藝大出身8人が渋谷WWWで示した“非言語のコミュニケーション”

 株式会社baton(東京都品川区、代表取締役 衣川洋佑)が運営するアート系クリエイター集団「アートゥーン!」は、2026年8月27日(木)、東京・渋谷WWWにて初の音楽ライブ「Artoone!Live2026」を開催いたしました。



◼︎「Artoone!Live2026」 オフィシャルライブレポート
 2026年8月27日(木)、東京・渋谷WWWにて、東京藝術大学出身のクリエイター集団「アートゥーン!」による初の音楽ライブ『Artoone!Live2026』が開催された。「芸術をもっと身近に」をコンセプトに、YouTubeを中心に美術と音楽のコンテンツを発信してきた8人が、初めて客席と同じ空間に立った一夜をレポートする。

開演前--スペイン坂に伸びた列、すでにあたたまっていた客席

 スペイン坂を上ってすぐの会場前には、開場前から整理番号を待つ列が伸びていた。18時30分の時点でフロアはすでに満員。

 18時45分、開演を前に美術組メンバー・真田が登場し、「諸注意と軽い前説を」と場を和ませる。「場をあたためてこいと言われて出てきたのに、もうあたたまっていて安心しました」--登場した時点ですでに歓声が上がっており、「盛り上がってください!」の一声にフロアからしっかりと声が返る。まさかこれが初ライブとは思えない立ち上がりだった。

オペラから重低音へ。冒頭3曲で示された振れ幅

 オープニングの高揚をそのまま引き取るかたちで、矢野によるピアノソロが場を受け継ぐ。続いて桶家が歌い上げたのはオペラ『道化師』より「衣装をつけろ」。1曲目から圧倒的なテノールが飛び、声量だけで会場の空気が変わる。藝大声楽科出身が放つライブハウスでのオペラに、「ただのロックライブではない」と聴く者が一気に引き込まれたのを感じた。

 その余韻を断ち切るように、重低音の効いた代表曲「らりこっぱい」へ。生楽器とエレクトロのバランスが心地良い。続く「PonPonPainPain」は、後のMCで「バンドアレンジになってたんだけど、気づいた?」と触れられたとおり、音源とは異なる質感で鳴っている。さらに、背後のアートワークを映すモニター演出も効果的に機能していた。これらは池田と美術組・林の作品。アートゥーン!の「芸術」という幅ならではの、音楽だけではなく視覚で楽しませるライブだ。「いきなり新曲を」と断ってからの3曲目「PI・PO・PA」では、マイクが割れるほどの声量と声楽仕込みの発声が全開に。SEの差し込み方も含め、序盤から音響設計の精度が高い。



「1対400ではなく、1対1が400」--MCで語られた表現論

 最初のMCは、1曲目の入りをしくじったメンバーいじりから会場が沸く。そのうえで語られたのが、この日のライブの核だった。「僕たちは表現者。何かを伝えるとき、言葉やボディランゲージだけでは足りない」「非言語のコミュニケーションが音楽。今日いるお客さんと、1対400じゃなくて、1対1を400個やるコミュニケーションをしたい。応えてくれ」――。音楽を深く理解する者たちと、それに呼応するようにこの場に集まった者たちの高鳴りを感じる桶家のMCだった。

音楽組・桶家

バラード3曲と、幕間映像が担った“呼吸”

 MC明けすぐに投下された「リンドウ」は、鍵盤の技量がはっきり出るアレンジが効いている。矢野のピアノソロ「Blue Sapphire」は、確かなタッチで紡がれるアルペジオが美しく響く。実はこの楽曲、去年の藝祭(東京藝術大学の文化祭)のアートゥーン!ブースで限定販売されたカセットテープに収録された1曲。レアな演目にコアなファンからは感嘆の悲鳴が出る。「北風と太陽」はスローながら間延びせず、音の密度が高い。曲中でめまぐるしく転調を繰り返す難曲を、桶家が危なげなく歌い上げていた。

音楽組・矢野

 幕間映像ではメンバートークを収録。桶家が真田の色づかいを褒め、「トークテーマを考えよう」と言いながら梅干しとごはんの話で終わる--他にもあったが、それぞれがライブの緊張をほどく、YouTube発グループらしい“間”の取り方だ。

 続くMCは美術組の真田・林・八木・小松崎が登場。音楽組のライブではあるが、美術組もこのライブに大きく貢献している。林がオープニングムービーを制作したこと、衣装を真田と林が塗ったこと、小松崎がロゴを作成しグッズ化していること……などなど。今回特筆すべきは、サウンド全般と映像を一手に引き受ける池田。もともとサウンドエンジニアとして活動する池田が、この日のサウンドと映像を一手に引き受ける。紹介された瞬間、客席からはひときわ大きな拍手が起こった。 制作の裏側がそのまま語られる、8人が同じチームで動いているアートゥーン!ならではのMCだった。

美術組を交えたMC

美術組からバトンを受けて。後半戦へ

 美術組が渡したよいバトンを受けて始まった「カラスミの墓」は、複雑な響きで立ち上がるイントロから圧巻の歌い出し。変拍子も織り込まれた難曲を、真正面から鳴らし切る。続くおばんのドラムソロは、生ドラムとデジタルをしなやかに融合させた構成。自然発生的にコール&レスポンスへ転がっていったのは、本人たちにとっても想定外だったという。

 一転してポップな「黒衣」ではファルセットでも音程が揺れず、ボーカルの安定感があらためて際立った。

音楽組・おばん

カバーとアンコール--技量が一斉に開いた終盤

 YouTubeでの「アートゥーン!版MV」も話題をさらったサカナクション「怪獣」のアートゥーン!アレンジは、原曲へのリスペクトを織り込みつつ独自の解釈へ。転調をたっぷり盛り込んだアレンジで、間奏では桶家のダンスも飛び出した。低音の強いクールな「Still Cold」、オリジナル楽曲2作目となる「馬鹿と薬」ではおばんのラップソロも披露される。



 アンコールは椎名林檎「長く短い祭」。鍵盤が効いたアートゥーン!アレンジで、ソロ回しを挟みながらそれぞれの技量を一斉に提示していく。桶家の声量--というよりパワーが最後まで一切落ちなかったのは特筆に値する。会場は沸きに沸き、初ライブは幕を下ろした。

「芸術をもっと身近に」が、客席に立ちあらわれた夜

 全体を通して印象的だったのは、客席がライブ慣れした層だけで構成されていなかったことだ。曲を重ねるごとにノリが良くなっていく感覚があり、夏休みの子ども連れ(おそらく小学校低学年もいたと思う)から50代とおぼしき層まで、幅広い世代が同じフロアで同じ曲を聴き、身体を揺らしていた。

 動画の再生ボタンを押すのと同じ気軽さで、はじめてライブハウスの門をくぐった人もいただろう。その一人ひとりが音楽や芸術に触れるきっかけを持ち帰ってくれたなら、アートゥーン!メンバーにとってこれ以上に嬉しいことはない。「芸術をもっと身近に」というコンセプトが、YouTubeの画面の外側で最初のかたちになった一夜となった。



(取材・文/山口真央)

■SETLIST/Artoone!Live2026(2026年8月27日 渋谷WWW)
OP M0.ピアノソロ(矢野)
M0. 道化師(桶家・矢野)
M1. らりこっぱい
M2. PonPonPainPain
M3. PI・PO・PA
M4. リンドウ
M5. Blue Sapphire(矢野/ピアノ)
M6. 北風と太陽
M7. カラスミの墓
M7.5. ドラムソロ(おばん)
M8. 黒衣
M9. 怪獣 ※カバー
M10. Still Cold
M11. 馬鹿と薬
M12. (anc.)長く短い祭 ※カバー

■公演概要
公演名:Artoone!Live2026
日時:2026年8月27日(木)開場17:30/開演19:00
会場:WWW(東京都渋谷区宇田川町13-17 ライズビルB1F)
出演:アートゥーン!
チケット:5,500円(税込・スタンディング/別途ドリンク代)
主催:アートゥーン!とは
「芸術をもっと身近に」をコンセプトに掲げる、東京藝術大学出身のクリエイター集団。美術と音楽を軸に、芸術の楽しさや奥深さを体感できるエンタメコンテンツを発信している。2024年8月よりYouTube( https://www.youtube.com/@ArtooneCH )チャンネルを開設し、現在はチャンネル登録者数20万人を突破。(2026年8月時点)



株式会社batonとは
 株式会社batonは、ビジョンである「遊ぶように学ぶ世界」を実現するために、遊びと学びをつなげる各種サービスの運営やコンテンツの制作を行っています。 エンターテインメントと教育をかけあわせたサービスを通して、自分の可能性をひらくきっかけを提供します。

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株式会社baton 広報チーム
Email:qk_media@baton8.com


■会社概要
社名:株式会社baton
設立:2013年10月
代表取締役:衣川洋佑
コーポレートサイト:https://baton8.com/


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