、本調査はホテル求人ドットコムに掲載された求人および当サイト上で成立した採用データに基づくものであり、ホテル業界全体の平均的水準を直接的に示すものではない点にご留意ください。特に地域特性や施設形態の違いによって提示条件には差異が生じるため、個別の解釈にあたっては一定の注意が必要です。
本レポートで観察された給与推移や変動は単なる賃金水準の変化にとどまらず、採用市場における需給環境や採用構造の変化を反映している可能性があります。近年の動向を見ると管理職や専門性の高い職種における提示条件の変化が相対的に大きく、企業側の人材要件や採用方針に変化が生じていることもうかがえます。
ホテル業界では人手不足への対応に加え、運営効率の向上、サービス品質の維持、収益管理の高度化など多様な経営課題への対応が求められています。こうした環境下においては単純な賃金条件の見直しだけでなく、職務設計や人材育成、働き方の柔軟性、職場環境整備といった総合的な人材戦略の重要性がより一層高まっていると考えられます。
本レポートで得られた分析結果および示唆が今後の採用活動や人材戦略を検討する上での参考情報として活用され、ホテル業界全体の持続的な成長および魅力ある雇用環境づくりへとつながることを期待しています。

■ホスピタリティ業界最大の求人情報サイト「ホテル求人ドットコム」
ホテル求人ドットコムは2002年3月にサービスを開始した、ホスピタリティ業界に特化した求人掲載料無料の求人情報サイトで、日本全国のホテル・旅館をはじめとした宿泊施設、レストラン等の飲食施設、専門結婚式場など3,370施設が掲載契約し、現在約5,400件の求人情報が掲載されているホスピタリティ業界最大の求人情報サイトです。サービス開始当初より一貫として求人企業の使いやすさと求職者の応募しやすさを追求し、ホスピタリティ業界特化の求人情報サイトとしてはNo.1の求人掲載数と掲載求人への応募者数、スカウト登録者数を誇る求人情報サイトです。
■サービス概要
サービス名: ホテル求人ドットコム
提供時間 : 平日 9:30~18:30
URL   : https://www.hotelkyujin.com
■会社概要
商号   : 株式会社アイ・エヌ・ジー・エンタープライズ
代表者  : 代表取締役 橋本 伸
所在地  : 〒162-0042 東京都新宿区早稲田町12-5 ニュー早稲田ビル6階
設立   : 1997年2月24日
事業内容 : 有料職業紹介事業(13-ユ-080304)
ホテル総合アウトソーシング事業 エグゼクティブサーチ 経営コンサルタント
資本金  : 1,000万円
URL   : https://www.ing-ent.co.jp
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