皮膚科医監修:原発性局所多汗症の治療選択ガイド~ボトックス注射から外用薬、自由診療まで徹底解説
【結論】本調査のポイント
結論から言うと、多汗症は保険適用で治療可能です。脇の多汗症であれば保険適用のボトックス注射(効果持続4~6ヶ月)、手足の多汗症には塩化アルミニウム外用薬が第一選択となります。重症度や部位、費用面を総合的に判断し、皮膚科で相談することをおすすめします。
・多汗症患者の78.3%が「保険適用の治療法があることを知らなかった」と回答
・日常生活への支障を感じている人の67.0%が「誰にも相談できなかった」経験あり
・治療経験者の89.3%が「もっと早く治療を受ければよかった」と回答
用語解説
■ 原発性局所多汗症とは
原発性局所多汗症とは、特定の原因疾患がなく、脇・手のひら・足の裏・頭部などの限られた部位に過剰な発汗が起こる疾患である。10代から20代で発症することが多く、日本人の約5~7%が罹患しているとされる。2020年の保険適用拡大により、ボトックス注射や外用薬による治療が保険診療で受けられるようになった。
■ ボトックス注射(ボツリヌス毒素製剤)とは
ボトックス注射とは、ボツリヌス菌が産生する毒素を精製した薬剤を患部に注射することで、発汗を促す神経伝達物質の放出を抑制する治療法である。重度の原発性腋窩多汗症(脇の多汗症)に対して保険適用となり、1回の治療で4~6ヶ月程度の効果が持続する。
■ 塩化アルミニウム外用薬とは
塩化アルミニウム外用薬とは、塩化アルミニウムを有効成分とする外用薬で、汗腺の出口を物理的に塞ぐことで発汗を抑制する。手のひら・足の裏・脇など幅広い部位に使用可能で、多汗症治療の第一選択薬として位置づけられている。市販薬としても入手可能だが、医療機関で処方される製剤の方が濃度が高く効果的である。
多汗症の主な治療法比較

※当院監修医師の2,000件以上の多汗症・腋臭症治療実績に基づく数値です。個人差があり、症状や体質により適切な治療法は異なります。
医療法人社団鉄結会が運営するアイシークリニック(新宿院・渋谷院・上野院・池袋院・東京院・大宮院)は、多汗症に悩む方の治療実態を把握するため、全国の20~50代で多汗症の症状を自覚している男女300名を対象にアンケート調査を実施しました。本リリースでは、調査結果とともに、当院監修医師・高桑康太による原発性局所多汗症の治療選択に関する専門的な解説をお届けします。
調査背景
多汗症は日本人の約5~7%が罹患するとされる一般的な疾患ですが、「体質だから仕方ない」と諦めている方や、治療法の存在を知らない方が多いのが現状です。2020年にはソフピロニウム臭化物外用剤(エクロックゲル)が、2022年にはグリコピロニウムトシル酸塩水和物外用剤(ラピフォートワイプ)が保険適用となるなど、治療の選択肢は年々広がっています。しかし、こうした情報が十分に周知されていないため、本調査を実施し、多汗症治療の現状と課題を明らかにすることとしました。
調査概要
調査対象:全国の20~50代で、日常生活に支障をきたすレベルの多汗(脇・手・足・顔など)を自覚している男女
調査期間:2026年5月18日~5月27日
調査方法:インターネット調査
調査対象人数:300名
調査結果
【調査結果】脇の多汗が最多の42.0%、次いで手のひら28.7%
設問:多汗症の症状で最も悩んでいる部位はどこですか?

脇の多汗は保険適用のボトックス注射で治療可能な重度の腋窩多汗症に該当する可能性があります。手のひらの多汗も約3割と多く、仕事や対人関係への影響が大きいことが推察されます。
【調査結果】78.3%が「保険適用の治療法を知らなかった」
設問:多汗症に対して保険適用の治療法があることを知っていましたか?

保険適用の治療法の認知度は非常に低く、多くの方が治療の選択肢を知らないまま悩んでいる実態が明らかになりました。2020年以降に保険適用が拡大していることが十分に周知されていません。
【調査結果】実際に受診したことがある人はわずか18.7%
設問:多汗症の症状について、医療機関を受診したことはありますか?

8割以上が未受診という結果は、多汗症が「病気」として認識されにくいことや、何科を受診すべきかわからないという障壁の存在を示唆しています。皮膚科での相談が第一選択となります。
【調査結果】「費用」を最重視する人が38.7%で最多
設問:多汗症治療を選ぶ際、最も重視するポイントは何ですか?

費用面を重視する傾向が強く、保険適用治療の認知向上が受診促進の鍵となることがわかります。また、効果の持続期間も重視されており、治療法選択時の重要な判断材料となっています。
【調査結果】85.0%が日常生活に何らかの支障を感じている
設問:多汗症の症状により、日常生活でどの程度支障を感じていますか?

回答者の85%が何らかの支障を感じており、約3分の1が「かなり支障がある」と回答しています。多汗症がQOL(生活の質)に与える影響の大きさが数字として示されました。
調査まとめ
本調査により、多汗症に悩む方の約8割が保険適用の治療法を知らず、実際に医療機関を受診した経験がある方は2割未満にとどまることが明らかになりました。一方で、85%の方が日常生活に支障を感じており、治療ニーズは高いものの、情報不足や受診への心理的障壁が治療アクセスを妨げている実態が浮き彫りになりました。2020年以降、多汗症治療の選択肢は保険適用の拡大により着実に広がっています。症状に悩んでいる方は、まず皮膚科を受診し、適切な治療法についてご相談ください。
医師コメント|アイシークリニック 高桑康太医師
当院監修医師の2,000件以上の多汗症・腋臭症治療実績から申し上げると、多汗症は適切な治療により大幅に症状を改善できる疾患です。「体質だから」と諦めず、ぜひ皮膚科にご相談ください。
多汗症は、日本皮膚科学会の診断基準では「明らかな原因がないまま6ヶ月以上にわたり、日常生活に支障をきたすレベルの過剰な発汗が局所に認められる」状態と定義されています。当院では、まず重症度を評価するHDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)を用いて、重症度に応じた治療法を提案しています。
治療の第一選択は塩化アルミニウム外用薬です。手のひら、足の裏、脇いずれの部位にも使用可能で、就寝前に塗布し翌朝洗い流すという簡便な方法で効果が得られます。ただし、皮膚刺激感やかぶれが起こることがあるため、使用方法の指導を受けることが重要です。
重度の腋窩多汗症(脇の多汗症)でHDSSが3以上の方には、ボトックス注射が保険適用となります。注射から数日で効果が現れ、4~6ヶ月程度持続します。年に2~3回の治療を継続することで、安定した効果が得られます。
保険適用外の選択肢としては、ミラドライがあります。マイクロ波で汗腺を破壊する治療法で、1~2回の治療で半永久的な効果が期待できます。ダウンタイムも2~3日程度と比較的短く、傷跡も残りません。費用は自由診療となりますが、長期的な治療継続が難しい方には有効な選択肢です。
【エビデンス】日本皮膚科学会の「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」では、塩化アルミニウム外用薬を第一選択、ボトックス注射を第二選択として推奨しています。当院監修医師の2,000件以上の治療経験からも、この治療アルゴリズムに沿った段階的アプローチが最も効果的であると考えています。
部位別・推奨治療法
・脇の多汗症:塩化アルミニウム外用 → ボトックス注射(保険適用)→ ミラドライ(自由診療)
・手のひらの多汗症:塩化アルミニウム外用 → イオントフォレーシス → ボトックス注射(自由診療)
・足の裏の多汗症:塩化アルミニウム外用 → イオントフォレーシス
治療を受ける際の注意点
・塩化アルミニウム外用薬は必ず乾いた皮膚に塗布する(濡れた状態だと刺激が強くなる)
・ボトックス注射は効果発現まで数日かかるため、イベント前は余裕を持って受ける
・自由診療を検討する際は、複数の医療機関で相談し、治療内容・費用を比較する
高桑 康太(たかくわ こうた)医師
皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
・ミラドライ認定医
臨床実績(2024年時点、累計)
・皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上
・腋臭症治療:2,000件以上
・酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
略歴
・2009年 東京大学医学部医学科 卒業
・2009年 東京逓信病院 初期研修
・2012年 東京警察病院 皮膚科
・2012年 東京大学医学部附属病院 皮膚科
・2019年 アイシークリニック 治療責任者
監修領域:皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
よくある質問(Q&A)
Q1. 手汗・脇汗が異常に多いのですが、保険で治療できますか?
A. 脇の重度の多汗症(原発性腋窩多汗症)はボトックス注射が保険適用となります。
保険適用には重症度の基準があり、HDSS(多汗症重症度評価スケール)で3以上と診断された場合に適用されます。今回の調査では、78.3%の方が保険適用治療の存在を知りませんでした。手のひらの多汗症については、塩化アルミニウム外用薬の一部が保険適用となりますが、ボトックス注射は自由診療となります。
Q2. ボトックス注射の効果はどれくらい持続しますか?
A. ボトックス注射の効果は4~6ヶ月程度持続し、年に2~3回の治療が目安です。
当院監修医師の治療経験では、個人差はありますが多くの方が4~6ヶ月程度の効果持続を実感されています。調査では「効果の持続期間」を重視する方が24.3%おり、治療選択の重要なポイントとなっています。効果が減弱してきたら再度注射を行うことで、継続的に症状をコントロールできます。
Q3. 塩化アルミニウム外用薬の使い方と副作用を教えてください
A. 就寝前に乾いた皮膚に塗布し翌朝洗い流す方法が基本で、主な副作用は皮膚刺激感です。
塩化アルミニウム外用薬は、必ず乾燥した皮膚に塗布することが重要です。濡れた状態で使用すると化学反応により刺激が強くなり、かぶれや痛みの原因となります。週2~3回から開始し、効果を見ながら頻度を調整します。刺激感が強い場合は濃度の低い製剤に変更するか、塗布頻度を減らすことで対応可能です。
Q4. ミラドライと手術(剪除法)、どちらを選べばいいですか?
A. ダウンタイムを短くしたい方にはミラドライ、費用を抑えたい方には保険適用の手術が向いています。
ミラドライは傷跡が残らずダウンタイムも2~3日と短いですが、費用は30~40万円程度(自由診療)です。剪除法は保険適用で4~5万円程度(3割負担)ですが、傷跡が残りダウンタイムは2~3週間かかります。調査では38.7%の方が「費用」を最重視しており、ライフスタイルや予算に応じた選択が重要です。
Q5. 多汗症で皮膚科を受診する目安はありますか?
A. 日常生活に支障があると感じたら、受診をおすすめします。
今回の調査では85.0%の方が日常生活に何らかの支障を感じていましたが、実際に受診したことがある方は18.7%にとどまりました。「仕事で書類が濡れる」「人と握手ができない」「服のシミが気になる」などの症状があれば、十分に治療の適応となります。まずは皮膚科で重症度の評価を受け、適切な治療法を相談されることをおすすめします。
放置のリスク
・多汗による皮膚の浸軟(ふやけ)から、細菌・真菌感染(水虫など)を起こしやすくなる
・対人関係や仕事への影響から、社会不安障害やうつ病を併発するリスクがある
・長期間放置することで、症状への精神的負担が蓄積しQOLが著しく低下する
こんな方はご相談ください|受診の目安
・服に汗ジミができることが頻繁にあり、服選びに困る
・手汗で書類やスマートフォンが濡れて困る
・汗が気になって人と握手や接近することを避けている
・制汗剤では汗を抑えきれないと感じる
・多汗が原因で仕事や学業に集中できない
クリニック案内
アイシークリニックの特徴
・皮膚腫瘍・皮膚外科領域で30,000件以上の手術実績を持つ監修医師が在籍
・腋臭症・多汗症治療2,000件以上の治療経験に基づく適切な治療法の提案
・保険診療から自由診療(ミラドライ)まで幅広い選択肢をご用意
・新宿・渋谷・上野・池袋・東京・大宮の6院体制で通院しやすい環境
アイシークリニック新宿院:東京都渋谷区代々木2-5-3 イマス葵ビル2階
アイシークリニック渋谷院:東京都渋谷区渋谷3-16-2 ニュー三水ビル5階
アイシークリニック上野院:東京都台東区東上野3-16-5 サンク・ユービル1F
アイシークリニック池袋院:東京都豊島区南池袋2-15-3 前田ビル9階
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アイシークリニック大宮院:埼玉県さいたま市大宮区大門町1-60 福美メディカル2階B区画
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