多様な用途のロボットが稼働しているTAKANAWA GATEWAY CITY

人間とロボットが共生する時代が始まりつつある今、TAKANAWA GATEWAY CITY(東京都港区)では多様な用途のロボットが稼働している。施設内で人間をサポートするロボットたちの魅力について、レポートする。

街の中でロボットが稼働!

現在、この街には、自動走行モビリティ「iino(イイノ)」、警備ロボット「C-SParX(シースパークス)」、自動走行配送ロボット「Servi Lift(サービリフト)」といった3種のロボットが稼働しているほか、ゴミ箱ロボット「Cartken Model F(カートケン モデル エフ)」と植栽自動診断ロボット「忠犬鉢公(ちゅうけんはちこう)」は実装に向けて実証実験中だ。

自動走行モビリティ「iino」

街の南北をつなぐデッキ上を規定のルートに沿って自動走行するモビリティ。3名まで乗車可能で、歩くほどの速さで動く。木の質感を生かした、なめらかな曲線のフォルムが美しく、"動く家具"のようだ。

立ったまま乗るスタイルで、乗員の重量上限は1席あたり100kg、合計で300kgまで。週末は行列を作って乗る順番を待つ人がいるほど人気だという。

実際に乗ってみると、走りながら街案内のアナウンスが流れるので、観光気分が味わえた。街の南北の距離は約1.3kmあるので、歩き疲れたときに乗れるのはいい。

アクティビティとしての楽しさだけでなく、杖をついた足の不自由な人なども利用していたので、実用的だ。

降りるときは、「stop」と書かれた部分に触れると止まる。人が近づいたら停止する機能も備えているので安心だ。

「iino」を造っているゲンダイイイノの伊藤友哉さんにお話を伺うと、「一度の充電で営業時間の午前10時から午後8時まで走るので、電池の持ちが良い」とのこと。ただし、水には弱いので、雨の日は屋根のある所を走るルートになるようだ。

羽田空港には別モデルの「iino」が走っているという。楽しいし便利なので、もっと色々な場所で稼働してほしいものだ。

警備ロボット「C-SParX」

ビル内を自動で巡回・警戒し、“動く監視カメラ”として街の安全を守るロボットだ。ロボティクス・AI・画像解析・ネットワークなどの先進技術を集結させた自律走行型。マッピングされたルートを正確に自律走行し、カメラでとらえた画像をAI解析して、転倒した人や不審火などのリスクをすばやく発見し、警備員に知らせる。C-SParXは警備員と連携しながら、効率的かつ高度な警備サービスを提供している。

自動走行配送ロボット「Servi Lift」

街のツインタワー「THE LINKPILLAR 1」および「THE LINKPILLAR 2」内で働く人向けに、フードデリバリーを行うロボットだ。

注文後、配送員が館内店舗から注文商品を集め、待機位置にいるロボットに積載する。その後はロボットが「入場ゲートを通過し、エレベーターに乗り、指定の待機場所まで商品を届ける」といった作業を行うのだ。

ロボットは、ゲートやエレベーターと通信で連携し、自動でゲートを開け、エレベーターに乗り、目的の階まで上がった。エレベーターは「ロボット専用の運転モード」に切り替わり、人間が誤って乗らないよう、内部の照明が暗くなっていた。

待機場所に着いたら注文者に通知が届き、注文者がロボットに暗証番号を入力して商品を受け取る形だ。

「配送の補助的な役割」を担うのはもちろんのこと、ゲートから先の配送はロボットが行うため、配送員がセキュリティーエリア内に立ち入る必要がなく、防犯上のメリットもある。オートロックのタワーマンションにも、このロボットがあったら便利そうだ。

ゴミ箱ロボット「Cartken Model F」

街中を自動走行しながら必要な場所へ移動する"ゴミ箱のロボット"だ。搬送ロボット「Cartken Model F」をゴミ箱仕様にカスタマイズしている。目がついていて、キョロキョロしながら動く姿がかわいい。

ゴミは「一般ごみ」と「かん・びん・ペットボトル」で分別。人が近づくと止まるので、ゴミを捨てやすく、また安全性が高いのもポイント。

ゴミを積んだロボットが1カ所の集積所まで運んでくれたら、これまでのように人間が各所のゴミ箱を回って回収する手間を減らせる。さらに、ゴミ箱が1カ所に固定して設置されないため、不審物が放置されにくくなるなど、防犯面でも効果が期待できそうだ。日本は街や公園にゴミ箱が少ないので、このゴミ箱ロボットを増やしてほしいものだ。

植栽自動診断ロボット「忠犬鉢公」

植栽周辺を巡回し、植物の健康状態を診断するロボットだ。高性能なAI搭載の四足歩行ロボット「Unitree Go2(ユニツリー ゴートゥー)」を活用し、植栽を自動診断できるように開発中だという。LiDAR(ライダー)と呼ばれるレーザー光を照射するセンサやサーマルカメラなどを活用して、植物の状態や周辺環境を調べ、異常があれば通知することを目指している。

この日はリモコン操作をしていたが、将来的には周回場所・ルートを設定し、自動で歩行させる予定。四足歩行なのは、段差があっても乗り越えられるようにするためだという。

※一般のお客さまが立ち入れないエリアで実証実験を実施しており、撮影時は歩車分離を行い、警備スタッフが安全を確保しております。

自然にロボットと人間が共生

「いろいろなロボットが働いている」と聞くと、"未来都市"のようなイメージをしがちだが、実際は日常的な風景がそこにはあった。ロボットと言っても、"人型ロボット"が働いているわけではなく、"機械や家具の延長"のような見た目のものが多いので、違和感もなかった。

ここにいるロボットたちは街に馴染み、人間を"補助的な形"で支えていた。街にいる人々の様子を見ても、この「ロボットがいる環境」を自然と受け入れているようだった。

「100年先の心豊かなくらしのための実験場」というビジョンをもつこの街を体験したことで、"ロボットと人間が共生する未来"が見えたような気がした。未来は明るそうだ。(加藤弓子)