ステージ上の天井は鏡張り!! 

   

 









会場全景!!(写真ひどくてすみません)

   

 









単にゴージャスってだけでなく、時空を飛び越えるレトロフューチャーなシチュエーションに、早くもテンションはチョモランマ状態。そこにトップバッターthe chef cooks me BANDの超ゴキゲンでロッキンなポップワールド、続く東京カランコロンのストレンジな胸キュンサウンドの連打で、早くもこのフェスの成功を確信しはじめる自分。

さて会場はメインステージと、その脇のサブステージの2ステージ制。で、メインステージの目玉はなんと言っても、ステージから伸びるこの花道である。


ステージから伸びる花道。ここは先端のお立ち台です。


「おーシャンゼリゼ♪」の合唱が響き渡った奇妙礼太郎トラベルスイング楽団の心に沁みるステージ、そのMCで「(花道を闊歩して)ローリング・ストーンズの気持ちがわかったわ(笑)」と言わしめた、まさにここにしかないレアアイテムは、この日さまざまなアーティストが思い思いの形で活用し、大きな盛り上がりを生むことになった。加えて公演が進むにつれ、サブステージの演奏中に上に登ってライブを見たり、転換中は休憩用のベンチになっていたりと、お客さんが勝手に花道を利用しているのも面白かった。決して大きな会場ではないのだが、見る側が自由に楽しみ方を発見できる懐の深さがあって、だからすこぶる居心地がいいのだ。

そんな雰囲気は会場だけじゃなく、出演アーティストのラインナップにも現れていた。ヒリヒリとした切迫感が胸を打った壊れかけのテープレコーダーズ、2人編成ながら強烈なラップとビートで会場の温度を上げたuhnellys、エキゾチックな旋律とツインボーカルが心地良いLOOLOWNINGEN & THE FAR EAST IDIOTSと、実に振れ幅豊かな流れが続く。恥ずかしながら自分はこの日初めてライブを見るバンドも多かったのだが、それぞれのバンドのすばらしさに驚くと同時に(全部見たけどかっこいいバンドしかいなかった!)、カオティックに見えて絶妙な化学反応を起こすタイムテーブルの組み方もかなりグッジョブだった気がする。そんなタイムテーブルマジックは、フロアが狂喜乱舞の渦と化した特設ステージ(実は花道の先端でした)でのテクマ!のハンサムオンステージを前にメインステージで黙々とセッティングするヒカシューという、シュールなのになぜか感動的なシーンをも生み出していた。

エモーショナルなエレクトロサウンドが観客の体を揺らしたシグナレスのステージ以降、持ち時間より短め(な気がした)ながらエグイ爆音を鳴らすだけ鳴らしまくったMO'SOME TONEBENDER、ずっしりと重く熱い音塊の連打でフロアに業火を焚き付けたZと、攻撃的なアクトが続いた終盤で特に感じたのが、この日のサウンドシステムについて。まず基本めちゃ爆音! で、なんというか“ものわかりのいい、いわゆるいい音”じゃなくて、各アーティストの尖った部分とかアグレッシブな部分を増幅させる音作りな感じで、自分はめちゃめちゃ好みでした。トリのBuffalo Daughterも涼しい顔してどこまでも硬質で鋭利なサウンドをザクザク繰り出しオーディエンスを踊らせるだけ踊らせた後で、アンコールではぐっしゃぐしゃのロックンロールを叩きつけフィニッシュ。盛りだくさんすぎた『みんなの戦艦』1日目は大盛り上がりでお開きとなった。そして自分は翌日のチケットを買い逃したことを激しく後悔しつつ帰路に着くのだった……あああ2日目も見たかったなあ。(しつこいですが当日券出たみたいですね。情報収集はマメに行うべし……教訓にします)

帰りの電車の中で、今日の『みんなの戦艦』はなんでこんなに最高だったのかと考えた。で、自分なりの結論としては、フェスに出ている人も、フェスを作っている人も、フェスを見に行ってる人も、「なんとなく」な人がいなかったからじゃないか、と思った。いや、「なんとなく見に行った人」だったら結構いたかもしれないけど、そんな人にも「なんとなく」で済ませない楽しさと驚きをきちんと提供/提示しているフェスだと思ったし、それはやっぱり「なんとなく」じゃなくて明確な意思とアティチュードを持ってモノを生み出してる人たちが作っているからなんじゃないか、と。とにかくどのバンドも「誰に何を言われようと俺らはこれをやるんだ」っていう強いエネルギーに満ち満ちていて、そんな“アンチ・なんとなく”な精神は隅々まで、それこそフードコーナーにまで行き渡っていた(マサラーワーラーの3種盛りカレー、キッチン小判鮫の焼豚丼と豚汁、どちらもすんばらしく気合いとパッションが入っててメチャウマでした! 2杯ずつ食った。ごちそうさまでした)。

この日個人的に最も衝撃を受け感動したのはヒカシューだった。約35年と出演バンド中ダントツの活動歴を誇りながら、どのバンドよりもぶっ飛んだ先鋭の塊みたいなステージを繰り広げ、MCでは「バンドが好きなんです。バンドって楽しいじゃないですか」と(本当に楽しそうに)言ってのけるのだ。このバンドが出るのと出ないのとでは、このフェスの奥行きが全然違っていたと思う。この曲とか超しびれた!

 
でもヒカシューだけじゃなく、ほんとにいろんな出会いがあった一日だったなあ。そんなわけで早春フェス実践編『みんなの戦艦2012』は、大興奮、大収穫の一日となった。素敵な音楽と素敵な空間、そして無限のインスピレーションを与えてくれた『みんなの戦艦』、どうもありがとうございました! 勝手にレポートしてすみません。次回の開催も楽しみにしています!


※こちらの記事もぜひ熟読を。出演バンドのメンバーでもある主催者側からの熱い思いが語られています。→ 「OTOTOY オガワナオキ&赤倉滋(「みんなの戦艦2012」主宰) INTERVIEW」
 

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