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 犯罪と腐敗がはびこるゴッサム・シティ。新進ハリウッドスターのマット・ヘーゲンは事故で美しい顔を失う。再起への執念から禁断の治療に手を出した彼は、元の顔を取り戻すが、その副作用で体に恐ろしい異変が起こり、心身ともに狂気にむしばまれていく。DCコミックスの「バットマン」シリーズに登場するヴィランの誕生を描いた心理スリラー『クレイフェイス』が10月30日から全国公開される。本作のアンバサダーを務め、ジェームズ・ワトキンス監督やキャスト陣にインタビューもした、俳優のUTAに話を聞いた。


-完成作を見た印象から伺います。


 久しぶりに映画館で心が落ち着かなくて、激しく揺さぶられるような作品を見ました。映画館でしか味わえない緊張感と怖さが、完成された物語の中に現れていると思いました。


-マット・ヘーゲン=クレイフェイスを演じたトム・リス・ハリスの印象はいかがでしたか。


 とにかく演技力がすごかったです。もちろん、怪物であるクレイフェイスの話なのですが、ヒューマンドラマ的な要素もたくさんあったので、その絶妙なバランスと観客に共感させる力。これは彼にしか表現できないと思いました。先ほどジェームズ・ワトキンス監督とお話ししたのですが、「いろいろな俳優のオーディションをしたけど、トムが一番だった。クレイフェイスの中にある、人間的な感情や、観客の心をつかむ演技がずば抜けていたので、彼に決めた」とおっしゃっていました。


-トムとはどんな話をしましたか。


 予告編だけを見ると、怪物のホラーストーリーという印象になると思いますが、本編を見ると、ヒューマンドラマの要素が非常に強い映画になっていると感じたので、そのバランスをどう演じ分けたのかを聞きました。トムは「マット・ヘーゲンが、新たなスターとして認められ、やっと自分の時代が来たという喜びを感じた部分をできるだけ大事に演じた。それによって、自分を裏切った人たちへの復讐(ふくしゅう)心が、より強く伝わるのではないかと思った」と話してくれました。


-他にはどんな話をしましたか。


 「日本の俳優のUTAです」と言ったら、ナオミ(・アッキー)さんから「どんな作品が見られるの?」と聞かれたので、「『ガス人間』という作品があって、内容も『クレイフェイス』と似ている」と答えたら、「絶対に見る」と。トムは「僕は粘土みたいな泥になるキャラクターを演じたけど、ガス人間がスモーク(煙)のキャラクターなら、あとは火になれるキャラクターと水に変身できるキャラクターがいればいい。この4人で『アベンジャース』みたいな映画を作ろうよ」と言ってくれました。


-DC映画全体の魅力については、どう感じていますか。


 映像の質がすごく高いと思います。それに、DC作品はどちらかと言えば割とダークなトーンで、基本的には少し重い世界観ですが、そこが結構好きです。また、DCユニバースには、キャラクターの厚みがあって、スーパーマン、バットマン、スーパーガールと、そのキャラクターに沿った作品の独立性がすごく強いという印象があります。クリエーターによって世界観や個性が作品に現れていると思うので、そこがDCユニバースならではの特性で、自由自在にいろいろなキャラクターを見せられるところが強みだと思います。その意味では、本作は新しい感覚で見ることができます。サイコロジカルスリラーみたいなところがあって、人間的なホラーに近いのかなと思いました。クレイフェイスをヴィランだと思う人もいれば、ヒーローに見える人もいるかもしれません。でもそれが、この作品の良さというか、映画を見た後でいろんな感情が浮かぶと思います。

-マットに共感する部分はありましたか。


 いろいろな努力が報われて、やっと俳優としての成功にたどり着いた。それが、突然失われる。この業界ならではの残酷さが結構リアルに描かれていると思いました。だから、今の時代において、とても重要性のある要素も入っています。その部分には共感できました。


-ガス人間を演じたことを踏まえて、本作を見た印象を。


 ヒューマンドラマの要素があるという部分では、結構似ていると思いました。この映画のマットとケイトリンとの関係は、ちょっと恋愛っぽいところもありますが、ガス人間の方には家族愛のような要素がありました。あと、自分が俳優として注目していたのは、マットの時とクレイフェイスの時とのギャップです。復讐が大きなテーマの一つだったので、復讐をする時の感情をどう表現するのかを集中して見ていました。演技面でもすごく勉強になりました。怪物のようなキャラクターを応援したくなる作品がもっと増えてもいいと思いましたし、そうしたところが本作の新鮮な部分なのかなと。


-特殊メーク、VFX、音楽などは、どんな感じでしたか。


 本当に顔を切られたように見えるシーンや、粘土みたいに肌が溶けていくシーンなど細かいところまで描かれていて、そういう映像の細かい部分も映画館の大きいスクリーンで楽しんでもらいたいです。また、CGの技術も自分が今まで見た映画の中でもトップクラスだと思うくらい高かったので、そこにも注目してほしいです。あえてハッピーな音楽を使ったりするセンスも好きでした。やっぱり音楽は作品の中でも大事なので、そこがよりホラー感を引き出していると思います。


-この映画の一番の魅力はどこにあると思いますか。


 あまりホラーが得意ではない自分でも、とても作品へ引き込まれました。どういう展開になるのかをすごく見たくなった自分がいたので、そこがこの物語の魅力だと思いました。DCユニバースの作品は、日常では触れないような、ダークな裏の世界に光を当てています。そこが皆さんが、目を引かれる要因の一つだと思います。この映画の舞台設定も、ゴッサム・シティという、まさにDCユニバースの首都と言ってもいいぐらいの所ですから、そこのダークさもありつつ、マット・ヘーゲンという俳優の、人生の明るい部分も描かれていて、そのギャップというか、落差の激しさも見どころの一つです。


-続きが見たいと思わせるラストシーンでした。今度は自分も出てみたいと思いましたか。


 もちろんこんな作品に出られたら夢のようですね。この映画を見た人は、確実に2作目が見たいと思うでしょう。だから、今後どうDCユニバースの中で確立していくか楽しみです。


-最後に、映画『クレイフェイス』アンバサダーとして、個人としてのアピールポイントをお願いします。


 俳優だから共感できるというのはあると思いますが、頑張って生きている人間の人生の中の残酷さみたいなものを間近で見られる作品だと思います。そこは誰が見ても共感できる部分があるはずです。皆さんにもぜひ映画館でこの恐怖を肌で感じてほしいです。


(取材・文・写真/田中雄二)