これまでにもセロハンテープの長さを一定にカットするディスペンサーは世の中にいくつも出てきました。レバーを操作するものや電動式のものなど。それぞれにメリットはあるのですが、ダイヤルを回すという、人間にとってごく自然な操作で次から次へとカット済のテープが繰り出される本製品の合理性を体感してしまうと、もう他の機構には戻れません。なにより、ユーザーの器用・不器用に全く関係無く一定の長さにきれいにカットできるのが一番大切な事ではないかと思います。そしてこの製品を使うとテープが38mm以上にならずチマチマと使えるので、テープの無駄な消耗が減り一石二鳥なのです。

さらに、テープを2巻セットすれば、2本のセロハンテープが吸い込まれ、1本の時の2倍となる、最大6枚のカットテープを生成することができます。

テープを2巻セットすれば、2倍のカットテープが繰り出される(ただしハンドル操作は重くなりますが)
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じつはこれ韓国製。メーカーの社長様と直接お会いしてうかがうに、あちらではかなりメジャーな製品だそうで、工場や小売り店など業務用途では当たり前の存在だと言います。そんなに人気なのに質感がいまひとつだなと私は長年疑念を抱いていたのですが、つい先日訪韓された知人によりますと、たしかに多くのお店のレジ横にこのウィンドミルが置かれていたとの報告を複数の証拠写真付きで頂きました。

いや実際、一度使ったら、質感が無いとか動作音がちょっと大きいとか、そんな欠点など全然関係無くなってしまいます。業務用途には手放せない存在になっています。

製品パッケージ。力強いハングル文字と初期型を表す、番号「1」
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そのほかに興味深い特徴もあります。ダイヤル回転式、つまりテープを指で「ビーッ」と引っ張らないので、本体を重くする必要がありません。コラムの冒頭でご紹介した普通のテープ・ディスペンサーの場合、テープが引っ張られても本体が手前にすべらないよう、本体内部にかなり重い金属片あるいは大量の砂を封入します。しかし「ウィンドミル」なら樹脂の部品だけで充分。このため本体の持ち運びに便利で、しかも万が一本体を机から落下させても足などへの損傷が少なくて済むのです。

さてこのウィンドミル、じつはすでにメーカーによる改良版も存在しているのですが、個人的にはこの武骨な初期型のほうが道具っぽくて好みです。将来これをパクった、いや、これに「リスペクトされた」製品が他のメーカーから登場するかもしれません(韓国ではすでに類似品が出ている。)し、そもそもウィンドミル自体もどこかに手本があったのかもしれません。いずれにせよ、今は日本ではマイナー。でも梱包や発送を業務にしている人達には本当に便利で貴重な存在。最後は商売っ気ありありですみませんが、皆さん、いますぐ、ご注文を!(笑)

信頼文具舗「ウィンドミル テープディスペンサー」のオンラインカタログ
2
,520円

わだ・てつや 東京小猫商会:文具部1号、コモノ部3号。文房具サイト「ステーショナリープログラム」主宰、ウェブショップ「信頼文具舗」店長。著書「文房具を楽しく使う」シリーズ(早川書房刊)ではノートや筆記具を趣味として楽しむための基礎的な知識を提供。近年の文房具人気を支えるリソースのひとつとなっている。その他、商品開発・ブランディング等のコンサルティング、講演、イベントプロデュースなどを行っている。 ブログ公式HP