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1993年。かつて共に天才格闘家として名をはせたリュウとケンは兄弟のような存在だったが、ある理由から疎遠になっていた。そんな彼らの前に謎の女性格闘家・春麗が現れ、「ワールド・ウォリアートーナメント(世界格闘王決定戦)」の招待状を差し出す。87年に日本でアーケードゲームとして誕生し、対戦格闘ゲームというジャンルを確立したカプコンの名作シリーズをハリウッドで実写映画化した『ストリートファイター/ザ・ムービー』が、10月16日(金)から全国公開される。本作のキタオ・サクライ監督に話を聞いた。
-今回、監督をすることになった経緯からお願いします。
まずは、私が日本にルーツを持っていて、日本の文化、特に一緒に育ったアニメや漫画といったポップカルチャーに精通していたことがあります。あとは、私は子役としてキャリアをスタートし、クラシック音楽の演奏をし、ミュージックビデオやテレビのコメディーシリーズ、ゲームのテレビ版など、いろいろなことを手掛けてきました。今回の製作会社であるレジェンダリーが、「ストリートファイター」を改めて実写映画化するという企画を立ち上げ、監督を見付けるに当たって、そうした面白いキャリアを持った監督ということでお呼びがかかりました。「ストリートファイター」には、独特のトーンがあって、それをうまく出せるのではないかということで、お声掛けいただいたのだと思います。
-人気ゲームを今回新たに映画化した意図と、時代を1993年に設定した理由を伺います。
なぜ今改めて映画化したのか、詳しい経緯は分かりませんが、レジェンダリーとゲーム製作会社のカプコンが、2、3年前に映画化の契約を交わして、そこからいろいろと準備を重ねてきたので、ちょうど今ぐらいのタイミングになったのだと思います。93年という時代設定に関しては、ストーリーも含めて、いわゆる「ストリートファイター2」、通称“ストツー”をベースにしていますが、最初から、あれこれ手を加えてひねって映画化するよりも、もうストツーのゲームをそっくりそのままスクリーンに展開させるという方向性でした。ですから、本当に様相も、音楽も、コメディーセンスも、90年代のストツーの雰囲気がそのまま展開していきます。例えば、キャラクターに関しても、ガイルはユニークなヘアスタイルが特徴で、ある意味大げさでかなりクレイジーな感じですが、あれをそのままやったら面白いんじゃないかと。90年代初期特有の、何か楽しい感じ、楽観的でちょっとクレイジーな感じです。もし、この映画の時代設定が現在だとしたら、現実世界との違和感が出てしまったと思います。なので、あえて90年代に設定を戻した上で、90年代の楽しさを感じさせる。90年代に作られた映画のようなことがしたかったんです。リュウが、あの格好でスマホをいじったりしていたら、ちょっと嫌じゃないですか(笑)。
-人気ゲームを映画化するプレッシャーは? 映画化に際して、気を付けたことや心掛けたことはありましたか。
もちろんプレッシャーはありました。正統な撮り方としては、きちんとシリアスに向き合って、原作というか元ネタを、すごくリアルなアクションや現実に根ざしたストーリーで映画化するのが王道でしょう。ただ、対戦格闘ゲームというジャンルを確立した作品で、これだけ人気のあるものを映画化するには、ある意味、羽目をはずす勇気も必要なのではないかと、割り切った部分がありました。なので、先ほども言ったような、かなりクレイジーで楽しい雰囲気を生かすには、そして原作ゲームのファンをがっかりさせないためには、自分が「ストリートファイター」に夢中になってプレーしていた、子どもの頃の高揚感を生かしたいというのと、当時の自分が今映画化を任されたら、こういう映画を作るだろうみたいな割り切り方で、かなりプレッシャーを緩和した部分はありました。
-日本生まれの監督が、日本の人気ゲームを映画化する意味と、監督のお気に入りのキャラクターは。
先ほども言ったように、アニメや漫画に非常に精通していて、そういうものにどっぷりはまっていた身としては、リュウの波動拳とか、本当に漫画の一コマから飛び出てきたような様式美と言いますか、ああいうスタイルがすごくかっこいいと思います。自分がプレーするに当たっては、手が伸びるダルシムがお気に入りで、すごく好きでした。ただ、ひとつお断りしておきたいのは、私も散々ゲームで遊びましたけど、「ストリートファイター」はかなり下手でした(笑)。あとは、これだけ世界中の皆が知っている、ある意味、『オデュッセイア』じゃないですけど、ギリシャ神話にも通じるような、皆無意識に名前は知っているという、そうしたレベルで周知されている、こうしたIP(知的財産)を、自分の背景も含めて映画化できたのは、とても素晴らしい意義があったのではないかと思います。
(取材・文・/田中雄二)
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