話を少年ジャンプに戻して、『ヒカルの碁』『DEATH NOTE』『バクマン。』で知られる小畑健のアシスタント歴を見てみよう。彼は土方茂という名義でデビューする前、『THE MOMOTAROH』『真島クンすっとばす!!』の作者・にわのまことのアシスタントを務めていた。小畑健(本名)名義になった今でこそリアル&シリアス路線のイメージが強いが、連載デビュー作『CYBORGじいちゃんG』は師匠の影響を色濃く受け継いだトンデモ路線のギャグ漫画だったのだ。
そんな小畑健だが元アシスタントの活躍ぶりもすごい。『BLACK CAT』『To LOVEる -とらぶる-』の矢吹健太朗、『アイシールド21』作画担当の村田雄介など売れっ子の実力者が揃う。また、和月伸宏も小畑のアシスタントを務めていた時期があり、その関係をたどっていけば「小畑→和月→尾田」という1本のラインが完成する。現在、少年ジャンプの柱である『バクマン。』と『ONE PIECE』――まるで無関係に思えた2作品も“アシスタント歴”では作者同士が繋がっていたわけだ。
『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦からは『ぬらりひょんの孫』の椎橋寛が出て、『銀魂』の空知英秋からは『SKET DANCE』の篠原健太が育つなど、調べていくほどにジャンプ系の作家は層が厚いと思い知らされる。
……以上、ここに挙げたのはごく一例だが、ざっと調べてみただけでも漫画家の系譜がわかって楽しかった。漫画の楽しみ方としてはマニアックな部類に入るかもしれないが、興味がある人はもっと自分で調べてみてほしい。昔から好きな作家同士が実は師弟関係だったと知った瞬間などは、格別なうれしさがあるものだ。