デッキ上をルートに沿って自動走行するモビリティ「iino」
「100年先の心豊かなくらしのための実験場」というテーマで、今年3月にグランドオープンしたTAKANAWA GATEWAY CITY(東京都港区)。新しいテクノロジーを取り入れ、ユニークなロボットが稼働し、未来型のコンビニエンスストアがある「ミライの実験所」を体験してきた。
街の中でロボットが稼働!
TAKANAWA GATEWAY CITYは、JR高輪ゲートウェイ駅の正面に、ツインタワー「THE LINKPILLAR 1(ザ リンクピラー ワン)」(NORTH棟・SOUTH棟)があり、その先、北方向に「THE LINKPILLAR 2(ザ リンクピラー ツー)」、最先端のアートやシアターが楽しめる文化の実験的ミュージアム「MoN Takanawa: The Museum of Narratives(モン タカナワ:ザ ミュージアム オブ ナラティブズ)」、高級賃貸レジデンス「TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE」といった5棟の建物がある。
敷地の南北の長さが約1.3kmと広く、すべての建物は、2階部分にある広大な歩行者専用デッキでつながっている。この街には、商業施設、ホテル、学校、オフィス、クリニック、フィットネスなどが揃っていて、生活に必要なことの多くが実現できるのだ。
この街にはさまざまなロボットが稼働している。「iino(イイノ)」は、デッキ上を決められたルートに沿って自動走行するモビリティ。3名まで乗車可能で、歩くほどの速さで街を案内する。敷地内を歩き疲れたときにも助かるものだ。
敷地内を自動走行しながら必要な場所へ移動する「ゴミ箱ロボット」(※実装に向けて実証実験中)もあるほか、自律走行型で、異常を感知すると警備員に知らせる警備ロボット「C-SParX(シースパークス)」、オフィスワーカー向けのフードデリバリーを行う自動走行配送ロボット「Servi Lift(サービリフト)」も稼働していた。
TAKANAWA GATEWAY CITYはJR東日本がまちづくりを進めていて、「THE LINKPILLAR 1」に新本社を構えるKDDIがデジタル通信技術を提供している。現段階では、日本のスマートシティの最先端を体験できる場所といえそうだ。
利便性の高い公式アプリ
この“IoT環境が整ったスマートシティ”とつながるのに役立つのが、「TAKANAWA GATEWAY CITYアプリ」だ。
「Suica(交通系IC)」と紐付けることで、高輪ゲートウェイ駅の改札を通過したタイミングをトリガーとして、イベントやおすすめの情報がアプリにタイムリーに通知される。「今、実際にこの街に来た人」に対して、適切なタイミングで情報提供できるのが特徴だ。
実際に使ってみて便利だと感じたのは、「まちマップ」機能。広い敷地内で迷わず目的地に行くのは難しい。現在地からのルート案内をしてくれたので役立った。
さらに、このアプリ内で設定することで、シティ内では安全で高速なWi-Fiを無料で利用できるのだ。「パケット代(通信量)を気にしなくていい環境」だからこそ、このアプリの魅力が発揮できるところもあるだろう。
街で働いているオフィスワーカーやレジデンス居住者向けの特典サービスもある。オフィスワーカーの場合は、アプリから飲食店にメニューを注文して、デリバリーロボットに商品を運んできてもらうことができるのだ。
単発の来訪では、アプリのインストールは手間だと感じる人も中にはいるだろうが、オフィスワーカーや居住者、頻繁に用事がある人にとっては、持っておくメリットがあるだろう。
ロボットが働く「未来型のコンビニエンスストア」
街の目玉の1つが、ローソンとKDDIが共同で展開する「Real×Tech LAWSON」1号店の「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」だ。リアルの温かみとテックの力を融合させた未来型のコンビニなのだ。
ここでは、KDDIとローソンの広報担当者に案内をしていただいた。
店内に入ると、棚や壁などいたるところに設置されたサイネージ(電子看板)が目に入った。AIカメラと連携させて、お客さまの行動に合わせておすすめ商品などが表示されるという。
同店で働くロボットは「からあげクン調理ロボ」「飲料陳列ロボ」「清掃ロボ」「配送ロボ」の4種。AIは「AIサイネージ」「よろず相談所(AIアバター)」「AI Ponta(AIポンタ)」のほか、店舗の分析などの運営にも活用されているという。
「からあげクン調理ロボ」はバックヤードのキッチンに設置されていて、「フライヤーの油温検知」「冷凍のからあげクンを油に入れてカゴを揺らす」「揚がった後の油切り」といった工程を行う。
「飲料陳列ロボ」は売り場の飲料が減った際にバックヤード側から、自動でドリンクを陳列棚に補充。「清掃ロボ」は、吸引、拭き掃除を行う。また「配送ロボ」は「TAKANAWA GATEWAY CITYアプリ」で注文された商品を、お客さまのところまで無人でデリバリーする。
すべての工程をロボットが担うのではなく、作業の一部をサポートすることで、スタッフがお客さまとのコミュニケーションを増やせるようになっているという。
ロボットが働くとなると「人工的なサービスになる」と考えがちだが、実際は逆。テクノロジーを使うことで、人間はお客さまとのコミュニケーションを大切に、「温かい接客」を目指すことができるのだ。
アバターやAIも接客サービスを担う
店内のレジは「有人」「無人(セルフレジ)」のほか、スタッフが遠隔で操作している「アバターのいるセルフレジ」もあった。声は「自宅などからリモートで勤務するオペレーター」で、実際の動きと連動して、アバターの表情に変化があったり、身振り手振りをしたりするので、"人と話している感じ"があった。
「よろず相談所(AIアバター)」は、店内に設置された専用ブース(リモート接客システム)から、暮らし、通信、金融、ヘルスケアなど生活の困りごとについて専門スタッフにビデオ通話で無料相談できるサービスだ。
まずはAIコンシェルジュ・カエデが応対した後、必要な担当者につなげてくれる。スマホの使い方が分からないときも対応してくれるようなので、高齢者にも需要がありそうだ。さらに、オンラインで専門医の診療を受け、必要に応じて処方箋の発行まで対応してもらえるので便利だ。
入口には生成AIを搭載したキャラクター「AI Ponta」がいた。3つの質問に答えると、そのワードを掛け合わせたAIラップを即興で披露してくれた。遊び心があって、面白かった。こういったAI技術が加わることによって、コンビニに買い物以外の楽しみや行く目的が生まれ、「毎日行きたくなる場所」になっていくのだろう。
高輪ゲートウェイシティでは、「人間をサポートするロボット」「街を便利に体験できるアプリ」「未来型のコンビニ」を体験でき、刺激的だった。これからのさらなる進化に期待だ。(加藤弓子)
■ローソン高輪ゲートウェイシティ店
住所:東京都港区高輪2-21-1 THE LINKPILLAR 1 North6階
営業時間:7:00~21:00
https://www.areamarker.com/lawson/info/380824







