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2. 実写ではなく、アニメーションだからこそ描ける理想郷

アニメーションのメリットの一つは、誰も目にした経験がない世界を、イマジネーションによって作り上げ、具体的に提示できる点だ。

さらに、現実にはありえない理想の世界を、私たちに、違和感なく受け入れさせる効能もある。

 

『ズートピア』は、動物を擬人化して、人間社会を風刺する程度の映画ではない。

風刺を越えて、理想の世界を、私たちに見せてくれる。

もし『ズートピア』が、人間社会の話で、実写映画だったら、あまりのご都合主義に、鼻白むかもしれない。

けれども、『ズートピア』は、もともと、“誰もが、何にでもなれる” 理想郷だ。

現実にはありえない理想郷で、理想の物語を描いたところで、なにもおかしいところはない。

主題歌「トライ・エヴリシング」を聴いて、あまりに直接的にポジティブすぎる歌詞に、違和感を持った人も、多いはずだ。

理想の世界の、空想の歌手の歌だから、現実世界の延長で考えてしまう私たちには、違和感しかない。

けれども、『ズートピア』を鑑賞すると、「トライ・エヴリシング」の本来の意図がわかる。

歌い手(映画に登場する)の意志・思いが乗り、泣ける歌に変貌する。

 

3.「ありのままで」の次のステージへ

『アナと雪の女王』の大ヒットで、ディズニーからの現代人へのメッセージ「ありのままで」が注目された。

エルサの魔法は、「押さえ込まなければ」「ひた隠しにしなければ」と思い詰めた結果として、暴走した。

魔法をコントロールできるようになったのは、魔法(特質)を、欠点ではなく、長所あるいは個性として、受け入れられて以降だ。

コンプレックスは、人間ならば誰しもが持つ。『アナと雪の女王』は、記録的な大ヒットとなり、世界中の人々に絶賛された。

以降、ディズニー映画は、実写も、アニメーションも、“自己肯定感” が、大きなキーワードになっている。

実写『シンデレラ』は、自己肯定感の強い女性が、苦境に負けず、正しい道を、自らの手で掴み取る物語だった。

『ベイマックス』は、兄の死を受け入れ、自己を確立する、若者の物語だった。

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