中国の民俗音楽に根ざした8分間の新曲で、別れのあとに残る記憶をたどる




上海出身のシンガー・ソングライター、Yifei Zhou (周逸斐)を中心とするプロジェクト、MIO-ERAが、9月23日、新曲「魚 (Fish)」をEryngiiよりリリースした。あわせて、セルフタイトルのデビュー・アルバム『MIO-ERA』を11月6日にBandcamp限定でリリースすることを発表した。

「魚 (Fish)」は、アルバムからの第2弾先行シングルであり、Eryngiiからは初のリリースとなる。中国の民俗音楽の影響を色濃く受け、メロディを中心に据えた8分間の楽曲だ。中国の音楽とともに育ち、西洋音楽を長く学んできたZhouが、本作では自身の表現を支え続けてきたルーツに焦点を当てている。

楽曲が生まれたのは、2024年の失恋のあと。Zhouは初めてアコースティック・ギターを買い、毎晩、眠りにつくまで弾いていた。人に話せずにいた思いが、歌になっていった。

歌は、「魚の記憶は7秒しか続かない」というイメージから始まる。魚の体に自分の記憶を書きつけ、次の瞬間には跡形もなく消えてほしいと願う。けれど、過去は戻ってくる。歌詞のなかでは、春の記憶がふたたび彼女の額に口づける。

Yifei Zhou コメント (日本語訳)
「自分の気持ちをほとんど話せなくなることがあって、そうした感情が、曲を書くなかでにじみ出ていました。つらい記憶から前に進みたいと思う一方で、孤独も、心が癒えていく過程は決して一直線ではないことも、受け入れたかったんです。行ったり来たりするものだし、過去の記憶も、最初に押し寄せてきたときとは感じ方が違うんです。」

録音前には、バンドで何度も演奏しながらアレンジを重ねてきた。それぞれのアレンジには、その時々の彼女自身が表れているという。レコーディングではZhouがボーカル、アコースティック/エレクトリック・ギター、ピアノを担当し、Aidan Devineがベースとコーラス、Dom Vanceがドラムで参加している。

デビュー・アルバム『MIO-ERA』について





全10曲からなる『MIO-ERA』は、20代のZhouが自分の音楽やアイデンティティを模索した時期を記録したコンセプト・アルバムだ。中国語と英語を行き来しながら、失恋、愛、孤独、そして成長を描く。各曲はそれぞれ独立しながらも、組曲のようにつながり、アルバム全体でひとつの物語を形づくる。

Zhouにとって本作は、自分が大きく成長した時期に区切りをつけるとともに、これまで存在さえ認められなかった感情に居場所を与える作品でもある。

MIO-ERA プロフィール
2024年、上海出身のYifei Zhouが始動させたプロジェクト。コア・メンバーはZhou, Aidan Devine、Dom Vanceの3人。ボストンのニューイングランド音楽院とバークリー音楽大学で学んでいた時期に、音楽を通じて関係を深めた。Zhouは楽曲制作に加え、スタイリングや振付、グラフィック・デザインも手がける。

MIO-ERAの出発点には、アニメやインターネット・カルチャー、フォークに影響を受けたソングライティングなど、自分の好きなものを自由に音楽へ取り入れたいという思いがある。ジャズを中心とする学びの場では、そうした関心を真剣に受け止めてもらえず、場違いなものとして退けられてきた。プロジェクト名は、幼い頃から影響を受けてきた日本のアイドル文化、とりわけPASSPO☆の増井みおに由来する。青葉市子、坂本龍一、エイドリアン・レンカー、ペドロ・マルチンスも、影響を受けたアーティストに挙げている。

ZhouはMIO-ERAを、アジアの女性に従順さを求める文化的な規範への抵抗とも位置づけている。周囲の期待に沿わないことで疎外感を抱くとき、自分の歌は、支えになってくれる「友人」のような存在だという。アルバムに寄せた文章には、次のような一節がある。

「それでも、静かな抵抗はある。沈黙を求められたときに歌うこと。消えてしまうほうが楽なときにも、そこにとどまること。そして、もう立つ場所さえ残されていなくても、なお踏みとどまり続けること。」 - Yifei Zhou、アルバムに寄せた文章より (日本語訳)


リリース情報



MIO-ERA「魚 (Fish)」
2026年9月23日 (水) 配信リリース
レーベル: Eryngii
※BandcampのEryngii Club会員向け先行公開を経てリリース。

MIO-ERA『MIO-ERA』
2026年11月6日 (金)
Bandcamp 限定リリース
全10曲収録

試聴リンク: https://eryngii.art/fishpr
Bandcamp: https://eryngii.art/fishpr/bandcamp
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