
東京書籍株式会社から2026年3月に発売されました『アズキの起源』が、大変ご好評につき待望の重版出来となりました。
解説
作物の起源について、考えたことはあるだろうか。日本にある作物のほとんどは、海外に起源を持ち、人々の移動とともに伝わってきたものである。日本起源の作物といえば、ヒエやワサビな
ど、ごく一部に限られると考えられており、アズキもまた、イネやムギと同様に大陸が起源である
とされてきた。
ところが、アジアに存在する、たくさんのアズキのゲノムを読み解いてみると、意外な事実が浮かび上がる。アズキの栽培は、縄文時代の日本が始まりであることがわかったのだ。
この「アズキ縄文起源説」に至る物語は、筆者が採用面接に落ちるところから始まる。婚約者の
いる京都でのポストを逃し、滑り止めで受かったつくばの職場で出会ったのは、同じ種でありながら、葉っぱの形やツルの伸び方がそれぞれに異なる、多様な「アズキの仲間たち」だった。
科学で定説を覆す、植物学ノンフィクション。「ゲノムを読むとはどういうことか」「ゲノムを読
むと何がわかるのか」を丁寧に解説しながら、赤いアズキの起源に迫る。(編集部より)

contents

内藤健氏
受賞のコメント 日本から大陸に広がった作物があったなんて、しかもそれがアズキだったなんて、そして何よりそれを自分が発見しちゃうなんて、想像もしてませんでしたよ。そもそも、そういう研究がしたいと思って研究の世界に飛び込んだわけでもなかったわけですし。世界中のアズキを集めまくった大先輩がいる研究所に拾われたこと、ゲノム解読技術の革命が起きた頃に研究を始められたこと、ゲノム解析のスペシャリストと手を組めたこと、また考古学者が縄文時代のアズキ利用に関する証拠を積上げてくれていたことなど、色んな前提条件が揃ったことで達成された成果です。さらにその成果が本になったのは、東京書籍の編集部に私が書く文章の大ファンがいてくれたおかげです。「何度読んでも感動します」なんて言われながら調子に乗って書いたのですが、それがまた講談社科学出版賞に選ばれるとは。驚きを通り越してポカンとしてしまいました。でも日本の歴史を書き換えるような話なので、多くの方に読んで欲しいです。本屋でも図書館でも知人宅の本棚でも、見かけたら手にとってみてください。どうか、前書きだけでも!
著者情報
内藤 健(ないとう けん)1978年滋賀県出身。農研機構遺伝資源研究センター上級研究員。京都大学大学院農学研究科修了、博士(農学)。アズキの先物取引で全財産を失うという歴史ある家系に生まれる。しかしその事実を知らないままアズキの研究者になっており、運命の悪戯を最近知る。波打ち際や石灰岩の上など、辺鄙な環境に生えている野生アズキの研究が専門だが、本書のテーマをはじめ、多くの研究に巻き込まれている。東京大学大学院の客員教授として教育にも従事。講義は面白いはずだが履修者が少なくてちょっと寂しい。共著に『ゲノムでたどる古代の日本列島』(東京書籍)、『植物の超階層生物学』(文一総合出版)などがある。
日本人にとって、アズキは赤飯やあんパンやぜんざいなど、毎日ではなくとも普通に食べる食材だ。だが、少なくとも私はアズキの研究論文を読んだことがなかったし、学会でもアズキの研究発表を聞いたことがなかった。実際のところどれくらい研究されてるんだろうと思って論文検索データベースでアズキを検索したら、ヒットした論文数、91。えっ、少なくない!?と思い、同じマメ科でも最も重要な作物であるダイズの論文を検索してみると、その数1万8千である。さすがダイズさん、油を搾るために世界中で栽培されているだけのことはある。搾りかすは家畜の餌にしてもいいし、醤油の原料として売ることさえできる。アジアで最も重要な作物であるイネの研究論文はそれ以上で、2万2千だった。
――「まえがき」より抜粋

第1章 アズキ研究前夜

第2章 地図を作れ アズキゲノムという名の地図を

第3章 アズキの歴史と我が家の歴史

第4章 アズキの起源は日本以外ない
コンテンツ
第1章 アズキ研究前夜第2章 地図を作れ アズキゲノムという名の地図を
第3章 アズキの歴史と我が家の歴史
第4章 アズキの起源は日本以外ない
第5章 遺伝学と考古学が完全に一致
第6章 中国起源説を覆せ
<概要>
『アズキの起源』
■内藤 健/著
■定価2,090円(本体1,900円+税10%)
■四六判・224頁
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/product/books/81888/
東京書籍株式会社
東京書籍は1909(明治42)年創業。「教育と文化を通じて人づくり」を企業理念とし、新しい時代に挑戦する個性的、創造的な人材の育成を目指しています。小・中・高等学校の教科書発行部数が最多の教科書業界最大手の出版社です。近年、デジタル教科書など教育用デジタルコンテンツの開発・販売にも注力しています。その他、教育総合ポータルサイト運営、学力・体力テストなどの各種評価事業、一般書籍の発行など教育と文化に係る幅広い事業活動を行っています。
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