桐谷健太 【ヘアメーク:石崎達也/スタイリング:岡井雄介】 (C)エンタメOVO
桐谷健太が主演する舞台、PARCO PRODUCE 2026「聖地X」が、11月5日から上演される。本作は、SFやホラー、怪談など“目に見えないもの”との関わりから人間の本質を描いてきた劇作家・演出家で、劇団イキウメ主宰の前川知大の代表作。2015年に初演され、2021年には映画化もされて話題を呼んだ。今回の公演では、時代の変化を反映させた台本へと改訂し、ドッペルベンガーの出現をきっかけに、「存在とは、記憶とはなにか」を問いかけるSFコメディーを上演する。桐谷にとっては、「醉いどれ天使」以来、5年ぶりの舞台出演となる本作。舞台出演への思いや本作への意気込みを聞いた。
-出演が決まり、脚本を読んだときの感想を教えてください。
オファーをいただいたときは、本当にありがたいと思いました。PARCO劇場さんに出演させていただくのは初めてですし、すごくうれしいです。読めば読むほどいろいろな面白さを発見できる脚本だからこそ、これを一回で観客の皆さんに届けたいとすごく感じました。何回も見てくださる方もいらっしゃると思いますが、そこは一回で伝えたい。不思議で、奇妙でちょっと怖い世界観もある中に、日常的な会話のおかしさがあったり、その向こう側に人とのつながりがあったり、人を思うこと、それから自分の思い込みや信じる力の強さが描かれていて、そのバランスが絶妙です。ゾクっとするところもあるんですが、クスッと笑えるところもたくさんあるので、きちんとやり切りたいと思っています。
-映画化もされている作品ですが、映画とはまたちょっと違う印象の舞台になりそうですね。
そうですね。映画と舞台は、また違った世界観だと思うので、前川さんがどう作っていくのか。自分がそこでどんな刺激や新しい感覚に出会うのか、すごく楽しみです。今回、僕が演じる山田輝夫という役は、愛があって面白い役なので、どんな感じになっていくんだろうと期待しています。
-その山田輝夫という役柄については、現時点では、どのような人物だととらえていて、どう演じたいと考えていますか。
自由でマイペースで好奇心旺盛で、面白そうなことには全て首を突っ込んで、そして右往左往する(笑)。でも、その根っこには、妹思いの気持ちがあったり、優しい人にはとことん優しい。もちろん逆もあるけれど(笑)。そんな人間味がある役だと思います。演じるのが楽しみです。
-言いにくいことをサラッと言ってしまう性格ですよね。
きっと感覚的にポンポンと言葉が出てしまう人なんだと思います。言い方はきついですが、自分のために言っているわけではないから、嫌な感じがしないんですよね。自分が演じるときに、そのニュアンスをどう出していくのかは、チャレンジングでもあるなと思っています。
-演出の前川さんとはどんなお話をしましたか。
(取材当時は)ビジュアル撮影のときにお会いしただけで、まだそれほどお話しできてはいないんです。僕が演じる輝夫は、不思議な出来事に興味を持って、どんどんそこに突き進んでいくのですが、同時にその出来事をほかの登場人物に説明する役どころでもあります。なので、「観客の方にもしっかりと理解していただけるように演じたい」という思いはお伝えしました。
-5年前の「醉いどれ天使」以来の舞台出演となりますが、舞台にまた立ちたいという思いはずっとあったのですか。
お話をいただけるならと思っていました。ただ、役者は見てくださる方がいて、やりましょうとおっしゃっていただいてできるので、舞台に立つ、立たないは自分で決めることではないのではないかとすごく感じます。だからこそ、こうしてお話をいただき、本当にありがたいと思いました。僕は、これまで二回、舞台に出演させていただいていますが、そのときは、怖さと緊張が先に来ていたんですよ。慣れていないということもあって、自分にできるのかという思いもあったのだと思います。ただ、今回は、ありがたいという気持ちが大きかったんです。それは、いろいろな経験を経たからこそだと思います。月並みな言葉ですが、何事も当たり前ではない。「ありがとう」だったり、自分の気持ちを伝えていきたいと日々、思っています。「醉いどれ天使」は、コロナ禍での上演だったんですよ。だからこそ余計に、来てくださること、上演できることへのありがたさが大きくて。そうしたいろいろな経験を経て、「やらせていただけること自体がありがたい」という思いが今はあります。
-舞台に立つことの楽しさはどのように感じていますか。
先ほども話しましたが、「醉いどれ天使」はコロナ禍での上演だったので、マスクとフェイスシールドをして稽古をしていました。基本的に人とも会わないし、もちろん面会もできない。当時は、ホテル住まいをさせてもらって、家族とも会えませんでした。だから、人と顔を突き合わせて会話するというのが、舞台の上だけでした。役者のみんなでご飯に行くということもなかったですし、大阪公演のときには、同じホテルのそれぞれの部屋からリモートで「今日もありがとうございました」と会話するほどで。なので、舞台の上でみんなとつながれて、コミュニケーションをとれるという喜びもありました。舞台は台本は同じでも、毎公演、同じことなんてないし、観客の方々も違うし、みんな違う。それがすごく面白いです。同じ役、同じ台本の芝居を続けるというのも、舞台にしかできないことで、パッションを感じる部分でもあるので、そうしたところも非常に楽しみです。
-「聖地X」というタイトルにちなんで、桐谷さんにとって「聖地」だと感じる場所はありますか。
聖地と呼ぶには大げさですが、パッと思い浮かんだのは、家と家の近くの大きな公園です。その公園は、子どもたちと行ったり、一人で散歩してぼーっとしたりする、自分が落ち着いたり、自分に戻れる場所なんです。家もそうですが、そうした「自分に戻れる場所」が、もしかしたら聖地なのかもしれません。
-ところで、今回の公演は11月5日から12月20日まで各地で公演があります。少し早いですが、今年はいかがでしたか。
まだこれからのこの舞台があるので、ラスボスが待っているという感覚ですが(笑)、でも、すごくいい一年になりました。いろいろなことに気付いた一年でした。応援してくださっている方はもちろん、身近にいる人たちの存在をすごく感じましたし、それを感じられることの素晴らしさも改めて実感しました。この作品は、香川県で千秋楽を迎えますが、そのときに、最高の気分になっていたらいいなと思います。
-改めて、読者にメッセージをお願いします。
この個性豊かな共演者の方々と演出の前川さんとともに作り上げ、どんな作品を作り上げることができるのかめちゃくちゃ楽しみです。きっといろいろな刺激を受け、新たな感覚に出会えると信じています。自分自身を思い切り楽しんで、見てくださる皆さんに、この不思議で面白い世界を思う存分楽しんでいただけたらと思っています。
(取材・文・写真:嶋田真己)
PARCO PRODUCE 2026「聖地X」は、11月5日(木)~29日(日)に都内・PARCO劇場ほか、大阪、香川で上演。







