一方通行じゃ出来ない面白さがある
――昔はSNSなど発達していなかったので、一般の方と俳優の方が直接やり取りすることはなかったと思うのですが、田辺さんとしてはTwitterでのやりとりをどう感じていますか?
田辺:とてつもなく楽しいです。こうなったのも、最初は「こんな犬を見ました」というのを出しただけで、そこに反応があって、それで次にまた僕が出してっていう展開の仕方で、僕も思っていないような方向にいったりして。それってやっぱり一方通行じゃ出来ないじゃないですか。その面白さはあると思います。
僕はTwitterには本当にネタしか描いていないんですが、見ている方はセンスがいい人が多いんですよ。ラジオのハガキ職人みたいな。
そのセンスで笑いのツボをつこうとしてくるので、僕から見ても「やられた!」みたいな返しをしてくる人がいっぱいいるんです。それを拾って乗っかって次のネタを出すと、また返しが来るんですよ、もうツワモノ揃いです。そのやりとりが楽しいんですよね、ラジオみたいで。
――そういうネタ合戦みたいなものが繰り広げられていくのが面白いんですね。
田辺:面白いですね。だから “かっこいい犬”もそういった皆さんとのやりとりがなければ、ここまで広がらなかったと思います。
絵を通して、何が伝わるかを大切にしたい
――今まで動物やモノ以外にも、色々な人物を描かれていますが、絵の感じもいろいろ違いますよね。
キャイ〜ンのウドさんを描いてみました。 https://t.co/ziNry2k
— 田辺誠一 (@tanabe1969) 2011, 9月 13
田辺:それは環境の違いですね。主にTwitterはスマホで指を使って描いているんですよ。だからあんまり描き込めないんです。車の後ろの席とかだと揺れながら描くから、信号で停まった時とかにピュッと描いて、動き出したらやめて、また停まったらピュって描くとか。
――描いた絵を描き直されたりもするんですか?
田辺:するときもあります。でも大体最初のノリが一番いいんですよね。考えて詰めていくとあんまり面白いものにならないから。最初のフィーリングで、短時間で。Twitterにあげる絵とかだったら本当に10秒とかで描きます。
――すごいですね。
田辺:それで何かが伝わればいいなっていう。少し凝ってるやつっていうのは、もうちょっとじっくり描いているやつだと思います。タブレットにペンを使って、ちゃんと線を描いていたり。
漫画家さんが使っているような道具とかも使うようになって、色を塗るだけでもクオリティーがとても変わる。上手くなって残念、みたいなことも言われるんですけど、3年前に描いたものに色を付けただけで、上手くなったって言われたりもするんですよ。
――ああ、印象が変わったから!
田辺:そう、印象なんですよ。だからあまり上手い下手とか気にしないで、技術はやはり無いと思うので、何が伝わるかを大切にしたいと思います。