高度成長期の中、集団就職で茨城から上京したヒロイン谷田部みね子の波瀾(はらん)万丈の青春を描いて大好評を博した連続テレビ小説「ひよっこ」。その続編となる「ひよっこ2」は、最終話から2年後、1970年の東京・赤坂と奥茨城村を舞台に、おなじみの面々が心温まる物語を繰り広げる。1年以上ぶりにみね子役を演じた有村架純が、素直な心境を語ってくれた。
-大反響を呼んだドラマで、終了時には“ひよっこロス”に陥る視聴者が続出しましたが、有村さんはいかがでしたか。
「終わった」と実感するのが遅くて、ロスというか、体がついていかないというか…。映画の撮影があったので、早く気持ちを切り替えなければいけなかったのですが、1年という撮影期間は本当に長くて、すぐには忘れられなかったです。茨城弁も抜けないし、次の作品に切り替えることが難しかったです。
-久しぶりに岡田惠和さんの脚本を読まれたときの印象を教えてください。
「ひよっこ」が終わってから1年以上たちましたが、「あぁ、これこれ!」という世界のままだったので、あまり時間がたっていないような感覚になりました。
-撮影では、すぐにみね子に戻れましたか。
昨年の9月末に茨城ロケに行ったときは、ドラマ「中学聖日記」の撮影もしていたので、自分の中で完全にみね子になっちゃいけないという考えがありました。だから、みね子だけどなんだか違う人かもしれない…という感じでした。12月にスタジオでの撮影が始まったときには、「中学聖日記」の撮影は終わっていましたが、黒崎(博)監督から「声が違う。早く戻ってきて」って怒られました(笑)。みね子とは全然違う役柄(教え子と恋に落ちる中学校教師)を4カ月間もやっていたので、「すぐには戻れないものだなぁ」と思いました。
-共演者の様子はどうでしたか。
撮影前のリハーサルでは、みんなちょっと何かが違うんですよ。「誰ですか?」みたいな(笑)。時の流れや、それぞれがいろんな現場を経験されてきたんだなぁと感じられて面白かったです。
-成長したみね子を演じる上で意識したところはどこでしょうか。
年齢を重ねて、結婚もしているけど、変に大人になり過ぎなくていいのかな…と思って、ありのままのみね子として落ち着き過ぎないようにしていました。
-前作の最終話で結婚した前田秀俊(磯村勇斗)との夫婦生活が見どころの一つですね。
クランクインのときに、「前田みね子役」と紹介されて、「そっか、谷田部じゃないんだ」とハッとしました。結婚指輪もしているし、ヒデさんと一緒に住んでいるので、夫婦の時間もあります。ヒデとみね子は恋人としての時間がほとんどなかったので、結婚してからがすごく楽しくて、みね子のワクワク度は上がっているし、ヒデさんもデートに誘ってくれたりしているので、それなりに楽しんでいるんじゃないかな。そんな2人が初々しくてかわいいなぁと思いながら演じました。
-改めて「ひよっこ」の魅力とは?
「その会話はせりふにしなくてもいいんじゃない?」というような日常が描かれていて、山もないし、谷もないのが「ひよっこ」の世界の魅力だと思います。でも、そんなただの日々を面白い物語にすることは難しいですから、やっぱり岡田さんはすごいですね。
-有村さんにとって「ひよっこ」はどんな存在ですか。
「ひよっこ」にずっとすがるつもりはないので、いい意味で、ちゃんと過去になっています。1年間、同じ役と向き合って、一日一日を乗り越えてきたので、どんなハードなスケジュールや過酷なものも乗り越える力を与えてもらいました。
-みね子から学んだこともありますか。
日常をちゃんと大切に生きている姿は尊敬しますし、自分が見落としていることを思い出させてくれました。それに、いつも笑顔で前向きで、落ち込むことがあっても心をポジティブに変えて幸せいっぱいでいられる人だから、自分もそういう気持ちを大事にしたいと考えるようになりました。撮影中は、みね子を演じているからなのか、何でも面白く感じたり、よく笑ったりしていることが多かったです。そういう影響は大切にしたいです。
-もしも、「ひよっこ3」があったら?
豊子(藤野涼子)や、妹のちよ子(宮原和)に彼氏ができていてほしいのと、みね子とヒデさんの間に子どもが生まれていてほしい。あと、三男(泉澤祐希)が米子ちゃん(伊藤沙莉)とけんかして家出をして、あかね荘に住むとか、すずふり亭の制服が変わるとか…。いくらでもできちゃいますね(笑)。
-最後に読者にメッセージをお願いします。
総キャストが出演しているので、みんながどこで出てくるかを楽しんでください。そして、「ひよっこ」の中で繰り広げられる日常の中には大事なせりふもあるし、生きる上で大切なことに気付かされることがたくさんあるので、みね子たちと一緒に小さい幸せを感じてください。今回は悲しい出来事はないので、たくさん笑ってほしいです。
(取材・文/錦怜那)