国立科学博物館 筑波実験植物園(園長 遊川 知久)において、8月7日(金)から8月16日(日)まで、企画展「水草展-水辺を生きる多彩なかたち-」を開催いたします。

 「水草展-水辺を生きる多彩なかたち-」は、日本でここでしか見られない珍しい水草、絶滅の危機に瀕する水草など100種類以上を展示する企画展です。水草タッチプール、アクアリウム作り、水草観察、食虫水草のエサやり、水草しおり作り、美しい水槽など見て触れて愉しみ、水草の不思議な世界を体感的に学べる展示となっています。
 今回のテーマは「かたち」です。水草の多様な形は、さまざまな陸上植物から水中へ進出した進化の歴史と、多様な水辺環境へ適応した驚愕の生態とのせめぎ合いの中で生まれてきました。その形の謎や面白さを、学術的視点から多数の水槽と体験コーナーを通して紹介します。
 



企画展「水草展2026」ポスター

               水草展 開催主旨
 水草は、5億年前に水中から陸上に進出した植物を祖先に持ち、数億~数百万年前に、陸上から再び水中に進出した植物の総称です。言わば、“植物界のクジラ”ともいうべき、異端の植物です。

 しかも、陸上から水中へ進出した回数、つまり、水草の誕生の回数は、実に200回を超えることが、DNAを用いた研究からわかっています。そのため、一口に「水草」と言っても、それぞれの祖先の形態は実に多様です。ところが、水草を観察すると、その多くが同じような形をしていることに気づきます。これは、祖先の形態が異なっていても、類似した環境に生育したり、類似した受粉方法をしたり、類似した繁殖方法を行ったりするために、類似した形態に適応進化した結果でもあるのです。逆に、同じ祖先を持っていても、異なる環境などに適応した結果、その子孫どうしが、全く形態の異なる水草に進化することもあります。この2つの進化的要素が、世界の水草2,800種の多様性を生み出しているのです。

 「水草展~水辺を生きる多彩なかたち~」は、水草の面白さの根源とも言うべき、多様な形態の誕生の意味を、水中に漂う美しい水草を、触って、観察して、体感的に学んでいただけるように企画しました。

 日本の水草の44%は絶滅の危機に瀕しています。筑波実験植物園では、全世界の水草種の10%、日本の水草種の50%ほどを栽培保全しています。今回は、その中から厳選した100種類以上を展示します。特に、国内では筑波実験植物園のみが栽培保全に成功している、オッテリア・コルダータ、オッテリア・メセンテリウム、ストラティオテスや、国内で極めて稀少なナガバエビモ、カドハリイ(絶滅危惧種IA類、国内希少野生植物種)、イヌイトモなど、一般にはここでしか見ることが出来ない種も多数展示します。

 さらに、茨城県レッドリスト植物版が今年改訂されたことや、筑波実験植物園とつくば市が提携を結んだことを受けて、茨城県やつくば市での現在の水草の危機的状況を取り上げます。筑波実験植物園での水草の保全研究も合わせて紹介し、水草の置かれている現状と将来について考える展示も行います。

     水草展ー水辺を生きる多彩なかたちー 開催概要
1.名  称:水草展ー水辺を生きる多彩なかたちー

2.主  催:独立行政法人 国立科学博物館 筑波実験植物園

3.協  力:  (有)エイチ・ツー
         TCA東京ECO動物海洋専門学校
         (株)エムピージェー
         茨城県生物多様性センター
         つくば市
         Aqua grass
         AQUA SHOP TRiM
         AQUA SHOP BUENO
         AQUA MODO INFINITY
         アクアリウムショップアース
         aquarium shop suisai
         Aquarium Time
        (株)ビオグラフィカ
         color
         グリーンアクアリウムマルヤマ

4.会  期:2026年8月7日(金)~8月16日(日) 10日間 (会期中休園日なし)

5.場  所:国立科学博物館 筑波実験植物園

6.開園時間:9:00~17:00(入園は16:30まで)

7.展示内容

研修展示館

【水辺を生きる多彩なかたち】
1.水草の進化の足跡をたどる“巨大系統樹”
 陸上の植物が水中へ進出した回数は、なんと200回以上!本物の水草で作成した巨大な進
化系統樹を見ながら、“水草の誕生の歴史”を体感していただきます。

2.進化がつくる水草のかたち
・そっくりなのに仲間じゃない? 仲間なのに似ていない?
 見た目がそっくりでも、実はまったく別のグループであったり、逆に、近い仲間なのに姿が全
然違ったりすることがあります。進化の道筋と環境への適応の両面から、水草の多様なかたちの
秘密を紐解きます。







見た目は似ているが全く類縁が違う水草

・一つの体に2つの形―水中と水上で葉の形が大変身!
 環境に合わせて姿を変える、水草の柔軟な生き方に注目します。





・水草も陸にあがる!?
 水が無くなると、あたかも陸上の植物のように変化して、乾燥に耐える水草も存在します。

・水草の花って見たことある?
 水辺で暮らすための、花や種子は個性的です。

3.巨大な水草、極小の水草
 最長7mから最小0.5mm まで。水草たちのスケールの多様さをご紹介します。

世界最長の海水性水草-タチアマモ

4.ここでしか見られない奇妙な形
 国内では筑波実験植物園でしか見られない奇妙な形の水草を厳選して展示します。

浮き草の異端児”ストラティオテス”






花茎が長すぎる”オテリア・メセンテリウム”
(長期的な栽培と開花に筑波実験植物園が日本で初めて成功しました。※会期中に開花が見られるかはわかりません。生体と樹脂包埋標本などを展示予定です。)

【茨城県の稀少な水草】
 茨城県やつくば市で見られる希少な水草を、最近に発表された、茨城県の「レッドリスト植物」、つくば市の「生物多様性つくば戦略」と合わせて展示します。
 筑波実験植物園で取り組む水草の保全研究も紹介しながら、稀少な水草の現状と将来について考える契機を提供します。



つくば市内で自生が確認されたクロホシクサ      (茨城県絶滅危惧IB 類)


【暮らしの中の水草】
 人も水草も水辺で生活してきました。食べ物、薬、衣類、住居、道具、肥料、便所紙、装飾、鑑賞、
儀式などなど、毎日のように使っているものから珍しいもの、伝統的なものから最近に登場したものまで、暮らしの中で使われる水草を紹介します。

教育棟

【水草の美しさを楽しむ】
  日本を代表するアクアリストによる、美しい水草水槽を展示します。
〈出品者〉
  和泉 一司(aquarium shop suisai)       上野 知明(AQUASHOP BUENO)
  奥田 英将(株式会社ビオグラフィカ)       越智 隼人(Aqua grass)
  小野寺 啓介(color)              斉藤 大工(H2 豊洲店)
  佐々木 剛(AquariumTime)           助川 浩之(AQUA MODO INFINITY)
  鈴木 秀一朗(SENSUOUS)           滝川 佳樹(AQUA SHOP TRiM)
  轟 元気(e-scape)               早坂 誠(エイチ・ツー)
  日向 慧(アクアリウムショップアース)      丸山 卓也(グリーンアクアリウムマルヤマ)




【みなさんがレイアウター!みんなで植える水草水槽】
  ご来場の方に水草を植えていただき、会期中に水草水槽を完成させます。
いつでもどなたでも、参加歓迎です。
[期間中毎日開催/無料]



8.体験

研修展示館

【めざせ水草博士!水草の見分け方】
 どこを見れば違いがわかる? 水草観察のコツを、わかりやすく紹介します。ワークシートを見ながら、水草の見分け方に挑戦する、夏休みの自由研究にもおすすめのコーナーです。





【食虫水草タヌキモにエサをあげよう】
 袋状のワナにエサを近づけると――シュッ!一瞬で吸い込む、食虫水草タヌキモの秘密を体
験していただきます。





タヌキモの捕虫のう(ここにエサを近づけて、食べさせます)

【“ウキクサ沼”へようこそ!】
 緑色に見える水面・・・でもよく見ると、たくさんの種類のウキクサが!何種類見つけられるか挑戦!微妙な違いを見分ける面白さをお伝えします。





【‘世界最小の花’ミジンコウキクサを観察しよう】
 体の大きさは、わずか0.5mm。その小さな体に咲く、さらに小さな花を観察していただきま
す。
※開花しないこともございますのでご了承ください。






世界最小の花を咲かせる、世界最小の種子植物-ミジンコウキクサ

【水草の葉っぱでしおりをつくろう】 
 水草の葉っぱは、まるで自然のアート。形の違いを観察しながら、世界にひとつだけのしおりを作ってみてください。





研修展示館前 芝生エリア

【「さわって発見!水草のかたち
(屋外タッチプール)】
 水辺で暮らすための“かたちの工夫”を、見て、触って、くらべながら、体感してみてください。





9.関連イベント
【水草について考えよう:水草クイズラリー】
場所:研修展示館1F・2F
  クイズに答えながら、水草展の会場を探検します。参加者にはオリジナルグッズをプレゼントい
たします。

【講座・植物研究最前線 「水草のかたちの謎」】 ※要事前予約
  水草の葉や根や花の多様な形は、陸上の祖先が水中で生きるために工夫を重ねてきた証です。
生きた水草の‘かたち’を観察しながら、水中ならではの暮らしと進化のひみつをわかりやすく
紹介します。

日時:8月15日(土)13:30~15:00
会場:研修展示館3階 セミナー室
対象:高校生以上
定員:30名(要事前予約・1か月前から筑波実験植物園ホームページにて募集開始します。)
講師:田中 法生(筑波実験植物園 研究員)

10.ワークショップ ※予約不要
【自分だけのアクアリウムをつくろう】
  小さなガラスの器で水草を育てて、水中の生
態系を観察しましょう。子供も大人も楽しいア
クアリウムづくり体験です。





日時:期間中毎日9:00~16:00
(最終受付16:00、所要時間30分程度)
※混雑具合により、お待ち頂く場合があります。
場所:教育棟
費用:要材料費(1,200円~各種)





11.オリジナルグッズ販売
 【会場】ミュージアムショップ
  かはくオリジナル水草グッズ(T シャツ、トートバック、マグカップなど)を販売します。
(写真は2024年のデザインです。デザインや商品は変更になる場合がございます。)








12.展示風景イメージ















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