日本発祥の国際医療NGOである特定非営利活動法人ジャパンハート(東京都台東区、理事長:吉岡春菜)は、このたびラオスの活動拠点において、沖縄美ら海水族館(沖縄県国頭郡本部町、館長:佐藤圭一)とオンラインでつなぐ遠隔授業を初めて実施しました。

ジャパンハートが拠点を置くラオスは、東南アジア唯一の内陸国であり、また「アジア最貧国の一つ」とも言われています。ヨウ素を多く含む海藻類を摂取する機会が限られることなどを背景に、ヨウ素不足に関連する甲状腺疾患が多いとされており、ジャパンハートでは同疾患の治療と現地病院への技術移転に注力するほか、2024年より小児がん治療の技術移転プロジェクトも開始しています。


参加したきょうだい児たち
そしてこのたび初開催したイベントには、ジャパンハートがプロジェクトでサポートしている小児がん患児とそのきょうだい児含む複数家族が参加しました。
患児はいずれも手術を終えており、現在は手術後の化学療法をおこなっています。 直前まで慎重に体調を見たうえで今回の参加が叶い、当日は医療者帯同のもと実施しました。




ホワイトボードに投影したジンベエザメの生中継
イベントは、沖縄美ら海水族館と、これまで開催実績のあるジャパンハート・カンボジアの拠点病院、そしてラオス拠点の同時中継方式で開催。プロジェクター投影を通じて映し出された水族館のジンベエザメなどさまざまな海の生き物を鑑賞し、水族館からのクイズに各現地通訳を介して子どもたちが参加するプログラムなども展開しました。




ラオスは、内陸国であることに加え、経済的な事情などから国外へ出る機会がない家庭は決して少なくありません。子どもにとって「海は未知の世界」と化しており、海に囲まれた島国の日本とは対照的でもあります。
そのため当日は、多様な海の生き物たちを目の当たりにし、子どもたちが釘付けになる様子やそれを微笑ましく見つめる家族の表情が見られました。

【参加者の声】小児がん患児(5歳)の母:
「この機会をいただけて、本当にうれしかったです。これまでの人生で、これほどたくさんの種類の魚を見たことがなく、うれしすぎて言葉にならないほどでした。帰宅してからも娘はずっと魚の話をして、『また見たい!』と言っていました。このような機会をくれた皆さんに、心から感謝しています」

治療後も含め長期に及び病気と向き合い続ける子どもや家族、またさまざまな影響が伴うと言われるきょうだい児にとって、新しい体験や家族で外出を楽しむ機会は限られます。そのなかで、今回のような特別な体験や家族との時間は、その日を楽しみに過ごしたり、その後も続く治療等に励む糧となり得ます。
ジャパンハートではこれからも、このような取組みも「大切な医療のひとつ」と考え、治療に留まらない医療支援を行っていきます。

沖縄美ら海水族館およびジャパンハート・ラオス事業部のコメントは以下の通りです。

【(一財)沖縄美ら島財団 魚類課教育普及係 横山季代子氏 コメント】
沖縄美ら海水族館では、2020年からライブ配信による「遠隔授業」を実施し、入院中の子どもたちや特別支援学校の児童・生徒など、来館が難しい方々へ学びと交流の機会を届けてきました。
今回、ジャパンハートの皆さまとの連携により、初めてラオスの子どもたちと交流し、多くの笑顔に触れることができました。病院で懸命に治療に励む子どもたちとそのご家族に、美ら海のすばらしさを身近に感じていただけることは、リアルタイムでの配信ならではの大きな意義を感じます。

当日の子どもたちの笑顔、真剣にクイズへ参加する姿はとても印象的で、教育施設としての水族館の意義を実感しました。私たちは、今後も遠隔授業を通して、一人でも多くの子どもたちへ良質な学びと希望を届けられるよう取り組んでまいります。


【(特非)ジャパンハート ラオスオフィスマネージャー 里見春佳 コメント】
ジャパンハート・ラオスの小児がんプロジェクトでは、最近、支援できる小児がん患者さんが少しずつ増えてきました。
小児がんの治療は、手術だけで終わるものではなく、その後も抗がん剤治療など長い治療期間が続きます。私たちは、子どもたちやそのご家族が少しでも前向きな気持ちで治療に向き合えるよう、医療面だけでなく療養中の体験も大切にしたいと考えています。
ジャパンハートでは2023年より、カンボジアの病院で沖縄美ら海水族館による遠隔授業を実施してきました。その取り組みをラオスでも実現し、長い治療生活の中で少しでも楽しい時間や、新しい世界に触れる機会を届けたいという思いから、今回の開催に至りました。患者さんの心に残ってくれたことをうれしく思います。
これからも、一人でも多くの子どもたちに、治療とともに心に残る良い療養体験を届けられるよう努めてまいります。
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