下山進著『命を選ぶ 遺伝病の運命に抗ったある女性の物語』、第15回(2026年度)日本医学ジャーナリスト協会賞《大賞》受賞のお知らせ
医療記者や研究者、医療従事者らでつくるNPO法人日本医学ジャーナリスト協会(東京)は11月4日、「第15回日本医学ジャーナリスト協会賞」の大賞に、ノンフィクション作家下山進氏の小社刊『命を選ぶ 遺伝病の運命に抗ったある女性の物語』を選んだ。

産まれてすぐに網膜にがんができる遺伝病「網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)」のサバイバーである野口麻衣子さんが、病気をうけつがせないための「着床前診断」を求めて、世界で例をみない厳しい規制の壁にいどんだ7年間を、障害者運動の50年以上の歴史を遡りながら叙述した同書。
「立場の異なる当事者の声を丹念に聞き、生命倫理の専門家だけの議論にとどめず、社会全体の問題として提示」したノンフィクションとして、8人の選考委員が高く評価、「ほぼ満票」(大熊由紀子審査委員長)で大賞に選んだ。
下山氏は受賞について「遺伝病当事者の切実な願いと苛酷な運命は、これまで日本ではほとんど報道されてこなかった。障害者問題が、70年代の『青い芝の会』による活動で可視化されたのと同様に、遺伝病当事者の困難がこの本の受賞によって可視化されるとすれば、これに勝る喜びはない」と語っている。
書誌情報

タイトル:『命を選ぶ 遺伝病の運命に抗ったある女性の物語』
著者:下山 進
定価:1980円(税込)
発売日:2026年5月2日
発行元:祥伝社刊
【目次】
プロローグ 光る眼
第1章 手がなくても足がなくても産む病院
第2章 青い芝の会
第3章 シスターフッド
第4章 夢の治療か悪魔の技術か
第5章 小児科医も反対の陣営に加わる
第6章 障害者の皆さん、お願いします!
第7章 薫の心の氷が溶ける
第8章 慟哭のアンケート
第9章 遺伝カウンセラー
第10章 天の岩戸は開くか
第11章 運命の倫理委員会
第12章 16年ぶりの倫理審議会を開く
第13章 内なる優生思想
第14章 あなたたちは楽しく議論していればいい
第15章 その選択は優生思想なのか?
第16章 夫が出ていく
第17章 ガーベラの花言葉
第18章 阻む側の論理
第19章 この病院が好きでした
第20章 かずちゃんがいたから病院も変われたんだね
第21章 それぞれの一歩
あとがき
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著者プロフィール
下山進(しもやま・すすむ)ノンフィクション作家。『アルツハイマー征服』(2023年 角川文庫)を取材するなかで、遺伝病の連鎖を断つ現在の唯一の手段である「着床前診断」が日本では厳しく規制されていることを知った。そこから日本でその扉をあけることになった一人の女性と知り合い、遺伝病当事者・障害者団体・産婦人科医・小児科医ら多方面への取材を重ね、本書をものした。1993年コロンビア大学ジャーナリズムスクール国際報道上級課程修了。2019年3月文藝春秋を退社し独立。著書に、『2050年のメディア』(2023年 文春文庫)、『がん征服』(2024年 新潮社)、『勝負の分かれ目』(2002年 角川文庫)、『持続可能なメディア』(2025年 朝日新書)など。AERAで2ページのコラムを連載中。元慶應義塾大学総合政策学部特別招聘教授、上智大学新聞学科非常勤講師。現聖心女子大学現代教養学部、立教大学社会学部非常勤講師。

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