~「何を学ばせるべきか」AI時代に揺らぐ教育観【花まる教育研究所調べ】~
学習塾「花まる学習会」や野外体験イベントなどを通じて、子どもたちの「生きる力を育む教育」を実践する花まるグループ(株式会社こうゆう、本社:埼玉県さいたま市、代表:高濱正伸)が運営する、教育・子育てを取り巻く社会課題を調査・研究する「花まる教育研究所」(URL: https://www.hanamarugroup.jp/edu-lab/ )は、第5弾調査として、小学生以下の子どもを持つ保護者を対象に「AI時代の中学受験に関する意識調査」を実施し、164名の回答を得ました。
調査の結果、約7割(75.6%)が「AIによって『いい大学に入れば安定した将来につながる』という考え方は弱まる」と回答しました。一方で、8割超(82.9%)が「AI時代でも有名大学の価値は残る」と回答しており、保護者の間で学歴に対する価値観が変化しつつあることがうかがえます。単純な“学歴不要論”ではなく、学歴や大学進学の意味そのものを問い直す動きが広がっているようです。
また、10割(100%)が「AIによって社会や働き方が変わる」、ほぼ10割(98.2%)が「AIによって将来なくなる職業が増える」と回答しました。さらに、63.4%が「子どもに自分と同じ(または近い)職業についてほしくない」と回答しており、親自身もAI時代における将来像を模索している実態が明らかになりました。
そうした中、中学受験については4割(41.5%)が「させたい」と回答した一方で、同程度の4割(40.2%)が「悩んでいる」と回答しました。「AI時代ほど地頭や思考力が必要」「子どもに合う環境を選びたい」といった声も多く、中学受験は単なる学歴獲得の手段ではなく、変化の激しい時代を生き抜く力を育むための環境選びとして捉えられていることがうかがえます。

■主な調査結果
1.AI時代に揺らぐ、親の「学歴観」
7割以上(75.6%)が「いい大学=安定」の価値観は弱まると回答。一方で、有名大学の価値は残ると思う人は約8割(82.9%)に。
2.中学受験は支持される一方、親の葛藤も浮き彫りに
中学受験を「させたい」は41.5%、「悩んでいる」も40.2%。
3.100%がAIによって社会や働き方が変わると回答
100%が「社会や働き方が変わる」、98.2%が「なくなる職業は増える」と回答。
4.親自身の仕事や働き方にもAIの影響が広がる
72.0%が「自分の仕事や働き方が変化している」と回答。63.4%が「子どもに自分と同じ職業についてほしくない」と回答。
5.「答えのある問題を解く力」でいいのか、AI時代の子育てに戸惑う保護者
AI時代の教育や子育てに対し、「大人の決めた正解を答えるだけの子にしてはいけない」「学校にも塾にも進化してほしい」「親がどうAI活用に関われるか」など、不安や戸惑いの声が寄せられた。
(寄せられたコメント)
・「AIが進化している今、受験で求められる“答えのある問題を速く正確に解く力”はなくなると思う。そんな世界を生きる子に『良い学校に入った方がいい』とは言えない。大人の決めた正解を答えるだけの子にしてはいけないと強く思う」(40代・小6/中学生/高校生以上の母)
・「暗記や事務作業の価値が下がる中、中学受験でそうした能力を求められ対応するのは“時間がもったいない”という感覚もある。学校にも塾にも進化してほしい」(40代・小2/小6の母)
・「親よりも子どもの方がAIに習熟していく中で、適正なAI活用のため親がどう機能できるか」(40代・小2の父)
■ 考察(花まる教育研究所 所長 高濱 正伸)
今回の調査で最も印象的だったのは、一見矛盾する二つの結果が同居していたことです。「いい大学=安定」という考えは弱まる(75.6%)。それでいて、有名大学の価値は残る(82.9%)。これは矛盾ではなく、学歴の“意味”が変わったことの表れだと受け止めています。
かつて学歴は「将来の安定を保証するもの」でした。しかしAI時代に入り、その意味は変わりつつあります。保護者が学歴に見いだしているのは、もはや将来の成功を約束する“保証”ではなく、先の読めない時代における“保険”です。ある保護者が「学歴はインフレで価値が下がる一方、最低限の信頼を保証するものになる」と書いてくださったのは、まさにこの感覚でしょう。学歴は保証から“保険”へ。学歴の価値がなくなったのではなく、その意味が変わり始めている。今回の結果からは、保護者がその変化を感じ取りながら、中学受験の意味を改めて問い直している様子がうかがえます。
象徴的なのは、受験をさせたい理由の上位に「AI時代ほど地頭・思考力が必要」(72.1%)が並んだことです。これは“学歴を取るため”の受験から、“変化の時代を生き抜く力を育てる環境選び”としての受験へと、動機そのものが移っていることを示しています。AIによって知識へのアクセスが誰にでも開かれるほど、重要になるのは「自分で問いを立てる力」「人と協働する力」「試行錯誤しながら考え抜く力」です。教育は、「知識量を競うもの」から「人間としての土台を育てるもの」へと、シフトしていく必要があります。
保護者自身もAIによる働き方の変化を感じており、自分たちが歩んできたキャリアの延長線上に子どもの将来を描きにくくなっていることもうかがえます。大切なのは「受験するか・しないか」という二項対立ではなく、その子にとってどんな環境が最適かを見極めること。AI時代だからこそ、人間にしか育てられない力をどう育むかが、これからの教育の本質になっていくと考えています。
■詳細
1.AI時代に揺らぐ、親の「学歴観」
「AIによって、『いい大学に入れば安定した将来につながる』という考え方は弱まると思いますか?」という質問に対し、「強くそう思う」(28.0%)、「ややそう思う」(47.6%)を合わせると75.6%となりました。
従来の“学歴=安定”という価値観に対して、保護者の間で変化が起きていることがうかがえます。一方で、「あまり思わない」(16.5%)、「思わない」(6.1%)という声もあり、AI時代における学歴の価値観は揺れながらも、なお一定の信頼感が残っている様子も見て取れます。

「AI時代でも、有名大学の価値は残ると思いますか?」という問いに対しては、「やや思う」の回答が8割(82.9%)となりました。
一方で、「あまり思わない」(7.9%)、「思わない」(1.2%)という回答もあり、“大学ブランド”への評価は残りつつも、その意味合いが変化していることがうかがえます。

2.中学受験は支持される一方、親の葛藤も浮き彫りに
お子さまに中学受験をさせたいと思うかについて聞いたところ、「中学受験をさせたい」(41.5%)、「悩んでいる」(40.2%)、「中学受験させたくない・しない」(11.6%)、「わからない」(6.7%)という結果となりました。
“受験一択”ではなく、AI時代における教育のあり方そのものを模索している保護者が多く見られました。

また、中学受験をさせたい理由は、
・「子どもに合う環境を選ぶため」(75.0%)が最多で、次いで
・「AI時代ほど地頭や思考力が必要」(72.1%)、
・「学習意欲の高い環境を選びたい」(68.1%)、
・「将来の選択肢を広げたい」(52.9%)でした。

一方で、中学受験をしない理由は、
・「子どもの負担が大きい」(73.7%)が最多で、次いで
・「別の経験を重視したい」(68.4%)、
・「子どもに合わないと思う」(52.6%)、
・「公立で十分」(52.6%)でした。

3.100%がAIによって社会や働き方が変わると回答
AIが浸透することで、将来の社会や働き方が変わると思うかを聞いたところ、「かなり変わる」(85.4%)、「少し変わる」(14.6%)を合わせると100%となりました。
保護者の間では、AIによる社会や働き方の変化が広く認識されており、将来に大きな影響を与えるものとして受け止められていることがうかがえます。

AIによって将来なくなる職業が増えると思うかについては、「強くそう思う」(55.5%)、「ややそう思う」(42.7%)を合わせると98.2%となりました。保護者自身が、子どもたちが大人になる頃には職業構造そのものが大きく変化している可能性を感じていることが分かります。

4.親自身の仕事や働き方にもAIの影響が広がる
「あなたの仕事や働き方は、AIの活用によってすでに変化していると感じますか?」という問いには、「大きく変化している」(29.9%)、「少し変化している」(42.1%)を合わせて72.0%となりました。

「お子さまに、自分と同じ(または近い)職業についてほしいと思いますか?」という質問には、「思わない」が63.4%と6割超にのぼりました。
背景には、AIによって仕事の在り方が変わる不透明感や、「これからは親世代とは違う力が必要になる」という感覚があると考えられます。AIによる変化は、もはや未来の話ではなく、保護者自身の日常や働き方にも及んでいることが分かります。

5.「答えのある問題を解く力」でいいのか、AI時代の子育てに戸惑う保護者の声(自由記述)
・「AIが進化している今、受験で求められる“答えのある問題を速く正確に解く力”はなくなると思う。そんな世界を生きる子に『良い学校に入った方がいい』とは言えない。大人の決めた正解を答えるだけの子にしてはいけないと強く思う」(40代・小6/中学生/高校生以上の母)
・「学歴社会からAI時代への過渡期だと感じる。子どもが社会に出る頃にどれだけ変わっているのか、それにより志望校もがらっと変わるので予想が難しく、不安を感じる」(40代・小5の母)
・「暗記や事務作業の価値が下がる中、中学受験でそうした能力を求められ対応するのは“時間がもったいない”という感覚もある。学校にも塾にも進化してほしい」(40代・小2/小6の母)
・「学歴はインフレを起こし価値は基本的に低減する。一方で、逆に学歴は“最低限の信頼を保証するもの”になるかもしれない」(50代・小5の父)
AI時代の子育て全般への不安としては、次のような声も寄せられました。
・「デジタルネイティブの世代に何を伝えていくべきなのか分からない」(40代・未就学児(5才)/小3の母)
・「何でもすぐに答えを知りたい、正しいものは何かを基準にしてしまう怖さを感じる」(40代・小4/小6の母)
・「親よりも子どもの方がAIに習熟していく中で、適正なAI活用のため親がどう機能できるか」(40代・小2の父)
■調査概要
調査実施日:2026年5月26日~6月1日
調査対象:花まるグループ提供サービスの会員及びフォロワーで小学生以下の子どもを持つ保護者
有効回答数:164名
調査方法:インターネット調査
■花まる教育研究所について
URL: https://www.hanamarugroup.jp/edu-lab/
花まる教育研究所は、花まるグループが30年以上にわたり培ってきた教育実践の知見をもとに、教育・子育てを取り巻く社会課題を調査・研究し、発信していくことを目的として設立されました。現場の実態に根ざした情報発信を通じて、これからの教育や子育てのヒントを提示していきます。
所長には花まる学習会代表の高濱 正伸、研究員には数理思考教育の第一人者であり、栄光学園中学校・高等学校で20年以上にわたり思考力教育を実践してきた井本 陽久氏や、精神科医・医学博士である蟹江 絢子氏らを迎えました。
<所長 高濱 正伸 プロフィール>
1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年「花まる学習会」を設立、会員数は23年目で20,000人を超す。
花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。
武蔵野美術大学客員教授。環太平洋大学(IPU)客員教授。日本棋院顧問。ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー。
・花まる教育研究所メンバー


◼︎株式会社こうゆう会社概要・ 事業一覧
思考力・非認知能力・感性を育てる『花まる学習会』と、『幸せな受験』『自学ができる子』に育てることを目指す『スクールFC』の運営を中心に、1993 年から 30 年以上に亘り学習塾を展開しております。現在では、首都圏を中心にグループ全体で約 450 教室を展開しており、2024年よりキャス・キャピタル株式会社が株主に参画し、さらなる全国展開を目指し経営の強化を進めています。
◆会社概要
会社名:株式会社こうゆう(花まるグループ)
代表者:高濱 正伸
所在地:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-19-10
設立日:1993年2月2日
事業内容:学習塾「花まる学習会」「スクールFC」の運営等
公式サイト:https://www.hanamarugroup.jp/
◆関連事業
・学習塾「花まる学習会」
「本質を見抜く力」「やり抜く力」「人を惹きつける力」の3つの力を育てることで、将来“メシが食える大人・魅力的な人”に育てることを目的とした学習塾です。幼稚園児・小学生を対象に、毎週の授業と季節ごとの野外体験を通じて、子どもたちの学力と生きる力を伸ばしています。
URL:https://www.hanamarugroup.jp/hanamaru/
・野外体験|サマースクール・雪国スクール・親子企画など
年間1万人を引率する、花まるグループ会員向けの野外体験。親元を離れての宿泊経験、自然での本気の遊び、初めて出会う子どもたちとの集団生活を通じて、子どもたちは「ミニ社会」を経験します。
URL:https://hanamaruyagai.jp/
・スクールFC|「幸せな受験」を実現する進学塾
スクールFCは、花まるグループの進学塾として、一都三県で中学受験・高校受験の指導を行っています。受験はゴールではなく、その先の成長につながる大切な通過点。スクールFCでは、「やらされる勉強」ではなく、自ら進んで学ぶ“自学”の力を育てることを大切にしています。夢をかなえるだけでなく、努力する中で得られる自信や、学ぶ楽しさを味わってほしい──それが私たちの考える“幸せな受験”です。子どもたちの可能性を信じ、一人ひとりに寄り添う指導がスクールFCの強みです。
URL:https://www.schoolfc.jp
・スクールFC シグマTECHコース|オンラインと対面のハイブリッド型で受験合格はスクールFCの中でNo.1実績
夕ご飯をゆっくりおうちで食べる中学受験塾。週2日の通塾と個別指導によって、家庭の時間や子どもの多様な体験を大切にしながら、志望校合格を目指します。「ゆっくり夕ご飯をお家で食べて合格する」という新しい学習スタイルは、受験勉強と豊かな小学生時代を両立させる、花まるグループならではの提案です。
URL:https://sigmatech.schoolfc.jp/
・フリースクール事業|「花まるエレメンタリースクール」
花まるエレメンタリースクールは、学校に行かない選択をした子どもたちのためのフリースクールです。レスリングや将棋の日本一や数百年前の古字の博士など、尖った才能を持つ子も多数在籍・卒業しています。基礎学力と基礎体力の部分も大切にしながら、自ら考え自ら行動に移せるような子どもたちを育てるのが目標です。子どもは環境次第で必ず変わり、成長していきます。その成長のために我々は子どもたちと一緒に考え、子どもたちと一緒に行動し、子どもたちと一緒に歩んでいきます。
URL:https://hanamaru-eschool.jp/
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