お盆のアウトドア・帰省シーズン前に知っておきたい正しい対処法を皮膚科医が解説

【結論】本調査のポイント
結論から言うと、マダニに噛まれた場合は絶対に自分で無理に引き抜いてはいけません。マダニの口器が皮膚内に残り、重篤な感染症(SFTS等)のリスクが高まるため、発見次第すぐに皮膚科を受診してください。応急処置として、マダニを触らずそのままの状態で医療機関を受診することが最も安全な対処法です。


・マダニに噛まれた経験者の81.3%が「自分で取ろうとした」と回答
・SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の存在を知っている人は僅か23.7%
・正しい対処法(そのまま皮膚科受診)を知っていた人は18.3%に留まる
用語解説
■ マダニとは
マダニとは、野山や草むらに生息する吸血性の節足動物である。体長は吸血前で3~4mm程度だが、吸血後は1cm以上に膨張する。皮膚に口器を深く刺し込み、数日~2週間程度吸血を続ける特徴を持つ。

■ SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは
SFTSとは、SFTSウイルスを保有するマダニに刺されることで感染する疾患である。発熱、消化器症状、血小板減少、白血球減少などの症状を呈し、致死率は10~30%と報告される重篤な感染症である。
■ 日本紅斑熱とは
日本紅斑熱とは、リケッチアという病原体を持つマダニに刺されることで感染する疾患である。高熱、発疹、刺し口が三徴候とされ、早期の抗菌薬治療が必要な感染症である。
マダニ刺されの対処法比較:自己処置vs医療機関受診

※一般的な目安であり、個人差があります。

医療法人社団鉄結会が運営するアイシークリニック(新宿院・渋谷院・上野院・池袋院・東京院・大宮院)は、お盆シーズンのアウトドアや帰省に伴うマダニ被害の増加が予想される中、全国の20~60代の男女300名を対象に「マダニ刺されに関する意識調査」を実施しました。本調査では、マダニ刺されの経験や対処法の認知度、感染症リスクへの理解度について調査し、正しい対処法の啓発を目的としています。
調査背景
毎年お盆シーズンには、キャンプ、登山、帰省先での農作業など、自然の中での活動が増加します。国立感染症研究所のデータによると、マダニが媒介する感染症の報告数は夏季に集中しており、特に7~9月は年間発生数の約60%を占めています。しかし、マダニに噛まれた際の正しい対処法や、SFTS等の重篤な感染症リスクについての認知度は依然として低いことが課題となっています。本調査は、お盆の行楽シーズンを前に、正しい知識の普及と被害予防の啓発を目的として実施しました。
調査概要
調査対象:全国の20~60代の男女で、過去5年以内にキャンプ・登山・農作業などアウトドア活動の経験がある方
調査期間:2026年7月6日~7月15日
調査方法:インターネット調査
調査対象人数:300名
調査結果
【調査結果】約4割がマダニに噛まれた経験あり
設問:マダニに噛まれた(刺された)経験はありますか?



アウトドア活動経験者の約4割がマダニ被害を経験していることが判明しました。また、約1割の方は「わからない」と回答しており、気づかないうちに被害を受けている可能性も示唆されます。マダニは痛みを感じにくいため、発見が遅れるケースも多いと考えられます。
【調査結果】8割以上が「自分で取ろうとした」危険な対処を経験
設問:マダニに噛まれた際、どのように対処しましたか?(経験者のみ回答)



マダニ被害経験者の81.3%が自己処置を試みており、正しい対処法である「そのまま医療機関を受診」を選択した人は僅か12.9%でした。無理に引き抜くと口器が残存し、感染症リスクが高まるため、この結果は深刻な啓発不足を示しています。
【調査結果】SFTS認知度は僅か23.7%、76.3%が「知らない」
設問:マダニが媒介する感染症「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」を知っていますか?



致死率10~30%と報告されるSFTSについて、76.3%が「知らない」と回答しました。名前と症状の両方を理解している人は僅か8.7%に留まり、重篤な感染症リスクへの認知度の低さが浮き彫りになりました。
【調査結果】正解の「皮膚科」を選択したのは43.0%
設問:マダニに噛まれた場合、何科を受診すべきだと思いますか?



マダニ刺されの第一選択となる「皮膚科」を正しく回答できたのは43.0%でした。28.3%が内科を選択しており、マダニ除去の専門的処置が可能な診療科についての認知が十分でないことがわかりました。
【調査結果】「特に何もしていない」が最多の35.3%
設問:マダニ対策として実践していることはありますか?(複数回答可・最も当てはまるもの)



約3人に1人がマダニ対策を「特に何もしていない」と回答しました。長袖・長ズボンの着用や虫除けスプレーの使用など、基本的な予防策を実践している人は6割程度に留まり、予防意識の向上が急務であることがわかりました。
調査まとめ
本調査により、アウトドア活動経験者の約4割がマダニ被害を経験している一方で、正しい対処法の認知度は著しく低いことが明らかになりました。特に、被害経験者の8割以上が「自分で取ろうとした」という危険な対処を行っており、SFTS等の重篤な感染症リスクを知っている人も23.7%に過ぎません。お盆シーズンを前に、マダニ刺されの正しい対処法(無理に取らず皮膚科を受診)と感染症リスクについての啓発が急務であることが示されました。
医師コメント|アイシークリニック 高桑康太医師
皮膚科医として15年以上の臨床経験から申し上げると、マダニに噛まれた場合は絶対に自分で無理に引き抜かないでください。マダニの口器には逆向きの棘があり、無理に引き抜くと口器が皮膚内に残存し、感染症リスクが大幅に高まります。

マダニは皮膚に口器を深く刺し込んで吸血するため、通常の虫刺されとは全く異なる対処が必要です。調査結果では81.3%の方が自己処置を試みていますが、これは非常に危険な行為です。マダニを無理に引き抜くと、体内の病原体が人体に逆流する恐れがあり、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)、日本紅斑熱、ライム病などの感染症リスクが高まります。

特にSFTSは致死率10~30%と報告される重篤な感染症であり、国内でも毎年60~100例程度の発生が報告されています。西日本を中心に発生していましたが、近年は関東地方でも確認されるようになっており、全国的な注意が必要です。

皮膚科では、専用のマダニ除去器具を用いて口器を残さず安全に除去します。また、除去後は感染症の潜伏期間(通常1~2週間)を考慮した経過観察の指導や、必要に応じて抗菌薬の予防投与を行います。

お盆シーズンにキャンプや登山、帰省先での農作業を予定されている方は、まず予防対策を徹底し、万が一マダニに噛まれた場合は慌てずに皮膚科を受診してください。夜間や休日でマダニ部分を清潔なガーゼで覆い、翌日の受診でも問題ありません。

【エビデンス】国立感染症研究所の報告では、SFTS患者の約90%以上にマダニ刺咬歴または刺咬痕が確認されています。また、日本皮膚科学会では、マダニ刺咬に対して自己での除去を行わず、医療機関での適切な処置を推奨しています。
マダニに噛まれた際の正しい対処法
・絶対に自分で無理に引き抜かない
・マダニを触らず、そのままの状態で皮膚科を受診
・夜間・休日は清潔なガーゼで覆い、翌日受診でも可
・受診後2週間は発熱・発疹等の症状に注意
お盆シーズンのマダニ予防対策
・長袖・長ズボン・帽子を着用し、肌の露出を減らす
・ディート・イカリジン配合の虫除けスプレーを使用
・草むら・藪に直接座らない、寝転ばない
・帰宅後は速やかに入浴し、全身をチェック
高桑 康太(たかくわ こうた)医師
皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当

専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
・ミラドライ認定医

臨床実績(2024年時点、累計)
・皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上
・腋臭症治療:2,000件以上
・酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上

略歴
・2009年 東京大学医学部医学科 卒業
・2009年 東京逓信病院 初期研修
・2012年 東京警察病院 皮膚科
・2012年 東京大学医学部附属病院 皮膚科
・2019年 アイシークリニック 治療責任者

監修領域:皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
よくある質問(Q&A)
Q1. マダニに噛まれたらどうすればいい?
A. マダニを触らず、そのままの状態で皮膚科を受診することが最も安全な対処法です。
本調査では81.3%の方が自己処置を試みていましたが、これは危険な行為です。マダニの口器には逆向きの棘があり、無理に引き抜くと皮膚内に残存し、感染症リスクが高まります。発見次第、マダニを触らずに皮膚科を受診してください。夜間や休日の場合は、マダニ部分を清潔なガーゼで覆い、翌日の受診でも問題ありません。

Q2. マダニは自分で取っていいの?
A. 自分で取ることは推奨されません。口器が残存し、感染症リスクが高まる可能性があります。
調査では54.3%の方が「ピンセットや指で自分で取った」と回答していますが、これは避けるべき対処法です。マダニを無理に引き抜くと、70~80%の確率で口器が皮膚内に残存するとされています。また、マダニの体を圧迫すると体内の病原体が逆流し、SFTS等の感染リスクが高まります。皮膚科では専用器具で安全に除去できます。

Q3. マダニに噛まれたら何科を受診すればいい?
A. 皮膚科を受診してください。マダニ除去の専門的処置が可能です。
調査では正解の「皮膚科」を選択できた方は43.0%でした。皮膚科ではマダニ除去用の専用器具を備えており、口器を残さず安全に除去することができます。また、除去後の感染症予防指導や、必要に応じた抗菌薬の処方も行います。当院でもマダニ除去に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

Q4. マダニに噛まれた後、どんな症状に注意すべき?
A. 除去後2週間は、発熱・発疹・倦怠感・消化器症状に注意が必要です。
マダニが媒介する感染症の潜伏期間は1~2週間程度です。この期間中に38℃以上の発熱、全身の発疹、強い倦怠感、下痢・嘔吐などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。受診時には必ずマダニに噛まれた経緯を伝えることが重要です。調査でSFTSを知っている方は23.7%に留まっており、症状の見逃しが懸念されます。

Q5. マダニに噛まれないための予防法は?
A. 長袖・長ズボンの着用と虫除けスプレーの使用が基本的な予防策です。
調査では35.3%の方が「特に何もしていない」と回答しており、予防意識の向上が必要です。予防の基本は、肌の露出を減らすことです。長袖・長ズボン・帽子を着用し、ズボンの裾は靴下の中に入れましょう。ディート・イカリジン配合の虫除けスプレーも有効です。また、帰宅後は速やかに入浴し、耳の後ろ・脇の下・膝裏など全身をチェックしてください。
放置のリスク
・口器残存による化膿・慢性感染のリスク
・SFTS(重症熱性血小板減少症候群)感染による重篤な症状(致死率10~30%)
・日本紅斑熱やライム病など複数の感染症リスク
・感染症の発見遅延による重症化
こんな方はご相談ください|受診の目安
・マダニに噛まれていることに気づいた時点で速やかに皮膚科を受診
・マダニ除去後2週間以内に38℃以上の発熱がある場合
・全身に発疹が現れた場合
・強い倦怠感、筋肉痛、関節痛が続く場合
・下痢、嘔吐、腹痛などの消化器症状がある場合
クリニック案内
アイシークリニックの特徴
・皮膚科専門の医師が在籍、感染症リスクの適切な評価と経過観察を指導
※新宿院一般皮膚科のみでの対応となります。
・新宿・渋谷・上野・池袋・東京・大宮の6院で受診可能、アクセス良好
・土日祝日も診療、お盆シーズンの急な受診にも対応

アイシークリニック新宿院:東京都渋谷区代々木2-5-3 イマス葵ビル2階
アイシークリニック渋谷院:東京都渋谷区渋谷3-16-2 ニュー三水ビル5階
アイシークリニック上野院:東京都台東区東上野3-16-5 サンク・ユービル1F
アイシークリニック池袋院:東京都豊島区南池袋2-15-3 前田ビル9階
アイシークリニック東京院:東京都中央区日本橋3-6-2 日本橋フロント3階
アイシークリニック大宮院:埼玉県さいたま市大宮区大門町1-60 福美メディカル2階B区画

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