Jackery SlimPower H1

Jackery Japanは、超薄型ポータブル電源「Jackery SlimPower H1」の販売を7月15日に開始した。67mmの超薄型設計によって、従来の幅広な箱型からスタイルを刷新。場所をとらず、部屋に馴染みやすいフォルムを実現している。価格は11万9800円。

「Jackery SlimPower H1」で示す新しい方向性

7月9日、同社は都内で「新製品・事業戦略発表会 2026」を開催した。印象的だったのは、同社がポータブル電源を「非常時だけの製品」として捉えていないことだ。

発表会では、エネルギーを取り巻く環境変化に合わせて新たな市場創造を目指す姿勢を明確に打ち出した。電気料金の上昇や災害への備え意識の高まりで、エネルギーの自給自足が一般家庭でも現実的なテーマになっているという。そこで、Jackery SlimPower H1を市場に投入することになった。

これまでポータブル電源は「大容量だが大きくて重い」というイメージが強かった。一方、Jackery SlimPower H1は冷蔵庫の横や家具の隙間にも設置できるサイズ感を実現。横置き、縦置き、壁掛けの3通りに対応し、日本の住宅事情を考慮している。

「備える電力」から「使う電力」へ

今回の発表会で最も重要だったのは製品スペックではない。同社が提案したのは、「ポータブル電源は、しまっておくものから日常の中で使うものへ」という考え方だ。

Jackery SlimPower H1にはUPS機能とパススルー機能が搭載され、停電時に約0.01秒で電源供給を切り替えることができる。普段は家庭内で利用しながら、万が一の際に冷蔵庫やPCなどの機器を継続稼働させることが可能だ。Jackery SlimPower H1によって、日常活用と防災対策を両立させる。

マーケティング本部マーケティング第一部の犀川雅未部長は「ポータブル電源を使うのはいいが、置き場所の問題がある。ちょうどいいものがなかった。そこで、今回の製品を発売することになった」という。

もう一つの注目製品が「Jackery Solar Backpack」。20Lのバックパックに高効率ソーラーパネルを搭載し、移動中に発電しながらスマートフォンやモバイル機器を充電できる。変換効率は最大25%とされ、通勤や通学、アウトドア利用を想定している。価格は1万7999円。

一見するとユニークな製品だが、その本質は「発電を家庭の外へ持ち出す」ことにある。家庭で蓄電するJackery SlimPower H1と外出先で発電するJackery Solar Backpackによって、エネルギーを自給するという同社のビジョンが見えてくる。

防災市場から生活家電市場へ進むJackery

今、Jackeryは競争の土俵を変えようとしている。これまでは同じポータブル電源メーカーが競合だった。今後は、「冷蔵庫横に常設する」「毎日使う」「インテリアになじむ」という価値を提供することで、生活家電市場にまでビジネス領域を広げようとしている。

法人営業本部の財部隼人本部長は、「これまで低価格競争を展開していたが、今後はメーカーの集約が起こる。そこで、戦略として単品での提案ではなく、さまざまな利用シーンや複数の製品を組み合わせたソリューション提案を行っていく」としている。

災害対策としてのポータブル電源は、これまで「非常時の保険」という位置づけだったといえる。Jackeryは新しい戦略によって、その常識を覆そうとしている。