入江九一役の要潤

 NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、吉田松陰(伊勢谷友介)の主宰する松下村塾に学びながら、貧しい下級武士の一家を支えた入江九一を演じている要潤。ラブロマンスからSFまで幅広い役柄で活躍する要が、松下村塾の四天王の一人に数えられた入江を語る。

 

-入江役と聞いて、どう感じましたか。

 入江の書物を読んだり、京都にあるお墓に参ったりしました。キャラクターは史実と台本では違ってくるものなので、台本を読んで役作りをしました。

-入江はどんな存在だと考えていますか。

 口数の少ない男で、率先して前に出るよりも一歩引いている感じです。みんなの輪の中に入ってはいるが、静かなたたずまい。左手を隠すしぐさでその感じを表現してみました。現代で言うと、ポケットに手を入れて斜に構えているような感じですね。決して表には出ないんですが、裏で人を動かしていて、みんなもひそかに悩みを相談したりする、みんなの心の支えみたいな存在になればいいかなと思っています。

-入江の生き方についてどう思いますか。

 入江も塾生も純粋で、一歩踏み出せば何かが変わると本気で信じている姿は勉強になるし、見習いたいなと思います。調べてみると、入江は決して裏切らなかったし、意見を変えることもなかった。責任感が強くて家族思いだった。僕もそうありたいと思える人です。

-今回は、撮影現場に若い俳優が大勢いますね。

 僕も結構アダルトチームに入っているので(笑)、やっぱりみんなを盛り上げていきたいなという責任感があって、待ち時間などに佐藤隆太さんらと一緒に若い人たちに話をしています。僕たち塾生は松陰先生がいないとかじ取りがいなくてどこに行っていいのか分からないような集団なので、そこは変えていこう、自分たちでも考えて行動しようというようなことを話しています。

-文を演じる井上真央さんはいかがですか。

 松陰の分身というよりは、縁の下の力持ちみたいな印象です。決して道しるべではないんですが、僕たちが踏み荒らした道をきれいに整えてくれる。前にはいないけど後ろには絶対いるみたいな存在ですね。

-弟役の大野拓朗さんの印象は?

 非常に思慮深い方ですね。性格は弟キャラで、人懐っこいです。

-「龍馬伝」以来5年ぶりの大河ドラマですね。

 全然違う作品なので、まっさらな気持ちで撮影現場に来ました。現場には「龍馬伝」の時のスタッフが何人かいましたし、懐かしさも感じながらやっています。

-土佐藩士から長州藩士に変わりましたが。方言には苦労しましたか。

 土佐弁は私の出身の香川の隣なので、違和感なく話せました。長州弁は標準語に近いと感じるところも多いので、苦労しているということはないです。

-入江の人生を通して伝えたいことは?

 「全うする」ということじゃないですか。大きなことを成し遂げようとする心意気は、時代は変わっても現代にも伝わるものではないかと思います。