古来、東西の文明と向き合い、独自の方法でそれらを受容してきた我が国は、今どこへ向かうべきなのか?

日本は古来、「漢字文化圏」の中心である中国から大きな影響を受け、漢字に「かな」を補うという独自の形でその文化を受容してきました。戦国時代から近現代には、アルファベット文化圏の西洋からの洗礼を受けますが、こちらも柔軟に受け入れます。
建築と文字の関係に古くから着目してきた著者は、その受容の仕方を「和能」と呼びます。東西の力学が激変する中、日本の進むべき道はどこなのか。漢字文化圏の影響力には限界があり、中国が永続的に支配的な地位を占めることはない、しかし日本には可能性がある――。
画期的な文明論、新潮新書『漢字文化圏の興亡 中国の限界、日本の前途』(若山滋・著)は本日3月18日(水)の発売です!



これまでの日本文化論は、その対照として欧米を念頭に置いたものがほとんどですが、昨今の中国の台頭が著しい時代、そういった文化論も修正を迫られていると著者の若山さんは考えています。
この作品には、古今東西、多くの人物が登場します。ソクラテス、釈迦、孔子、紫式部、織田信長、コペルニクス、夏目漱石、孫文、グロピウス、司馬遼太郎、「日本語なんか意味がない!」と言い放ったポーランド人比較文学者……。
また、著者は抽象美術家の篠田桃紅さんを叔母に持ち、その従弟に映画監督の篠田正浩さんがいます。若山さんは親戚であるこの二人の文化創作者の影響を強く受け、この作品にもそれが随所に顔を出しています。
様々な思考の末、たどり着いた「漢字文化圏の国々の4つの指針」とは、(1)異なる文化と異なる体制をもって共存する。(2)アルファベット圏の国々と共存する。(3)地球沸騰・気候爆発と戦う。(4)AI時代の「進化した和能」をもって、人類の文明を発展から深化へと転換する、という壮大なものです。

■ 目次

第1章 漢字文化圏とアルファベット文化圏
漢字文化圏とは何か/日本の興隆と衰退/中国の興隆とつまずき/象形文字・楔形文字・甲骨文字/アルファベット圏の文化は発展する/漢字圏の文化は深化するetc.

第2章 文字と建築の密接な関係
ガムラスタンの犬/風土様式・宗教様式・近代様式/積み上げる文化・組み立てる文化/ 建築と文字の同調/壁の文化・屋根の文化/花蓮港の産湯/知の虐殺・文字への怨念etc.

第3章 漢字思想の花が咲く
都市化する動物とその怨念/雪と雲のアルピニスト・若山美子/「ソクラテス・釈迦・孔子」は同時期/「孔子 vs 老子・荘子」という構造/漢:冊封という知恵/唐:科挙という公平etc.

第4章 仮名文学の花が咲く
「万葉集』には寺がない/「家」は人を詠み「やど」は草花を詠む/制度の空間・逸脱の空間/漢字の「呪能」・仮名の「和能」/『源氏物語』は怨霊の文学/仏・神・鬼・天etc.

第5章 取り残された文化圏
大きな文化圏・小さな文化圏/ジブラルタル海峡のトイレ/ギリシャ・ローマの爆発的都市化/地中海の覇者・イスラム帝国/「儒教階級」士大夫・両班/武家日本のダイナミズムetc.

第6章 信長は漢字圏初の「世界人」
司馬遼太郎との出会い/科学的談話・信長とコペルニクス/天主と茶室・南蛮の彼方に/「世界システム」の確立/江戸の諸子百家/大西洋の陽光とシベリアの凍土/日本語なんか意味がないetc.

第7章 漢字帝国の挑戦・1945まで
漱石:漢字とアルファベットに引き裂かれ/黒船という仏像/孫文と日本/篠田桃紅と篠田正浩/グロピウス夫人のモダニズム/アウシュビッツとバウハウスetc.

第8章 漢字帝国の挑戦・1945から
西欧植民地主義500年の大怨念/ロシアと中国は塑性息の力が強い/中国の夢/戦後右派はなぜ親米か/削減の改革・「和能」の再興/相対平和論/九つの事実・三つの原則・四つの指針etc.


■ 内容紹介

万葉集、源氏物語、織田信長、夏目漱石……古来、日本人は漢字文化圏の中国、アルファベット文化圏の西洋と向き合い、独特の方法すなわち「和能」をもって大陸の文明を受容してきた。世界情勢と東西の力学が大きく変わりつつあるいま、私たち日本人が進むべき道はいったいどこにあるのか。長年、建築と文学の関係を探究してきた著者が、世界各地での実体験を織り交ぜながらこの国の前途を問う、画期的論考。

■ 著者紹介

若山滋(わかやま・しげる)
1947年台湾生まれ。74年東京工業大学大学院博士課程修了。建築家。名古屋工業大学名誉教授。専攻は建築文化論、比較様式論。『建築へ向かう旅』『「家」と「やど」』『文学の中の都市と建築』など著書多数。篠田桃紅(抽象美術家)は叔母、篠田正浩(映画監督)は母の従弟。

■ 書籍データ

【タイトル】漢字文化圏の興亡 中国の限界、日本の前途
【著者】若山滋
【発売日】2026年3月18日
【造本】新書版
【本体定価】990円(税込)
【ISBN】 978-4-10-611118-1
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/611118/
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