保護者300名調査で判明した「受診の目安」と皮膚科医が教える正しい対処法
【結論】本調査のポイント
結論から言うと、子どもが肌を掻き壊した場合、患部が赤く腫れている・浸出液(ジュクジュク)が出ている・2~3日経っても改善しないの3つのうち1つでも当てはまれば皮膚科を受診すべきです。早期受診により治癒期間を約半分に短縮できる可能性があり、特に夏場は細菌感染のリスクが高いため、48時間以内の受診が推奨されます。
・子どもの72.3%が夏休み期間中に虫刺されやあせもを掻き壊した経験あり
・掻き壊しを放置した保護者の65.7%が「完治まで1週間以上かかった」と回答
・皮膚科を受診したケースでは83.4%が「5日以内に改善」と回答
用語解説
■ 掻き壊し(掻破痕)とは
掻き壊しとは、虫刺されやあせもなどの皮膚トラブルを繰り返し掻くことで、皮膚が傷つき炎症が悪化した状態である。医学的には「掻破痕(そうはこん)」と呼ばれ、二次感染を起こすと「とびひ(伝染性膿痂疹)」に発展するリスクがある。
■ とびひ(伝染性膿痂疹)とは
とびひとは、掻き壊しなどの皮膚の傷口から黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌が感染して起こる細菌性皮膚感染症である。患部に水疱やかさぶたができ、掻くことで「火が飛ぶように」全身に広がることからこの名がついた。
■ 浸出液とは
浸出液とは、傷や炎症部位から滲み出る透明~黄色の液体である。傷の治癒に必要な成分を含むが、過剰に出ている場合は炎症が強い証拠であり、放置すると細菌繁殖の温床となる。
子どもの掻き壊し:自宅ケアと皮膚科受診の比較

※一般的な目安であり、個人差があります。
医療法人社団鉄結会が運営するアイシークリニック(新宿院・渋谷院・上野院・池袋院・東京院・大宮院)は、全国の子ども(0~15歳)を持つ保護者300名を対象に「夏休み期間中の子どもの肌トラブルと掻き壊しに関する意識調査」を実施しました。当院は皮膚腫瘍・皮膚外科を専門とし、大人から子どもまで幅広い皮膚トラブルの診療を行っております。
調査背景
夏休みも中盤に差し掛かり、プールや屋外活動で子どもたちの虫刺されやあせもが増加する時期です。子どもは我慢ができず無意識に患部を掻いてしまうため、掻き壊しによる悪化が後を絶ちません。しかし「どの程度で病院に行くべきか」「市販薬で様子を見ていいのか」と悩む保護者の声が多く聞かれます。そこで本調査では、保護者の対処行動と治癒までの期間の関係を明らかにし、適切な受診タイミングの目安を提示することを目的としました。
調査概要
調査対象:全国の0~15歳の子どもを持つ20~50代の男女
調査期間:2026年7月6日~7月15日
調査方法:インターネット調査
調査対象人数:300名
調査結果
【調査結果】子どもの7割以上が夏休み中に掻き壊しを経験
設問:今年の夏休み期間中、お子さんが虫刺されやあせもなどを掻き壊した経験はありますか?

72.3%の子どもが夏休み期間中に掻き壊しを経験しており、特に「何度もある」が4割を超える結果となりました。夏場の高温多湿環境と屋外活動の増加により、肌トラブルのリスクが高まっていることがわかります。
【調査結果】6割以上が市販薬での様子見を選択
設問:お子さんが掻き壊しを起こした際、最初にどのような対処をしましたか?

市販薬や応急処置での対応が64.0%を占め、すぐに皮膚科を受診した保護者は16.4%にとどまりました。多くの保護者が「まずは自宅で様子を見る」という判断をしていることがわかります。
【調査結果】自宅ケアのみでは6割以上が完治に1週間以上
設問:市販薬や自宅ケアで様子を見た場合、完治までにどのくらいの期間がかかりましたか?

自宅ケアのみの場合、65.7%が完治まで1週間以上かかったと回答。特に2週間以上かかったケースが30.4%と約3割に上り、掻き壊しの放置が治癒期間の長期化につながることが示唆されました。
【調査結果】皮膚科受診で8割以上が5日以内に改善
設問:皮膚科を受診した場合、診察後どのくらいで症状が改善しましたか?

皮膚科を受診したケースでは83.4%が5日以内に症状改善を実感。2日以内という早期改善も34.6%と高く、専門医による適切な治療が治癒期間の大幅な短縮につながることが明らかになりました。
【調査結果】「受診すべき目安がわからない」が最多の42.7%
設問:子どもの掻き壊しで皮膚科受診を迷う最大の理由は何ですか?

受診をためらう最大の理由は「受診すべき目安がわからない」が42.7%で最多でした。次いで「待ち時間が長そう」が24.3%となり、判断基準の不明確さと受診のハードルが、適切な治療の妨げになっていることがわかります。
調査まとめ
本調査により、夏休み期間中に子どもの7割以上が掻き壊しを経験している一方、6割以上の保護者が市販薬での様子見を選択していることが明らかになりました。しかし、自宅ケアのみでは完治まで1週間以上かかるケースが65.7%に上るのに対し、皮膚科を受診した場合は83.4%が5日以内に改善しており、早期受診の有効性が数字で示されました。「受診すべき目安がわからない」という保護者の声が4割を超えることから、明確な受診基準の周知が急務であると考えられます。
医師コメント|アイシークリニック 高桑康太医師
皮膚科医として15年以上の臨床経験から申し上げると、子どもの掻き壊しは『48時間ルール』を目安にしてください。2日経っても改善しない、または悪化傾向にある場合は、迷わず皮膚科を受診することをお勧めします。
夏場の子どもの肌は、汗・紫外線・虫刺されなど多くの刺激にさらされています。子どもは大人と比べて皮膚のバリア機能が未熟なうえ、かゆみを我慢できないため、無意識のうちに掻き壊してしまいます。
掻き壊しを放置すると、傷口から黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入し、「とびひ(伝染性膿痂疹)」に発展するリスクがあります。日本皮膚科学会の診療ガイドラインでも、とびひは早期の抗菌薬治療が推奨されており、放置による重症化や周囲への感染拡大を防ぐためにも、早めの受診が重要とされています。
特に注意が必要なのは、患部がジュクジュクしている(浸出液が出ている)、黄色いかさぶたができている、患部が広がっている、発熱を伴う、といった症状です。これらは細菌感染のサインである可能性が高く、市販薬では対応が難しいケースがほとんどです。
保険診療で処方される外用抗菌薬やステロイド外用薬は、市販薬よりも有効成分の濃度が高く、症状に合わせた適切な強さのものを選択できます。また、かゆみ止めの内服薬を併用することで、夜間の無意識な掻き壊しを防ぐことも可能です。
【エビデンス】日本皮膚科学会の「伝染性膿痂疹診療の手引き」では、掻き壊しから発展したとびひに対して、早期の抗菌薬治療開始が重症化予防に重要であると明記されています。皮膚科医としての臨床経験でも、発症から48時間以内に適切な治療を開始したケースでは、1週間以内にほぼ完治する傾向がみられます。
すぐに皮膚科を受診すべき5つのサイン
・患部が赤く腫れて熱を持っている
・浸出液(ジュクジュク)が止まらない
・黄色いかさぶたや膿がある
・患部が日に日に広がっている
・37.5度以上の発熱を伴う
受診までの応急処置
・患部を流水で優しく洗い清潔に保つ
・ガーゼで保護し掻けないようにする
・爪を短く切り清潔にしておく
・通気性の良い服装で患部の蒸れを防ぐ
・かゆみが強い場合は保冷剤で冷やす(直接当てない)
高桑 康太(たかくわ こうた)医師
皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
・ミラドライ認定医
臨床実績(2024年時点、累計)
・皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上
・腋臭症治療:2,000件以上
・酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
略歴
・2009年 東京大学医学部医学科 卒業
・2009年 東京逓信病院 初期研修
・2012年 東京警察病院 皮膚科
・2012年 東京大学医学部附属病院 皮膚科
・2019年 アイシークリニック 治療責任者
監修領域:皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
よくある質問(Q&A)
Q1. 子どもが掻き壊したら、まず何をすべき?
A. まずは流水で患部を優しく洗い、清潔なガーゼで保護してください。
掻き壊した患部は細菌感染のリスクが高いため、石鹸を使わず流水で優しく汚れを落とし、清潔なガーゼで覆います。調査では自宅ケアのみで完治に1週間以上かかったケースが65.7%に上りました。2~3日様子を見ても改善しない場合は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
Q2. 市販薬と皮膚科の薬、どちらが効く?
A. 症状の程度によりますが、皮膚科処方薬の方が有効成分濃度が高く、治癒期間が短い傾向があります。
本調査では、皮膚科受診群の83.4%が5日以内に改善したのに対し、自宅ケア群では完治に1週間以上かかったケースが65.7%でした。軽度の掻き壊しなら市販薬で対応可能ですが、ジュクジュクしている・広がっている場合は処方薬が必要です。費用も保険適用で500~1,000円程度と市販薬と大差ありません。
Q3. 掻き壊しを放置するとどうなる?
A. 細菌感染を起こし「とびひ」に発展するリスクがあり、治癒期間が2~3倍に延びる可能性があります。
掻き壊しの傷口から黄色ブドウ球菌などが侵入すると、とびひ(伝染性膿痂疹)を発症します。とびひは全身に広がりやすく、家族や友人にうつる恐れもあります。調査では自宅ケアで2週間以上かかったケースが30.4%あり、早期受診の重要性が示されています。
Q4. 子どもの掻き壊し、受診の目安は?
A. 「48時間ルール」を目安に、2日経っても改善しない、または悪化している場合は受診してください。
調査で「受診すべき目安がわからない」と答えた保護者は42.7%に上りました。具体的には、患部が赤く腫れている、浸出液が出ている、黄色いかさぶたがある、患部が広がっている、発熱を伴う場合は、迷わず皮膚科を受診すべきサインです。
Q5. 掻き壊しを繰り返さないためにできることは?
A. 保湿ケア・爪の手入れ・虫除け対策の3点を日常的に行うことが予防の基本です。
子どもの皮膚は乾燥しやすく、バリア機能が弱いため、毎日の保湿が重要です。また爪を短く清潔に保つことで、掻いた際のダメージを軽減できます。屋外活動時は虫除けスプレーを活用し、帰宅後はシャワーで汗を流す習慣をつけましょう。繰り返す場合は、アレルギーなど根本原因の検査も検討してください。
放置のリスク
・とびひ(伝染性膿痂疹)への発展:全身への拡大や家族への感染リスク
・色素沈着・瘢痕化:掻き続けることで跡が残りやすくなる
・慢性化:掻く→悪化→かゆいの悪循環で長期化するリスク
・学校・保育園への出席停止:とびひは感染症のため登園・登校が制限される場合がある
こんな方はご相談ください|受診の目安
・患部が赤く腫れて熱を持っている場合
・浸出液(ジュクジュク)が2日以上続く場合
・黄色いかさぶたや膿が見られる場合
・患部が広がっている・増えている場合
・37.5度以上の発熱を伴う場合
・市販薬を2~3日使用しても改善しない場合
クリニック案内
アイシークリニックの特徴
・土日祝日も診療:夏休み中でも通いやすい診療体制
・保険診療対応:子どもの皮膚トラブルは保険適用で受診可能
・都内6院・大宮1院のネットワーク:お住まいの近くで受診できる
・皮膚外科専門:掻き壊しが悪化した場合も対応可能な専門性
アイシークリニック新宿院:東京都渋谷区代々木2-5-3 イマス葵ビル2階
アイシークリニック渋谷院:東京都渋谷区渋谷3-16-2 ニュー三水ビル5階
アイシークリニック上野院:東京都台東区東上野3-16-5 サンク・ユービル1F
アイシークリニック池袋院:東京都豊島区南池袋2-15-3 前田ビル9階
アイシークリニック東京院:東京都中央区日本橋3-6-2 日本橋フロント3階
アイシークリニック大宮院:埼玉県さいたま市大宮区大門町1-60 福美メディカル2階B区画
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