“おもちゃの物語”は無限の彼方へーーおもちゃの存在意義とは？全世代の心へ届く『トイ・ストーリー4』レビュー

個性あふれる、新たなおもちゃたち!

ウッディに様々な面で影響を与えて行く、個性あふれる新キャラクターも、本作の見どころ。

本作のキーパーソン（キートイ? ）であるフォーキーは、「僕はゴミだし、この場所にふさわしくない」と感じている、いまだかつてなく自虐的なキャラクター。

実際に30人ほどのワークショップを開き、どこにでもあるような素材から即興でデザインされ、さらにコラージュされて、新しいデザインに仕上げて行ったそう。

不格好で不完全な感じを残しつつ、どこか親しみやすいフォーキーは、こうした手作り感あふれる工程から生まれています。

予測不能でどこかズレていて、でも愛らしい彼の事は、作品を観終えたら大好きになってしまうでしょう!

さらに、グッズ化で人気が出るのが目に浮かぶような、鮮やかな色合いのぬいぐるみコンビ、ダッキー＆バニー。

見た目に反しかなりの毒舌で、2人のギャグシーンには、大爆笑でした。

とりわけ筆者のイチオシは、ウッディがアンティークショップで出会う、カナダ出身のスタントマンのおもちゃ、デューク・カブーン。

『トイ・ストーリー3』のケンを彷彿とさせるような、コミカルなセリフ回しと動きは、とにかくツボにハマります。

本国ではキアヌ・リーブスが演じており、「あのキアヌが、このコミカルなキャラを真面目な顔でアフレコしてるのか…」と思うと、ニヤニヤが止まりません。

吹替版の担当は、『ズートピア』のニックでおなじみ、森川智之さん。

森川さんらしい日本版カブーンも、期待値大です!

そして、ピクサーファンなら思わず唸る、初期作品の超レアキャラも、出演していますよ。

とうとうここまで来たか!圧巻の映像美

ほぼ実写?!情感豊かな背景の映像

世界初の長編フルCGアニメーションとして、映画の歴史を変えた『トイ・ストーリー』から24年。

CGの技術も日々進歩し続けていますが、本作の映像の凄さにはもう、舌を巻くばかりでした。

背景に至っては、ほぼ実写?!と見まがうようなリアルさですし、迫力ある豪雨や、約30,000ものライトが点滅する移動遊園地など、スケール感とディテールに満ちた映像は、もはや驚異的。

ストーリーを別にしたとしても、既にひとつの映像体験でした。

ディテールまでこだわり抜いた、キャラクターの質感

さらに度肝を抜いたのは、おもちゃたちのリアル過ぎる質感。

おもちゃひとつひとつが、何の素材でできてるのか、パッと画面に映っただけでも一目瞭然なんです。

ソフトビニールの、ぎゅむっとした柔らかい感じ、繊細なレース生地、陶器のつややかさ、ぬいぐるみのモフモフ感…

ただモフモフしているだけでなく、その中でもまた細かく質感が描き分けられており、おもわず画面に手を伸ばして触りたくなってしまいます。

そして、24年間『トイ・ストーリー』を見て来ましたが、スリンキーの耳がレザーだった事実を、本作で初めて知りました。

またフォーキーは先割れスプーンから出来たおもちゃですが、そのプラスチック感、さらに粘土の土台、木の棒、赤いモールと、様々な素材の質感もリアル過ぎる!

おもちゃ1人1人の素材がきちんと違って見えるので、よりリアルな多様性を感じます。

出自も性格も見た目も素材も、まるで違うおもちゃたちが集まっているのが本当に一目瞭然で、そこもストーリーに深みを与えている要因かな、と感じました。

この夏、世界中が『トイ・ストーリー4』の感動で満たされる

驚きの結末を秘めたウッディの冒険の最終章は、大人たちの心にも響く、人生の真実に触れる物語。

幼少期からウッディとアンディとともに育ってきた筆者ですが、とにかく胸を打たれました。

ラストシーンで、あるキャラクターが贈る“あのセリフ”に、“本当の『トイ・ストーリー』とは?”に対する、答えを見た気がします。

 

『トイ・ストーリー4』
2019年7月12日（金）全国ロードショー