平均睡眠時間が再び減少、改善傾向が反転し過去ワースト水準へ
株式会社ブレインスリープ(本社:東京都千代田区、代表取締役:廣田 敦、以下「ブレインスリープ」)は、全国47都道府県の1万人(性別・年齢・都道府県で割付)を対象として、「睡眠偏差値(R)」調査を2020年から実施しており、2026年で7年目を迎えました。睡眠偏差値は、睡眠習慣や睡眠負債など睡眠状態を直接判定する項目に加えて生産性やストレスの程度、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクなどを総合的にスコアリングする手法です。今後この調査結果を活用し、日本の睡眠のさらなる改善を目指すべく、様々な活動をおこなっていきます。
睡眠偏差値(R) 調査結果ページ https://brain-sleep.com/pages/research2026

■調査結果
ブレインスリープは、睡眠に関するさまざまな尺度から「睡眠偏差値(R)」を構成し、日本人の睡眠実態を継続的に把握する取り組みを行ってきました。さらに、エビデンスに基づいた知見と最新の調査データをもとに、睡眠に関するサービスや商品、事業の開発・展開を推進しています。今回、2026年版の「睡眠偏差値(R)」の測定を実施し、新たに下記5つの項目について、日本人の睡眠における特徴を明らかにしました。
1. 日本の睡眠時間の変化
2. 20代の睡眠特徴
3. 疲労感とその解決策
4. パフォーマンスと睡眠の関係性
5. 良い睡眠がもたらす日中変化における男女共通性と体感差
1. 日本の睡眠時間の変化:平均睡眠時間は6時間41分。健康ラインを大きく下回る睡眠時間、調査史上ワースト2位に悪化
コロナ禍以降、日本人の平均睡眠時間は緩やかな増加傾向にありましたが、2026年の有職者1万人を対象とした調査では、平均睡眠時間は6時間41分となり、調査開始以降で2020年に次ぐ過去ワースト2位という結果となりました。前年の6時間50分から大きく減少し、これまで続いていた改善傾向が再び後退に転じたことが明らかとなっています。この結果は、健康維持に必要とされる睡眠時間の目安を大きく下回る水準であり、OECD加盟国の平均睡眠時間である8時間28分と比較しても、引き続き圧倒的に短い状況が続いています。日本の睡眠時間が世界的に見ても最低レベルにある構造は、依然として改善されていないと言えます。

*全データにおいて一元配置分散分析を行い、有意と確認(p<0.01)。また、前年との睡眠時間の比較についてはBonferroni補正したt検定を行い、2020~2024年, 2025~2026年において有意差ありと確認(いずれもp<0.01)。2025~2026年の比較について、就寝時刻と残業時間(平均)はWelchのt検定を行い、有意差を確認した(いずれもp<0.01)。
今回の調査では、睡眠時間減少の背景として就寝時刻の後退が確認され、あわせて残業時間の増加傾向もみられました。近年、企業において出社回帰の動きが進む中、通勤時間や業務時間の長時間化が生活リズムに影響を与えている可能性が考えられます。リモートワークの普及により一時的に改善がみられた睡眠時間が、社会構造の変化とともに再び悪化しつつある可能性が示唆されました。
2. 20代の睡眠特徴:20代は睡眠に投資する。”唯一睡眠時間7時間超”、睡眠意識が高い睡眠優等生。一方で、週末に取り戻す”寝だめ型リズム”が課題。
20代は全世代において、唯一平均睡眠時間が7時間超え、”睡眠優等生”の姿がみられました。その背景としては、忙しい時でも睡眠時間の確保を優先する方が多く、睡眠関連の情報収集や就寝前の行動調整、睡眠のための時間やお金の投資に前向きなことなど、睡眠を「自己管理すべき資源」として捉える意識の高さが顕著に表れています。一方、起床時間が平均的に遅めであること、また、平日と休日の睡眠時間の差が大きく、平日と比較して2時間以上長いその結果から、量(睡眠時間)は確保している一方で、週末の寝だめに依存するといった不安定な睡眠リズムを抱えていることも明らかになりました。

*睡眠時間・入眠時刻・起床時刻ついてWelch一元配置分散分析を行い、年代に有意な差があると確認(p<0.05)。20代は睡眠時間が最長、起床時刻が最も遅い(20代vs各年代のWelch t検定、p<0.05)。
*睡眠に対する意識や行動についてχ²検定(20/30/40/50/60代×当てはまる/当てはまらない)を行い、すべての指標で有意と確認(p<0.05)。さらに「睡眠に関する情報を意識して集めている」「今後、睡眠のために時間やお金を使ってもよい」は20代が他年代より有意に高かった(20代vs30-60代のχ²検定、いずれもp<0.01)。
20代は、唯一平均睡眠時間が7時間を超える世代となり、睡眠を自己管理の重要な資源と捉える意識の高さも顕著に表れています。本調査で睡眠に対する意識や行動においては、「忙しくても睡眠時間の確保を優先する」「睡眠に関する情報を積極的に収集している」「睡眠のための支出や工夫を行っている」「就寝前の行動を睡眠のために調整している」「今後も睡眠のために時間やお金を投資してよい」の全項目で、20代が全世代において最も高い水準を示すといった”睡眠優等生”のポテンシャルを持っています。
また、過去1か月間における休養感では、「睡眠で休養がとれている」20代が全年代において最多回答となり、睡眠の質および睡眠時間においても「非常によい・よい」と回答した割合が60代に次いで高く(睡眠の質53.8%、睡眠時間56.3%)、主観的な休養感や睡眠評価として「眠れている」・「休養できている」と体感している層が比較的多いことが特徴といえます。

*休日の睡眠時間の延長幅について、20代は他年代より「変わらない」が有意に低く、「2時間以上」が有意に高かった(20代vs30-60代のχ²検定、いずれもp<0.01)。
一方、起床時間が全世代の中で一番遅いことや、平日と休日の睡眠時間の差が大きく、2時間以上の差が発生していることも明らかになっています。その結果、週末に睡眠時間を長くとる”寝だめリズム型”の実態が見られ、1週間を通して生活リズムが揺らぎやすい傾向を抱えているといえます。睡眠時間の確保と睡眠への投資意識が両立した”睡眠優等生”であている一方で、起床時間が遅いこと、平日と休日の睡眠時間差が全世代の中で最も大きく、週末の寝だめに頼り、生活リズムが不安定になりやすい傾向が課題として示されました。
3. 疲労感とその解決策:日本人の8割が疲労を実感、解決策の1位は「睡眠」
直近1か月の状態について尋ねたところ、「いつも疲れた」「しばしば疲れた」「ときどき疲れた」と回答した人は全体の約8割にのぼり、ほとんどの人が日常的に疲労を感じていることが明らかとなりました。

*疲労を感じた方:直近1か月の疲労を感じた頻度で「いつも疲れていた」「しばしば疲れていた」「ときどき疲れていた」と回答した人
*睡眠の質×疲労ありについてχ²検定を行い、有意な差を確認(p<0.01)。疲労あり割合は睡眠の質が悪化するほど単調に上昇し、傾向検定でも有意であることを確認(p<0.01)。
本調査では、睡眠の質別に疲労を感じている割合を分析した結果、「非常によい」「よい」と回答した層では疲労感が低く、「悪い」「非常に悪い」となるにつれて疲労を感じる割合が大きく上昇することが確認されました。睡眠の質が高いほど疲労感が少ないという明確な関連が改めて示されています。これらの結果を踏まえると、単なる休息時間の確保だけでなく、「質の高い睡眠」が疲労軽減において重要であることが示唆されます。
また、疲労への対処法として最も多く選ばれたのは「睡眠をとる(早く寝る・その場で横になる)」であり、多くの人が疲労回復の第一手段として睡眠を選んでいることが示唆されました。睡眠が疲労軽減の中心的な役割を担っている実態が、行動面からも裏付けられたといえます。

4. パフォーマンスと睡眠の関係性:最も影響するのは「睡眠(量・質・規則性)」の総合要因
日中のパフォーマンスに影響を与える要因を個別にみると、「心の安定(21.3%)」や「睡眠の質(16.3%)」などが上位を占めています。一方で、睡眠に関する要因である「睡眠の量・質・規則性」を合算すると30.6%となり、単一の生活領域としては最も大きな割合となりました。この結果から、多くの人が睡眠を一つの行動としてではなく、量・質・リズムを含む包括的な生活基盤として捉え、集中力や体調、気分の安定に総合的な影響を与える重要な要因であると認識していることがうかがえます。

*休日の睡眠時間の延長幅について、20代は他年代より「変わらない」が有意に低く、「2時間以上」が有意に高かった(20代vs30-60代のχ²検定、いずれもp<0.01)。
睡眠時間の規則性とパフォーマンス指標(身体・心・脳)を比較したところ、規則的な群は不規則な群に比べて、身体・心・脳のスコアがいずれも高いことが示されました。さらに、睡眠時間別に比較したところ「7~8時間」の睡眠を「規則的」に確保している層が、すべての項目において最も高いスコアを示しました。睡眠が不規則な層や、規則的であって睡眠時間が極端に短い/極端に長い層では、パフォーマンスが低い傾向がみられました。


*睡眠時間の規則性(規則的/不規則)とパフォーマンス(身体・心・脳)についてWelchのt検定を行い、いずれも有意差を確認(すべてp<0.001)。睡眠時間が規則的な群(n=5,634)において睡眠時間5区分でパフォーマンス(身体・心・脳)を比較し、Welchの一元配置分散分析で群間差を確認(すべてp<0.001)。平均は7~8時間群が3指標すべてで最も高く、7~8時間群は6時間未満および9時間以上より有意に高いことを確認(Holm補正後p<0.05)。
これらの結果から、単に長く眠るだけでは不十分であり、「適切な睡眠時間」と「規則正しい睡眠リズム」の両立が、日中のパフォーマンス最大化に不可欠であることが示唆されます。睡眠の量・質・規則性を整えることが、身体的健康のみならず、認知機能やメンタルヘルスにも直結する重要な生活習慣であると言えるでしょう。
5. 良い睡眠がもたらす日中変化における男女共通性と体感差:男女で共通、体感は女性でより強い傾向
良い睡眠が日中の心身状態や行動にどのような変化をもたらすかについて、男女別に分析を行いました。
その結果、男女ともに最も多く挙げられた変化は「朝の目覚めが良い」であり、次いで「身体の調子が良い」「眠気を感じる回数が減る」「業務効率が上がる」「メンタルの調子が良い」と続き、上位項目の構成は男女でほぼ共通していました。このことから、良い睡眠がもたらす主要な効果は性別を問わず共通して現れ、日中の覚醒状態、身体コンディション、認知パフォーマンス、心理状態の改善に幅広く寄与していることが示唆されます。

さらに各項目の男女差を比較すると、その差はいずれも数%程度と大きな開きはみられず、良い睡眠の中核的な効果は男女で概ね共通して現れていることが確認されました。
その一方で、ほぼすべての項目において女性の割合が男性をわずかに上回っており、女性の方が睡眠による変化をやや強く実感する傾向がうかがえます。特に朝の目覚めの改善や身体・メンタルの調子の向上、肌状態の改善といった項目ではその差が比較的顕著であり、女性が睡眠による心身の変化をより敏感に知覚している可能性や、睡眠改善の恩恵を受けやすい特性を有している可能性が示唆されます。
総じて、良い睡眠は男女共通の基盤的なパフォーマンス向上効果を持ちながらも、その体感の強さには性差が存在することが明らかとなりました。睡眠は性別を問わず日中の生活の質を支える重要な要因であると同時に、とりわけ女性においてその効果がより強く認識される傾向があると言えます。
■西野 精治コメント/ブレインスリープ最高研究顧問 『スタンフォード式 最高の睡眠』著者
本年の「睡眠偏差値(R)」調査の結果は、私たちが長年指摘してきた「睡眠の質と社会構造の相互関係」を改めて示すものです。コロナ禍後の出社回帰が一因となり平均睡眠時間が再び短縮し、就寝時刻の後退や残業時間の増加が関連している点は、睡眠衛生の向上には、個人の努力だけでは解決できない社会的要因が大きく影響していることを意味します。一方で、20代にみられる高い睡眠リテラシーや睡眠への投資意欲は希望を与え、世代間の学び合いを通じて社会全体の睡眠改善につながる可能性を示しています。重要なのは単に「長く寝る」ことを目標にするのではなく、適切な睡眠時間、規則性、質を同時に整えることです。企業や行政は通勤・労働時間の再設計や職場での睡眠支援施策を真剣に検討すべきであり、我々研究者はエビデンスに基づく具体的介入の検証を進めていく必要があり、合わせて、地域・業種・勤務形態別の詳細分析を行い、提言をより具体化していきたいと考えます。睡眠は個人の健康のみならず、企業や国家の生産性と幸福に直結する重要な社会資本です。

■「睡眠偏差値(R)」調査結果ページ
https://brain-sleep.com/pages/research2026
ブレインスリープでは本調査に関する様々な情報提供が可能です。
※本調査内容をご利用の際、出典元として『「睡眠偏差値(R)」調査2026(n=10,000) ブレインスリープ調べ』と必ず記載いただくようお願いいたします。
■本調査について
睡眠を評価する際、しばしば睡眠時間などの単純な定量データのみに注目が集まりがちですが、ブレインスリープでは、睡眠はより多角的かつ総合的に捉えるべきものだと考えてきました。そこで、睡眠に関する自覚症状や日常の睡眠習慣など、主観的な側面も含めた幅広い視点から睡眠状態を定量化する質問群を設計し、日本人に馴染みのある「偏差値」という指標を用いて数値化することで、個人の睡眠状態を社会全体の中で相対的に把握できる仕組みとして「睡眠偏差値(R)」を構築しました。
本調査は、最高研究顧問として睡眠研究の第一人者である西野精治の監修のもと、科学的妥当性を重視しながら継続的に実施されています。ブレインスリープは、睡眠に関する正確な実態把握こそが、社会全体の健康やパフォーマンス向上の基盤になると考え、短期的な取り組みにとどまらず、長期的な視点で調査とデータ蓄積を重ねてきました。
今後も最新の睡眠実態を継続的に可視化し、エビデンスに基づいた知見を社会に還元することを通じて、日本人の睡眠課題の理解と改善に貢献していきます。
【調査概要】
調査手法:web 調査象地域:全国 対象者条件:男女 サンプル数:n=10,000ss 調査実施期間:2026年1月
※集団間の睡眠偏差値、スコアの比較においては、一元分散分析、あるいはt-検定を行い、有意水準5%以下を統計的に有意な差と判定し記載しました。
株式会社ブレインスリープ
【会社概要】
設立 : 2019年5月
所在地 :東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー26F
代表取締役 :廣田 敦
ブランドサイト:https://brain-sleep.com/
事業内容 :ブレインスリープは、睡眠医学に基づいた確かな知見と先進のテクノロジーを掛け合わせ、脳と睡眠を科学するソリューションカンパニーです。専門家と連携した睡眠研究、オリジナルプロダクト開発、企業やクリニックへのコンサルティングなど、睡眠に特化したあらゆるソリューションで人や社会の可能性を目覚めさせることを目指します。
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