Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment ILM / Universal Pictures and Amblin Entertainment Universal Pictures and Amblin Entertainment

 今回は今年の夏休み映画の目玉となる公開中の『ジュラシック・ワールド』と『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』を紹介しよう。

 22年前、スティーブン・スピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』(93)は、当時最先端のCGを駆使して、凶暴、巨大な肉食獣ティラノサウルス・レックス(T・レックス)、敏しょうかつ知能犯的なヴェロキラプトル(ラプトル)など、さまざまな恐竜をスクリーンに登場させ、観客に衝撃と興奮を与えた。

 そのスピルバーグが「DNAから恐竜を復元するという奇跡をテーマにしたパークを、映画の中で実現させたかった」と語って製作したのが『ジュラシック・ワールド』だ。

 本作の中心人物となる兄弟(タイ・シンプキンス、ニック・ロビンソン)が「ジュラシック・ワールド」に近付くにつれ、ジョン・ウィリアムズ作曲のあのテーマ曲が聴こえ始めると、こちらも過去を思い出しながら、今度は一体何を見せてくれるのかという期待に胸が高鳴る。

 今回は『ジュラシック・パーク』にも登場したウー博士(B・D・ウオン)が、新たなオーナーの要望に応えるべく、遺伝子操作を行った結果、凶暴、巨大で知能も発達した新種の恐竜が誕生。この恐竜が防壁を破って逃げ出したことからパークは大混乱に陥る。

 また、本作では、前シリーズで恐竜の概念を変えたラプトルの調教は果たして可能かというのも大きなテーマになっている。もちろん“恐竜王”T・レックスも健在だ。

 新人監督のコリン・トレボロウは、スピルバーグ作品を踏襲しながら、まるでテーマパークのアトラクションのような演出を新たに施してハラハラドキドキ感を盛り上げた。その手腕はなかなかのもの。さすがにスピルバーグが抜てきしただけのことはある。

 今回は、CGのさらなる発達に加え、3Dで描かれている。恐竜たちの姿は映像の技術革新を見せるには格好の素材なのだ。

 片や、トム・クルーズ演じる腕利きのエージェント、イーサン・ハントが大活躍を見せるスパイアクションシリーズの第5弾『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』。こちらも、おなじみラロ・シフリン作曲の「スパイ大作戦」のテーマ曲が鳴ると期待に心が踊る。

 今回はイーサンが所属する米国極秘情報機関IMFが、多国籍スパイ集団シンジケートの暗躍によって、解体の危機にひんする。果たしてイーサンは“悪の国家(=ローグ・ネイション)”の野望を阻止し、IMFを救うことができるのかというもの。

 いきなりオープニングでイーサンが軍用飛行機に飛び付いたまま上昇するという信じ難いアクションが展開、その後も、ウィーン、カサブランカ、ロンドンと目まぐるしく舞台を変えながら、巨大タンクへの潜水、バイクでの激しいチェイスなどが繰り広げられていく。

 ほかにも、イーサンを中心としたIMFのチームワーク、レベッカ・ファーガソン演じる女性スパイやショーン・ハリス演じるシンジケートの親玉との絡みも見どころとなる。

 監督のクリストファー・マッカリーはトム主演の『ワルキューレ』(08)『アウトロー』(12・兼監督)『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)の脚本を担当しただけにトムの見せ場を心得て演出しているが、ここまで体を張ったアクションを見せられると、一体どこまでやるんだトム・クルーズという感じもする。トムと恐竜のリアル対決が見られる日もそう遠くない? (田中雄二)