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 9月28日から2026年後期連続テレビ小説「ブラッサム」が、NHKで放送開始となる。主人公は、明治、大正、昭和を駆け抜け、自由を求め続けた作家・宇野千代をモデルにした葉野珠。彼女が苦難の中でも「幸せのかけら」を見つけ、常に前に進むことで人々の背中を押し続けた生涯を描く。主人公・珠を演じるのは、連続テレビ小説「半分、青い」(18)や大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22)でも活躍した石橋静河。放送開始を前に、連続テレビ小説主演の舞台裏や作品に込めた思いを語ってくれた。


-まもなく放送開始を迎えますが、石橋さんの演じる主人公・葉野珠について教えてください。既に撮影開始から半年ほどたっているそうですが、演じる中でどんな手応えを感じていますか。


 珠は好奇心が旺盛で、「こうしたい」と思うと、次の瞬間には行動に移しているような行動力のある女性です。女性に自由がなかった時代にそんなふうに行動できたたくましさから、私自身も勇気をもらっています。序盤の学生時代は、自分が何をしたいのかわからずにいる珠の中に、徐々に「自分はこうしたい」という思いが湧きあがってくる姿が描かれます。そこは、珠が何者かになる瞬間に立ち会っているような感覚があり、演じていて楽しかったです。それを繰り返しながら、珠がどんどん強くなっていくのと同時に、私自身の楽しさもさらに増しています。


-珠のモデルになった宇野千代さんのどんな点に魅力を感じていますか。


 宇野千代さんは、知れば知るほど、語り尽くせない魅力にあふれた方だと感じています。数々のエッセイや小説などの著作に加え、洋装や和装など、さまざまな姿のお写真まで、数多くの資料が残されていますが、どれも生き生きとしてすてきで、時代を超えたお友達ができたような気持ちです。しかも千代さんは、数々のポジティブな言葉を残していますが、それが生み出された瞬間は、実はどん底にいるときや世間から厳しい目を向けられている時期だったりするんです。でも、そういうときにこそ、明るさを持って生きることが、千代さんのすてきなところです。


-そうでしたか。


 私自身、これまで撮影をしてきた中で、日々いろいろな感情を表現しなければいけないので、苦しいときは本当に苦しい気持ちになります。でも、千代さんはそういうときも「ご気分いかがですか?」と聞かれると、常に「最高です!」と答えていたそうなんです。それは、骨折をして入院しているときも変わらなかったのだとか。私も真似してみましたが、調子がいいときはできても、疲れているときや落ち込んでいるときはやっぱり難しい。改めて千代さんのすごさを思い知ると共に、「最高です!」という言葉の深さを思い知りました。


-演じるに当たって、宇野千代さんについて調べたことはありますか。


 宇野千代さんの数多くのエッセイや小説などを読みました。また、撮影が始まる前に友人と岩国を訪れ、生家にもお邪魔しました。そこではとてもすてきな展示がされていて、ボランティアガイドの方も「ここに千代さんが座っていたのよ」「ここがお父さんの部屋だったのよ」と、熱量高く、親切に教えてくださいました。そんなガイドの方も魅力的で、「皆さんが宇野千代さんなのかな?」と思うくらい、生き生きとしていたことが印象に残っています。


-珠の継母・葉野リョウを演じるのは、連続テレビ小説主演の先輩である国仲涼子さんですね。


 国仲さんは、常に柔らかく「元気? 大丈夫?」と私を気遣い、寄り添ってくださいます。国仲さん演じるリョウも、優しく珠を包み込んでくれるので、そのままの印象です。同時に、当時の女性の強さも感じさせてくださっています。


-劇中では、渡部篤郎さん演じる珠の父・清治が強烈な存在感を放っています。珠と清治の関係も物語の重要なカギになりそうですが、2人の関係をどのように捉えていますか。


 実際のお父様は、宇野千代さんが「ドストエフスキーの小説に出てくる狂人のようだった」と書かれているほど、強烈な方だったそうです。ただ、珠から見た清治は厳しく、怖い存在でありながら、どこか孤独や哀しさがにじんでいるんです。そんな父の後ろ姿を見て、珠は「もっとお父さんを知りたい、理解したい」と考えるようになります。脚本を読み、清治は非常に難しい役だと思いましたが、演じられる渡部さんの目が、とても優しいんです。そんな渡部さんとご一緒して、「怖い」と拒絶するだけでなく、「もっと知りたい」という珠の気持ちは、すごく理解できました。


-ここまで撮影を続けてきた中で感じるやりがいやご苦労があれば教えてください。


 最初は撮影量の多さに圧倒され、今まで連続テレビ小説の主演を務めてきた方々は皆さん、これを1年近く続けてきたのかと、そのすごさを思い知りました。ひとつのシーンが終わると、すぐに気持ちを切り替えて次のシーン…と、次々に撮影を進めていくのはこの作品ならではです。そこからさまざまなことを学びながら、自分が日々たくましくなっていることを実感しています。


-石橋さんは「半分、青い」に続いて二度目の連続テレビ小説への出演となりますね。お気持ちにどんな違いがありますか。


 「半分、青い」に出演させていただいたときは、まだテレビドラマの撮影に慣れていなかったこともあり、撮影についていくのに必死で、あっという間だった記憶があります。今回、私は最初から最後まで現場にいますが、途中から参加されるキャストさんは、現場の空気もでき上がっているので緊張されると思うんです。だから、新しく参加される方がなるべくリラックスして撮影に挑めるような空気にすることを心掛けています。


-それでは最後に、珠を通じて視聴者の皆さんに伝えたい思いがあればお聞かせください。


 宇野千代さんは、女性が自分の人生を選ぶことが難しかった時代に、「私はこれがしたい」と、好きなことを選び続けてきました。そこは、とても尊敬できる部分です。そんな千代さんの強さを、珠を通して伝えていきたいですし、その姿をご覧になった皆さんに「私も勇気を持って一歩前進してみようかな」と思っていただけたらうれしいです。


(取材・文/井上健一)

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